13話 下位精霊が出来たよ
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「サンキュー！ 助かるぜ。麻痺猛毒って使ったことないけど、高いんじゃないのか？ それなのに500レギンで本当に良いのか？」
「良いよ。店売りはするつもりはないし。けど、買うなら1800レギンって話だから、それを買うくらいならこっちで買いなよ。これを作るくらいは簡単だから」
「げ！ そんなにするのか……。でも良いのか？ そっちの儲けが少ない様な気がするけど？ いや、こっちは有難いぜ？ 安くていい薬なんて使わせてもらっているんだからさ」
「問題ないかな。安く作れているのは事実だし、それにあまりお金を回収しなくても良くなったしね。それくらいで良いんだよ。ただ、店に売るのは止めてよね。それ売るだけで900レギンになっちゃうんだから。お金が欲しくても、冒険者業で稼いでほしいかな」
「それくらいは解っているさ。俺達だってプライドはあるからな。でもまあ、この麻痺猛毒は有効活用させてもらうぜ。ありがとな。無茶を聞いてくれて」
「こっちこそ。新しい薬を作る切っ掛けになったんだし、定期的に買いに来てよね。売るくらいは普通にするから」
孤児仲間から回収しなくても十分に儲かる話だしな。結局はC品質にまで落としたんだけど。流石にS品質の麻痺猛毒はやめておいた。お守りにって渡しても良かったんだろうけど、それでも誰かが知る可能性もあったからな。出来れば誰も知らない方が幸せなんだろうと思う。こっそりとメルクリウスさんには情報を流すけど。多分だけど、良い感じに使ってくれるんじゃないかと思うんだよね。S品質の麻痺猛毒はC品質の麻痺劇毒に相当するような気がしている。初級ポーションもそれだったんだから、多分だけど、その位の価値があると思うんだよ。詳しいことは知らないけどさ。
その内教えて貰う日がくると思うし、何時になるのかは解らないけど。またキャラバンが来ると思うんだよね。その時にでも聞けばいいかな程度の話なんだよ。キャラバンはメルクリウスさんの所しか来てないみたいなんだよね。他にもあるんだって話だけど、他のもっと重要な土地に向かうのが多いみたい。メルクリウスさんは聖女アニメルの聖地が重要な土地だって思っているみたいだけど。
聖地は確かに重要だとは思うけど、動物も魔物も寄り付かないからな。虫は居るけど、鳥も殆ど見かけないし。なんか各地にそういう場所があるらしいんだよね。聖地の中でも、ここは特にいい聖地って訳でも無いっぽいんだよな。もっと凄い所は凄いらしいし。僕はここの聖地しか知らないから、何とも言えないんだけどさ。
ここは結構いい土地だと思うんだけどな。色んな素材があるし。鑑定できない素材も多いけど。それでも何とか薬師をやれているんだから、十分だと思うんだよね。今日もまたいっぱい素材を入手して、精霊もテイムしてを繰り返しているんだけど、精霊も何処からともなくやってくるから、無限にテイムできるんだよなあ。町中にも居るから、結構テイムしているんだよ。聖地に居るのは、聖属性と水属性、風属性、土属性が多いんだよね。そこに毒属性、光属性が加わってくるんだ。町では闇属性も偶に見かけるし、火属性も偶にいる。樹属性の精霊と雷属性の精霊は見たことがないんだけどさ。樹属性の精霊も居てもおかしくはないんだろうけど。ここにも木はある程度生えているんだし。もっと奥地に行ったら居るのかもしれないけど、流石にな。迷子になる可能性があるのに、奥地にはいけないよ。
でも、やっぱり圧倒的に多いのが聖属性だよな。流石は聖地。聖属性のたまり場になっているんだよな。水属性も次いで多いけど、やっぱり聖属性だよ。今日も30くらいの精霊をテイム出来たし。上々じゃないかな。今日も後で纏めて1体の精霊にしてしまうんだけど。何時になったら淡精霊が下位精霊になるんだろうな。楽しみで仕方がないんだよな。
