第7話 『休息』
ひとまず僕たちとシャリーがお互いに挨拶を終えると、シャリーは「皆さん、どうぞお入りください。」と言ってくれたのでお言葉に甘えてお屋敷に入った。
1歩足を踏み入れると思わず息をのんだ。
外観も凄かったが、やっぱり内装も凄く豪華だ。
当然だが、お屋敷に入るのは生まれて初めてだし、そもそも現実世界ではこんなに大きなお屋敷はないだろう。
これだけ広いお屋敷ならなんとなく、冷たくて寂しい雰囲気になりそうだが、お屋敷の中はカーペットが敷いてあり、なんとなく温かい雰囲気を醸し出している。
不思議なものだ。それと、やはり窓も多いので日の光もたくさん入ってきている。
シャリーは階段を上り、廊下を進み、どこかの部屋に行こうとしているようだが、歩調やけに速いので、おいて行かれない様にしっかりと後をついていく。
愛実と友もお屋敷の中を見ながら歩いているようだ。
その後も何とかシャリーの後ろを歩いていくとやがて、「ここが私の部屋です。」と言い、ドアの前で止まった。
シャリーはドアを開けると、「どうぞ」と言ってくれたので、「お邪魔します。」と言いながら足を踏み入れた。う~ん。やはり部屋まで大きい。
「広い部屋ですね。僕の部屋の3倍くらいありますよ。」と思わず言ってしまった。
「そうですね・・・自室として与えられる部屋の中でも大きい方の部屋です。」
「大きい方、というとやっぱりもっと大きい部屋の人も居るんですね。」
「ええ。私の母と父の部屋です。」
「ああ、なるほど」
そんな会話をした後、シャリーは部屋の中にある机に近づいていき、どうぞ皆さんも座ってください、と言いながら周りにある椅子の1つに座ったので、僕たちは言われた通りに座る。
3人とも座ると、「改めまして、シューザント・シャリーです。呼びやすいように呼んでください。」そう言いながらシャリーは頭を下げた。
僕たちも改めて自己紹介をした方が良いのでは、と思っていると、ドアをノックする音が聞こえ「入ってもよろしいでしょうか。」と言う女性の声が聞こえた。
「皆さん、よろしいですか?」とシャリーが僕たちに聞いたので僕と愛実は「どうぞ」と、友は「ええ」と答えると、「入っていいわよ」とシャリーが言った。
シャリーが返事をしてから扉が開き、「失礼します」と言いながらメイドさんがティーカップやケーキを載せたカートを押しながら入ってきた。
メイドさんは「紅茶とケーキをお持ちいたしました。」と言うと、洗練された動作でテーブルに用意していく。
あっという間に僕たちの目の前にはケーキや紅茶が並んだ。
本物のメイドさんは初めて見たが、アニメやマンガの世界と同じく、テキパキと働いているようだ。
用意が終わると、メイドさんは「失礼いたします。」と頭を下げると、部屋から出て行った。
「どうぞお食べください。」とシャリーが言ってくれたのでお言葉に甘えて食べることにした。
「いただきます」と僕たちが言うと「私もいただきます」と言い、シャリーも食べ始めた。
1口食べると、衝撃が走った。決して大げさでも比喩表現でもなく、本当に衝撃が走ったという表現がふさわしいほど美味しい。
口の中に甘みが広がり、ケーキに乗っているイチゴのほんのりとした酸味も相まって絶妙な美味しさだ。スポンジもふわふわで、これまた美味しい。
やや興奮気味に思わず「このケーキ美味しいですね!」と声に出すと、愛実も「こんなにおいしいケーキ食べたこと無いです」と言った。
友も、満面の笑みになって、すごく美味しそうに食べている。
シャリーは友の顔を見てから、「皆さんに気に入っていただけたようで良かったです。」と言い、「うちのシェフが作ったんですよ。」と微笑みながら付け足した。
『うちのシェフ』、まさしくお嬢様と言う感じのセリフだ。
そんなティーブレイクを終えると、シャリーは、
「それでは、そろそろ、なぜ私が富貴さんと愛実さんの夢に現れたのか、お話しします。」と言った。