41話 採取の冒険者を雇ったんだ
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「でも、そうなんだ。ふーん。Cランクで適正って事は、結構危ないって思った方が良いの?」
「いや、そこまでだろうな。寧ろやばかったらBランク以上ってなっているだろうし、Cランクでも請けられるって事は、そこまで難易度が高い異常なんじゃないって事なんじゃないかな。ギリギリのラインを攻めるって事は無いと思うからね。調査依頼だと普通は余裕を持たせるものだろうし」
「そっか。じゃあ、こっちは引き続き護衛依頼を請けつつ、ランク上げに使えば良いのかな。夜の魔物が案外美味しいって解ったしね。その分疲れるけど、休みを挟みつつ仕事をする感じで良いのかな? 多分だけど。お兄ちゃんたちがどうやって考えるのかだけかな」
「そうだな。稼げるというのであれば、稼いでおいた方が良いと思う。成果も行商人が買い取ってくれるだろうから、副収入は結構おいしいだろうし。普通だと捨てないといけない部分も解体で買い取ってくれるだろうからな」
「そうなんだよねえ。それでなんだけどさ、さっきから結構人が出入りしているよね? 今までは採取した素材を売りに来ているのって孤児院出身の冒険者だけだったじゃん? 見た事ない子供もいるなあって思ってみていたんだけど」
「ああ、それか。冒険者ギルドに採取の依頼を出したんだよ。契約で1日採取で幾らか。素材の量で出来高。そんな感じの依頼を出してみたら、案外募集に来た冒険者が多くてさ。聞いたら、討伐を毎日は無理でも、採取はその合間に出来るからって、ランクの低い冒険者が結構集まってきたんだよ。皆お金が欲しいのは一緒なんだなって思いつつ、毎日の討伐は無理なんだって思ったな。クラリスたちは普通に毎日ってくらいに行っているだろう?」
「そりゃあ、行く規模が違うもん。孤児院出身の冒険者のパーティーって通常のパーティーの3倍くらいの人数で潜るんだよね。だから数で圧倒できるから、そこまで大変じゃないんだよ。まあ、その分活動時間は長くなるし、新人は頑張らないといけないけど、フォローできる人が多くいるんだよね。その差じゃないかな。あたし達のパーティーは、護衛依頼の時は6人に分けたけど、全員で24人いるし。普通は3人から8人パーティーを組むことが多いかな? 人数が少ないパーティーばかりがやって来たんじゃない?」
「確かに。3人から5人のパーティーが多かったな。でも、パーティーなんて合体させれば良くないか? 辛いんだったら皆でやればいいじゃん?」
「それが出来ないんだよね。大体がリーダーを誰がするのかで揉めるんだって。あたし達は年長者がリーダーをやれば良いって思っているけど、普通はそうじゃないらしいんだよね。自分が自分がってなるんだってさ。でも、それで自分たちが苦労しているんだから、しょうがないなって思うんだけど、何でなのかな?」
「ああ、まあ、その辺は男としてのプライド的な? そういうのもあるんだよ。女性ばかりだと、……今度は余計な派閥が出来そうな気がするな。男女混合だと、性の乱れが入ってくるだろうし、どの道無理な話になってくるのか。まあ、僕としては採取の人が集まって万々歳なんだけどね。最近は結構な消費をしているから、採取してくれるのは助かるんだよ」
「そうなの? こっちとしては採取をしてたお陰で、護衛依頼の時にも採取物が売れたから有難かったけどね。採取ってする人としない人が居るから。特に人数が少ないと警戒しないといけないから、採取に割く余裕なんて無いし。これを機にちゃんと大型のパーティーを組めばいいのにな」
「だよなあ。しっかりと稼げるのであれば、こっちの依頼を請けに来なくても良いんだからな。……寧ろ今まで聖地でやることは無かったのかと問いただしたい」
「そりゃあ、そうだよ? だって、冒険者ギルドでは鑑定をしてくれないもん。素材の名前が合ってなかったら買い取ってくれないんだから。必要な素材なのかどうかの鑑定持ちもちゃんと必要なんだよ? それが3人の所だと誰も居なかったりするし、そもそも採取しようと思わない事もあるんだよね。でも、ミシェルの所は買い取る時に鑑定してくれるし、冒険者ギルドよりも高値で買い取ってくれる。ここまでされたらそりゃあ楽だよね。間違えても自分の出来高が減るだけだし。ギルドだとそもそも買い取ってもくれないよ? 間違えた素材があったら信用が無くなるもん。Dランクにも辿り着かない冒険者になっちゃうじゃない?」
ああ、冒険者ギルドでの鑑定は行っていないのか。だから素材各種って感じで取ってきても仕分けの必要があり、しかも間違えたら駄目なのか。それは面倒だな。ただ、利益との兼ね合いもあるだろうし、鑑定持ちを揃えることを思ったら、それの方が良いのか。僕の所には何故か鑑定持ちが3人も送り込まれてきたから、今みたいな事が出来ているだけで。そっかそっか。そこまで優しくないんだな。という事は、この依頼は出して正解って事になるな。ここまでの素材を集めないといけないんだから、専用で依頼を出しておいて正解だ。そうしないと物が集まってこないだろうし。
しかし、冒険者ギルドも結構な厳しさがあるんだな。誰でも成れるDランクにも成れないって事は、そういう事なんだろうな。孤児院出身の冒険者に取っては誰でも成れると思っているかもしれないが、他の人から見たら、誰でも成れるって事は無いのかもしれない。何で孤児の方が優秀なんだっていいたくはなるが、孤児は団結しないと生きていけないからな。生きていくための、世の中を何とか渡っていくだけの力が身についていると言っても良いのか。コミュニケーションも取れないと、この世界ではやっていけないからな。コミュ障には生きづらい世界だ。僕もコミュ障じゃなくて良かったな。コミュ強って訳でもないんだけど。
「冒険者ギルドも案外厳しいんだな。利益にならないと思えばちゃんと切るところが凄いよ」
「そんなの当たり前じゃないの? 何でわざわざ買い取る方が鑑定しないといけないのかって話もない? ある程度は解っていて当然だと思うんだけど」
「まあ、それはそうなんだけど、それを言うと、僕にも色々と刺さるからなあ。僕も「鑑定C」までしか持ってないし。自分で作った薬も鑑定できない事もあるし。しっかりと鑑定を覚えられたら良かったんだろうけどな。そんな都合よくはいかないか」
「だから人数でカバーするんだけどね。人数が居れば何とかなるし。その内あたし達だけでも、護衛依頼を達成したいと思っているんだよね。その実績が欲しいんだよ。そうしたらCランクも直ぐだろうし。でも、この調査には間に合いそうも無いね」
「それは無理筋だろうな。ランクを上げるにしても、10回は護衛依頼を熟さないといけないだろうし。単純に考えたら100日は必要だ。往復で10日なんだから、その位は必要ってなる。そうなってくると、1年はかかるんじゃないか? ランクを上げるのも大変だよな」
「まあね。それでも、今のうちに上げておけば、今後の冒険者志望の後輩たちも指導できるし、ランク自体は上げておくべきだと思うけどね。Bランクは要らないけど。それでも上がったら上がったで良い事もあるかもしれないし、上げておく方が良いのかな?」
「さあ? 低くて得をすることは無いと思うけどね。上げておけるのであれば、どんどんと上げておくべきだと思うよ。Sランクは無理だろうけど」
多分だけど、Sランクはそれ相応のスキルを要求されると思うんだよ。それこそ先天スキルを持っているとかで。それくらいまで強くないと貰えないんじゃないかな。