そして、いつもの様に調薬をしていく。精霊の力を使って、S品質の薬を多く作っていく。今の所、S品質の薬を作れているのは、傷薬、風邪薬、目薬、火傷治し、下痢止め、痒み止め、初級ポーション、初級魔力ポーション、麻痺猛毒となっている。それぞれの作り方もしっかりと記録してあるし、麻痺猛毒に関しては、結構重要な物になると思っているんだよね。それもしっかりと管理をしてもらわないといけないと思う。こっちでもストックをかなり作っているんだけど、それでも何とか部屋に押し込んでいるし。そろそろ引っ越しも考えないといけないんだけど、まだ家は出来ていない。まあ、10日くらいで家が建つとは思えないので、仕方がないんだけどな。でも、後10日で家が出来そうではあるんだよなあ。いくらなんでも早すぎると思うんだけど、これもスキルの関係なのかな。詳しくは解らないんだけど、家って普通に建てるなら3か月くらいはかかるんじゃないのか？
地球基準の工事ってその位はかかる気がするんだけど。まあ、こっちは異世界。何を基準にしていいのかが解らないんだけどな。高級な木材を使っている訳では無いから、そこまでじゃないんだろうと思う。ストックも沢山してあるんだろうし、材料費も案外安いのかもしれない。まあ、多分だけど、一括で金額を払ったのが大きかったんだろうとは思うけど。そうしないとね？ 費用の保証が無いと、作り損って事もあり得るだろうし。
そんな訳で、引っ越しまでは薬を沢山作っておかないといけないんだよ。大きな家が建つことになるんだよなあ。凄いぞ。2階建ての1階だけで12LDKくらいだからな。何でこんなに広いんだよと思うかもしれないが、その位が普通なんだって。……普通なのか。基準が解らないんだけど。孤児院よりも広くなることは確定しているんだよなあ。誰が何人住むんだろう。僕が住むのと、クレマンティウス商会が雇った鑑定士を住まわせるとして、他の人は？ 誰が住むんだろうか。
まあ、最悪は孤児院の冒険者組を住まわせてあげればいいかなって思っている。孤児院も空きが無いと困るだろうし。困ってきたらお互い様だとは思うんだよね。
そんなこんなで薬を作り終わって、精霊を合成していたんだけど、聖属性の精霊が、人型に変化したんだよ。こう、2歳くらいの子供になったんだよな。……多分だけど、下位精霊になったんだろうと思う。これまでで、500体くらいの精霊を合成してきたと思うんだけど、その位がボーダーラインなのか。それとも力の大きさで違うんだろうか。その辺はよく解らないんだよな。
「うみゃ～？」
「うん。解るかな？ 僕はミシェルっていうんだ。君をテイムしているのは僕なんだよ」
「ミシェル！ 解る！」
「良かった。解るんだね。えっと、呼ぶのに名前が無いと困るから、名前を付けてもいいかな？」
「解った！」
「じゃあ、そうだな。うーん。シルバリなんてどうだろうか？ 綺麗な銀髪だからって事で決めたんだけど、どう？」
「うち！ シルバリ！ うちの名前！」
「うん。喜んでくれたみたいで何よりだよ。よろしくね、シルバリ」
「うん！」
子供が出来ました。いや、気分的には本当にそれなんだよなあ。完全に子供である。でも、500体くらいで漸く下位精霊になれるのか。これは朗報だな。てことは、水属性と土属性と風属性の精霊ももうすぐだと思う。その位は合成してきているしな。でも、次の中位精霊になるには、どの位の合成をしないといけないんだろうか。何処までもしないといけないってなると、中々に厳しいものがある。でも、目標が1つでも出来たのは大きい。とりあえず500体くらい集めたら良いって事が解ったからな。どんどんと子供を増やすのか。賑やかになりそうだけど、大丈夫だろうか。精霊は「精霊視S」が無いと見えないからな。どうしよう。シルバリに構ってあげる時間は少ないかもしれないんだけど。
