49話 蜂蜜が狙われる
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商談は無事に纏まった。とりあえず場所の確保をしないといけないって話をしたんだけど、ここじゃない方が良いんじゃないかって僕が言った。畑が広い方が良いからな。村でこっそりとやる方が良いよと言った形だ。その代わり、精霊については下位精霊で何とかしてもらう。その内、中位精霊をと思っているが、ホムラが上位精霊になるには時間がかかると思うので、下位精霊の数を増やして何とかしてもらうつもりである。別の地域には火属性の下位精霊くらいなら居るそうなのだ。それを10体くらいテイムしてもらえば良いと思う。
蒸留装置についてはこっちで設計図を書いて提出した。結構適当な絵なんだけど、それでもどうにかなると思う。僕の蒸留器もどうにかなったんだし、何とかなるさ。多分だけど。鍛冶師が優秀ならそんなに苦労しなくても大丈夫のはずだ。ただ、鉄で作るとどうしても錆びるので、銅の方が良いと言ったけど。それについては費用的な問題は無いと思われる。
花については、何を育てるのかは解らない。それは向こうがちゃんと調査をして、良い花を探すだろうと思うんだよね。いやー、多分だけど、薔薇に似た何かがあると思うんだよな。園芸的に使われる様な花が。それを使うべきだと思うんだよな。香りが良いって事だと思うし。
で、これも交渉材料に載せて上級ポーションの作り方を聞き出すと。そういう作戦だ。まだ聞き出せていないようなんだよな。新しい薬の作り方を仄めかしても駄目だったみたいだし。眉唾だと思われたんだろうな。でも、次は交渉相手の奥方様に取り入る。優先的に手に入れますよと言わせる。しかも、競争相手が居ると伝えるとどうだろう。夫である貴族様を説得にかかるのではないか。恐妻家であれば最高だな。繋がりのある貴族家に売りに出すらしい。まずは順当に爵位の上の者から順番にという感じで。
早く上級ポーションが作りたいんだよなあ。お金的にはどうでもいいんだけど、上級ポーションを作れるってのが良い事だと思うんだよ。勿論だけど、S品質を目指していく。限りなく品質は高めていく。最上級ポーションに届く勢いのあるポーションを目指すのだ。誰も作ったことがない先へと踏み出していく。これが最高に楽しいって事なんだよ。例えモブであっても、クラリスと関わっている内は、僕だって上を目指せると思うんだ。クラリスの物語が華やかになる様に、僕もめいいっぱい頑張ろうと思う。
後は、テイムの使い方だよな。これに関しては色んな魔物を教えて貰って、それの有効活用を考えてくれって感じで言われてしまった。僕の発想力は乏しいぞ? 無難な答えにしか辿り着かないと思う。だって、今までの物言いは、知っていることを伝えただけなんだから。他の作者が作った使い方を説明しただけであって、僕のオリジナルじゃない。
だから、出てこない事もある。これに関してはあまり自信がないとも言ってある。全部の魔物に使い道があるとは思っていない。使えるのはごく一部だと思う。そのごく一部を僕の知っている作品から引っ張り出してこないといけない訳だ。これ以上に何を求めようと言うのかね? 割とこういう発想力で勝負するのは得意ではないんだけど。
それでもクレマンティウス商会の契約社員。雇われ薬師ですから。答えられる期待には答えていきたい。薬師関係ないんだけどなあ。まあ、その辺はいいかなって思っている。薬師に関係あるのであれば、頑張って問題に対処したいと思うが、そもそも、貴族様の薬は専門で作っている人が居るんだよなあ。そっち方面に線を伸ばしていっても、途中で消されるだけなので、伸ばさない方針で行く。民間で細々とやるんだよ。精霊と一緒になって薬を作り続ける毎日を送ろうと思っているんだ。あわよくば、就職先のメルクリウスさんが商会長になってくれれば有難いよねって話で。話が出来る人を擁立できれば、将来は安泰だよねって話でさ。
