最終話 精霊の楽園が出来るだけなのでは?
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「師匠、今日の薬の出来を見て欲しいです」
「師匠、ここの所がよく解らなくて……」
「師匠、ここまでは出来るんですけど、この先がどうも解らなくて」
「ちょっと待ってね。1人1人見ていくから。それまでは作業を続ける様に。見ただけで解る事でもないんだし、自分で頑張ってみても良いと思うんだよ」
あれから年月が経ち、年齢も40歳になった。弟子も数多く抱え込み、独立していった弟子も居るくらいだ。まあ、薬師としてやっていくには難しい所ではあるかもしれないけどね。キャラバンと契約をしないといけないだろうから。……今はもうメルクリウスさんでは無くなっている。それでも、このルートのキャラバンは来ているから、優遇されているとは思うんだけどね。メルクリウスさんももう引退してゆっくりしているって話を聞いている。
でも、相変わらず精霊信仰とカルトとの戦争は続いている。そろそろ次代が育ち、精霊信仰をしていない国との差が大きくなると言う事で、新しい国を攻める準備をしているそうだ。情報はなんだかんだと集めているが、戦争とは無縁の地域だからな。長く苦しい戦いにはならないと思うけどね。なんだかんだと言って、精霊信仰をしている地域としてない地域では格段に差があるから。むやみやたらに騒ぐことではないのかもしれないけど、それだけ有利になっているって事なんだよ。
子供たちも独立したり、この町で作業をしていたりと色々とあるんだよ。特にカルラは薬師としての才能があるから残っている。他の子たちは大体が冒険者になった。冒険者として大成していると良いんだけどな。……問題はパーティーメンバーなんだよ。1人が強くても問題なんだ。この世代はかなりの子供たちが産まれていると思うんだけど、そのほとんどが軍隊に入っているらしいからな。同レベルの子供って中々いないんじゃないかな。そうなってくると台頭するのも難しくなってくるはず。そういう網から逃れてきた子供がどの位居るのか。
軍隊が強くなることは良い事なんだけどね。色々と問題が起きると、軍も出ないといけないし。ついこの間もスタンピードが起きたらしいんだよ。この近くで起きたんだけど、その時も冒険者よりも軍隊の方が動きは良かったらしい。……これはランスロットに聞いた話なんだけどね。ランスロットもスタンピードを経験したいって事で、この地域に帰ってきていたんだ。普段は山地の方で狩りをしているらしい。やっぱり固定パーティーは難しいらしいぞ。どうしても嫉妬の対象になるからな。仕方がない部分ではあるんだけど。それでも一定の成果は上げられているらしい。何とも頼もしい事だ。まあ、後れを取るような事はそうそう無いとは思うけどね。
後は、蜂蜜の値段が大幅に下がったことがあるかな。生産量がどんどんと上がっているらしい。クレマンティウス商会が積極的に養蜂の技術を広めている関係で、何処でも安価に蜂蜜が食べられるって事になってきている。それでもまだまだ足りないらしい。ここでも増員をして色々とやっているんだけど、それでも足りないって言われているんだから、まだまだ広めるつもりなんだろうと思う。増やし過ぎてもどうかなとは思うんだけどなあ。商売として成り立つラインで増やすのを止めないといけないと思うんだ。その辺は今の商会長がどう思っているのか次第なんだけど。養蜂をメインにしていても食べていけるような職業にしないといけないと思う。まあ、余力はあるから、専業よりも副業の方が向いている気がするんだけどね。
新しい薬は開発できていない。というよりも、全ての薬が出そろってきているって話である。後は魔物由来の薬がまだ開発できるって聞いているけど、そもそもドラゴンの血が必要だったり、世界樹の葉が必要だったりと、容易に準備が出来ないものしか残っていないらしいんだよ。これは原初の精霊様に確認してもらった。あとどのくらいの薬が出来るのかって確認をしてもらったんだ。そうしたら、9割方は薬が作られているという回答が帰ってきた。量産できない薬をどうやって用意すれば良いんだよって話でしかないので、この薬については諦めた。素材が回ってきたら考えてもいいかなって思うけど、トライ&エラーをやり続けるのも費用が問題なんだよね。答えを聞いても良いんだけど、それはなんとなくはばかられるし。
