#10 学園の闇4
僕とヒドラさんは家へ帰るために昇降口へ向かっていた。ヒドラさんが『一緒に帰りたい』とか言い出すからしょうがないという体で引き受けた。ヒドラさんってばよっぽど僕のこと好きなんだなぁ……僕は君のことを可愛いとは思ったことあるけど、別に好きってわけじゃ…怪物だし…。
「ねぇ…からすくん、あそこ…ラミアちゃんいる」
ヒドラさんが指を指す方を見てみた。
そしたらその場から動かず外で佇んでいるラミアさんがいた。誰か待ってるのかな...
「...ラミアちゃんめちゃくちゃ可愛いね......」
『うん』
ラミアって誰だ?ってなった人もいるだろうから教えよう。
ラミアさんはこの世界の中でもかなりの美女である僕の後輩。ラミアさんに関しては本気で可愛い。僕の中ではほぼ1位レベルで可愛い。結婚したい。
そんなものすごく可愛いラミアさんにはとても悲しいお話がある。この話を話すついでに、今回を機に美女が出てくるときはある夫婦も脳内に見え隠れさせておいて欲しい。
まずラミアさんはめちゃくちゃ可愛いと先に言わせてもらったが、僕以外の人もそう感じるぐらいの美貌をラミアさんは持っていた。ちなみにラミアさんはポセイドン先生の孫に値して、王女とされている。
で、ここで出てくる。
僕らの世界を知っている人からすると『またお前か』という感想しか出てこないかな。
ゼウス先生。
この学園内では校長先生だけど、分かりやすくゼウス先生と言わせてもらおう。
ゼウス先生は酷い浮気性を拗らせた全能と言われる神様。最高神でこの学園の創立者である天と大地の孫。
このゼウス先生、見つけた美女を速攻犯すという最低男。ポセイドン先生とかもそういう感じだけどね...
この時点でもうわかったと思うけど、ラミアさんもゼウス先生に犯された身の1人。そしてこの世界では謎に妊娠率がえぐいから犯されたラミアさんは孕んだ。
いやほんとに妊娠率おかしくない!?何発やったんだよ!!
もう既に可哀想だけど、さらに悲劇はおこる。
ゼウス先生の妻のヘラ先生。
ヘラ先生はよく嫉妬で狂ってゼウス先生の浮気相手やその子供に残虐な仕打ちをする。
今回のラミアさんはまずヘラ先生に子供を殺された。
流石に学校中で騒ぎになった。だけどヘラ先生はそんなの気にしなーい。
それを知ったゼウス先生はちょっとの償いなのか知らないけど洞窟にラミアさんを隠した。
でもこの世界は可哀想な人ほど可哀想なオチを迎える。ヘラ先生にはすぐ見つかり、上半身が人間で下半身が蛇の怪物に変えられてしまった。異形だけど上半身はほんっとに可愛い。
可哀想な話だと思うけどこの世界ではこのパターンが多い。特にヘラ先生はパッと殺してしまうんじゃなくて、醜い姿に変えて生かせる。僕の体罰もそれに近いかな。アポロン先生からのだったけど。
でもヘラ先生の怒りはそんなんじゃおさまらない。暴走し続けるヘラ先生はラミアさんが悲しみや絶望から逃げられないように眠りの神ヒュプノス先生の力を借りて眠りまでも奪ってしまった。いわゆる不眠症。
それに酷く絶望して気が狂いまくったラミアさんは異性や子供を口笛で誘惑して食らうようになったとか。
普通にこんな人が学校出入りしてたらやばくないかって思うだろう。これまたゼウス先生の償いなのか知らないけど、彷徨い歩くラミアさんを止めるため、両方の眼球をくり抜いて休ませてあげたらしい。だから今は穏やかに生活できている。
お前が犯さなかったら何もなかったんだぞってつっこみたい話だけど、ゼウス先生が絡む話っていうのは基本こんなのしかない。
もうこの時点で終わってるんだよこの学校。校長がこんなやつな時点でろくな学校にならないんだよ。
はぁ......
なんか疲れてきた......
「...からすくん!!」
『...あ......何?』
こんなこと考えながらずっとラミアさん見つめててヒドラさんが傍にいること忘れてた。
「ずっと呼んでたのにぼーっとしてるから......行こ!!」
ちょっと強めに手を引かれた。もしかしてなんか怒ってる?
『...ごめん』
なんで不機嫌そうなのか知らないけど表情が怒ってそうなあざとい感じだったから謝っておいた。
ヒドラ「別に!!」
と言って、僕の手を引きながら走っていった。しかもさっきまで可愛い可愛いって言ってたラミアさんをガン無視して。いや...絶対怒ってるじゃん......
でも...
可愛すぎるな.......