72話 暗殺大作戦
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「さて、資料は読んだな? 何処を襲えばいいのか、何処で暗殺すれば良いのか、解ったと思う。部隊は分けたな? 自分の担当場所は解ったな? それじゃあ行ってきてくれ。襲撃犯は9人とも確実に殺すこと。死体は処理してきてくれ。人間じゃない可能性もあるからな。油断しない様に」
キャラバンで情報交換をしたところに、精霊を向かわせた。果報は寝て待つしかない。どんな報告になるのかが解らないけどな。しっかりとやってくれると信じている。不意打ちになるからな。成功率は高いと思うんだよ。もしかしたら、9人の方は逃げられる可能性もあるんだけど、5体も向かわせたんだから処理してくれると思っている。普通の人間ならそれで終わりの筈なんだよ。普通じゃない場合がどうなるのかって事になるんだけどな?
多分大丈夫の筈だ。そこまでの超人ならもっと別のやり方で壊しに来ていると思うからな。確実にやれる方法があるような気がする。僕には思い付かないけど、やり方が普通なんだから、魔物みたいな存在と言えども、人間の範疇に収まっているんだろうと思う。しっかりと役割を熟してくれれば何事もなく戻ってくると思われる。まあ、そんなに心配しても意味がないんだけどな。無理だった場合は、集中攻撃を加えるしかないと思っている。20体の部隊を用意して、昼夜を問わず襲い続けて貰う事になると思う。……その中で、散ってしまう最上位精霊も居るかもしれないが、増え続けているからな。その内戻ってくると思われる。原初の精霊の元に戻って、また生み出される筈なんだよ。
そんな訳で、暗殺部隊は送り込んだわけなんだけど、僕には何も害がないと良いんだけどな。メルクリウスさんには何かしらあるかもしれないけど、流石に僕までは襲われないだろうと思っている。僕を襲ってももう無駄な所まで来ているんだけどな。精霊が自分たちで増殖しようと思えば出来るところまで来てしまっているんだ。僕はそれらの手伝いをしているだけで、精霊が自分たちで軍隊を作って運用するまでになってしまえば、僕の存在は関係なくなるんだよな。最上位精霊とはそう言った存在である。自分の消滅をかけてまで最上位精霊を生み出すのであれば、出来てしまうんだよな。僕がやった方が効率が良いのは確かなんだろうけど。でも、結局は効率の問題でしかなく。出来るのであれば、僕は殺されてしまっても最悪はどうにかなってしまう。
まあ、僕が死ぬという事は、僕の人生も終わると言う事なので、僕は全力で足掻くんだけどな。まさか2回目の転生がある訳でもなし。1回目は偶然紛れ込んだだけに過ぎないんだよな。2度目は無いと思っている。大丈夫だと思っているが、若干心配ではあるんだよな。
今の所、この物語はクラリスかメルクリウスさんの物語だと思っている訳なんだけど、脇役が殺されることはあるんだよなあ。全力で断りたいんだけど、関わっていかないとモブとして普通に殺されることもあるからな。登場人物になった方がまだ守られる。シナリオがどうなっているのかは知らないけど、僕は今後も関わっていくんでよろしくお願いします。
それでなんだけど、従業員でまたおめでたになった。キマリスの子供が生まれた。これで2人目だな。メビウス、キマリスときて、次はメリアだな。お腹も大きくなってきているし、もう少しだと思うんだけど、どうだろうな。子供を産むのは良い事だな。人口が増えることは良い事だ。精霊を信仰している人口を増やしていかないといけないからな。しっかりと精霊信仰を根付かせていこう。
「へー。赤ちゃんが生まれているんだ。いいなあ。あたしも赤ちゃんが欲しいなあ」
「とはいっても、クラリスに相手が居るのか?」
「居ないんだよねえ。あたしよりも強くていい男が中々いないんだよね」
「……強いことは重要なのか?」
「重要だよ! 最重要だよ! あたしよりも強くないと認めないんだから!」
「ああ、そうなんだ。じゃあ、Bランクくらいでいい人は居ないのか?」
「居るんだけど、妻子持ちなんだよね。狙っている人はまだいるんだけど、その人はどうなんだろうなあ。こっちに気があると嬉しいんだけど」
「話はしたことあるの?」
「あるよ。護衛依頼も何度かしたし。結構いい人なんだよね。彼女も居ないって言ってたから、狙っているんだけど、競争率が高そうなんだよね……」
「まあ、Bランク冒険者って事は稼いでいるだろうしな。クラリスが選ばれない可能性もあるのか」
「だから見つけたら猛アタックしているんだけどね。いい具合に躱されているような気がしているんだよね……。いい人なんだけどなあ」
「まあ、それは良いとして、護衛依頼の方はどうなんだ? 魔物の数は調整できたと思っているんだけど、その辺はどうなっているんだ?」
「魔物は大分減ったけどね。それでも結構襲われるかな。夜になるとどうしてもって感じかな。昼間に襲われることは殆どなくなったから、移動はスムーズに行くようになったよ。稼ぎもまあまああるし、いい感じだと思うんだよね」
「それなら良いけどな。今年から入った奴らはどうなんだよ? 使えているのか?」
「うーん。まだまだって感じだよね。スキルは結構恵まれているんだけど、戦い慣れてないからかな。無駄な動きをしていることが多いよね。もうちょっと戦わせないといけないかな。最終的には慣れてくるだろうから、戦い方も解って来るんだろうけど」
「そうか。まあ、戦えているならそれでいいのか。魔物の血も供給してもらっているからな。面倒じゃないのか?」
「そうでもないよ? 大体は夜の内に確保するからね。移動しながらだと無理だけど、夜ならしっかりと戦闘もするし、解体もゆっくりできるからね。その間に血を確保すれば良いんだから、それなりに簡単だよ?」
「そうなのか。それなら良いんだけど。それで、Bランクは目指さないのか?」
「目指してもって感じだし。領主様の依頼を受けられるようになるってだけだしね。それなら別にCランクでもいいかなって思っているんだよ。出来ることは変わらないし。山地に行くようなことがあれば変わって来るんだろうけど、行く予定は無いしね。そもそも、こっちで十分に稼げているんだし、山地に行く必要が無いんだよね」
「成る程なあ。そこそこ稼げているって事なんだな。それで、奥地には行くつもりはないのか?」
「何度か行っているよ? でもそこまで強いって訳でもないしね。基本が調査依頼だから、戦闘よりも調査がメインだし。魔物の調査もやるけど、それ以上に困るのはトレントだからね。そっちの方が重要性が高いんだよ」
「トレント? 木の魔物だよね? それが何かあるのか?」
「奥地に行くと偶に居るんだけど、奇襲がメインなんだよね。木の根元で休んでたらそれがトレントで、地面に引きずり込まれるとかあるんだよ。見分けるのが大変だし、浅瀬にそんなのが来たら他の冒険者が狩られちゃうからね。出来ればトレントは見つけ次第に討伐って事になっているんだけど、それがどのラインまで来ているのかってのが調査かな。浅瀬にトレントが出たら、かなり危険なんだよ。普通のDランクだと負ける可能性もあるし。知らないと対処できない魔物って感じなんだよね。知っていると、そうでもないんだけど、Dランクで勉強までしている冒険者ってなると、少ないんだよ」
なんか、思ってたのと違うな。トレントって資源代表みたいな存在だと思っていたんだけど、結構強いのか。成る程なあ。樹精霊とはまた違うんだろうな。その近辺に居るのかどうかは解らないけど。