まあ、そんな訳で、キャラバンも去って行き、色々と課題も見えたメルクリウスさんでありましたと。僕は石を投げただけだ。その波紋をどう扱うのかは、メルクリウスさん次第になる。僕は出来る事の説明をしただけだ。それを活かすのかはメルクリウスさんが決めればいい。僕には出来ないことだってあるんだよ。土地も高いし、村を買うなんてことは出来ない。まあ、この町で別の家を建てるくらいの事は出来るけど、それをする意味がないしな。カルトールの領主様? 知らないなあ。どんな人なのかも知らない。出来れば関わりたくはない。良い貴族なのかが解らないからな。出来ればノータッチで。
そして、精霊をいつもの様に合成していくと。レインとシルフェとアースも上位精霊まではまだまだだろうしな。もう少し時間がかかると思う。まあ、時間がかかっても、何とか上位精霊までは持っていきたいと思っているけどな。お別れになるんだろうけど、それは仕方がない。それもまた人生……っていい感じに収められたら良いんだろうけど、どうせここに残るんだろうしな。
ん!? クイーンビーから連絡!? 助けてって言っているな。聖地に向かわないと。
「ちょっとクイーンビーの様子を見てくる!」
「行ってらっしゃいませ」
精霊たちも付いてきているな。クイーンビーの警報がかなり鳴っている。こうなることは半分くらいは予想してたけどな。やっぱりかって感じがする。蜂蜜泥棒が来るなら秋に入ってからだよなって思ってたら案の定。速攻で攻めてきやがって。……っく。AGIが8しか無いからな。こういう時に遅いんだよなあ。中央値くらいは欲しかった。何とかしないといけないけど、足が遅いのはどうにもならない。もっと速く走れる方が良かったよ!
とまあ、現地に行ってみたら、なんというか、制圧されてた。盗人の方が。シルバリがやってくれたみたいだな。怪我は最小限にしてあるみたいだけど、完全に気を失っているところだな。うわぁ、ハニービーの特攻跡が結構ある。激闘まではいかないにしても、結構ハニービーが殺されているな。どうしたものか。人数は5人。僕は1人。どうやって運べば良いんだろうか。これは難問だな。問題は片付いていたんだけど、処理をどうするのかだよなあ。
「やっと来たか。遅かったやんか」
「いや、AGIが低いんだよ。走ってもそんなに速くは走れないんだって」
「そんなん、アースとシルフェの力を借りれば一瞬やろ? 何を言うとんの?」
「ん? 何でアースとシルフェが出てくるんだ? 何をさせればいいんだって?」
「何でって、アースは土属性の精霊やで? トロッコくらいは作れるやろ? 中位精霊にその位は出来るで。それで、シルフェに追い風を吹かせてもらったら一瞬で来れるやろ? 何をさせればいいんやって言われてもやな。その位は使えやんとな?」
「マジで? そんなこと出来るの?」
「む? トロッコを作る事か? 造作もないが……」
「追い風くらいなら淡精霊でも出来る事よね」
「……そうか。思い付かなかった僕が悪いのか。まだまだだなあ」
「まあ、ええやろ。ほれ。これがこいつらの身分証やな。冒険者ギルドの所属になっとんで?」
「だろうな。……Fランクか。年齢から考えると、ギリギリまでサボっていた組だろうな。普通に考えたら、Dランクになっていないとおかしい年齢だ。17,8歳くらいあるし。何をしてたらずっとFランクで居られるんだろうな。まあ、没収するものはしておくか。武器とかも多少の金になるだろうし」
秋になって速攻で襲ってきた感じ、ずっと前から狙ってたな? まあ、こんなに簡単にあしらわれるとは思ってなかったのかもしれないが。ハニービーって割と面倒な部類の魔物だからな? 簡単にはいかないんだよ。これを冒険者ギルドまで運ばないといけないのか。面倒だな。