それと、精霊信仰についてはもういい感じに広まっているとしか言いようがない。聖女アニメルの聖地からどんどんと最上位精霊がお出かけしていっている。……既に沿岸部までの町全部に精霊が準備されているんだから、凄い事だと思うんだ。農村部にも土属性の最上位精霊が向かったり、水属性の最上位精霊が向かったりと、生産能力も上げられるようになっている。
精霊信仰を広める事には成功しているんだ。これには原初の精霊様もにっこり。僕もお褒めの言葉を貰ったぞ。カルトが徐々に減っていっているらしいからな。まあ、国教になってしまった国もあるので、そういう国とは戦争をしないといけないんだけど。戦争になっても仕方がないよなあ。もう少しなんとかしないといけないのはその通りなんだけど、僕に出来ることはないし。積極的に戦争をしていくくらいしか道は残っていないと思う。今更精霊信仰に変わってくれる国も無いだろうしね。
「なんや? こっち見て。何かあったか?」
「いや、何も無いよ。シルバリが何でこの家に居るのかなって疑問ではあるんだけどさ」
「そんなん決まっとるやん。聖地に居るのも飽きたからやな。こっちの方がなんやおもろい事があるんやないかと思ってな。ミシェルにしても、カルラにしても、見える人間が居った方がやりやすいわな。皆が戻って来とるのはそういう事なんや」
「いや、別に悪いとは言ってないんだけどさ。それに、聖地があんな状態だからこっちに来たいと思うのも仕方がないかなって思うのもあるし。……増えすぎだよね? 何でまたあそこまで増やしたんだよ。もうちょっと加減とかしなかったのか?」
「仕方がないやん。既に最上位精霊が生まれてくるだけの精霊が居るんやから。好き勝手に各地に向かっている奴らが殆どやで? 最上位精霊が死ぬことなんてまず無いし、精霊が増えるのは当たり前の事やろ? その内聖地に落ち着くやろとは思うけどな。他の聖地はまだここまでにはなってないはずやからな。色んな場所を見てきたらええと思うんやけどなあ。うちはここの方が居心地がええからここに残っとるけどな」
そんな訳で、聖女アニメルの聖地では既に最上位精霊が溢れ出てしまっている。それで町を歩けば、1日に100体以上の最上位精霊とこんにちはする事になるんだよね。見える人とは会話もするし、ついていったりするんだけど、見える人はまだまだ少ない。というか、見えたら積極的に雇用されるからな。この町で「精霊視S」を持っている人は貴重だと思うぞ。大体が代官様の所で買われるか、クレマンティウス商会に買われるかしているし。
「これからもどんどんと増えると思う。やけど、止められへんのや。世界が精霊で満ち溢れる様になるのも時間の問題やろな」
「それは良いんだけど、色々と心配事があるっていうか。まずは精霊信仰を始めてくれないと意味が無いからなあ。それはどうやってってなると思うんだよね。僕が出来る事ってもう無いと思うし。薬師の弟子を育てる事くらいしか出来ないと思うんだよね」
「それで十分やないか? 別にミシェルが何かせなあかん訳ではないやろ? 世界はなる様になるんや。このままでええんと違うか?」
まあ、そうなのかもしれないけど。このまま精霊がどんどんと増えていったら、どうなるんだろうか。世界が精霊で溢れて、悪いことは起きないのかが心配だ。無限に精霊が増えるって事態になっているんだから。その頃には僕は死んでいるだろうからな。僕には関係のない話なのかもしれないけど。精霊の楽園が出来るだけなんじゃないかなとは思う。多分だけど。
ここで完結。イベントが消化したので、後はスローライフが続くだけになるので、ここで打ち切りに。楽しんでもらえたのであれば幸いです。無理やり書こうと思えば書けるんだけどって感じですね。ダレるよりは良いのかなと。では、これが投稿される頃にはまた別の作品を書いていると思うので、よろしければそちらもお願いしたいと思います。
では、ここまで読んでくれてありがとうございます。次回もよろしくお願いします。




