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最強の主人公は作者に反旗を翻す  作者: 無知の無知
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【第十三話】優作の漫画①

 朝起きて、身支度をして、少しだけペンタブを弄って学校に行く。学校では漫画のシーンを少し手直しして、帰宅。帰宅したら宿題をやって、ちょっと漫画を読んで、寝る前の小一時間に自分の漫画の修正作業をして寝る。ここ最近の生活はこんな感じだ。漫画大賞を狙っていたあの時期とは打って変わって、僕は毎日毎日、淡々と漫画を描き進めていた。最後のシーンは、まだ描いていない。最後のシーンは一番最後に描くと決めている。だからそれ以外の手直し作業を毎日欠かさずやることにしたのだ。そして明日に休みを控えた金曜日の夜、僕は最初の二話の手直しを終えることにした。

 第一話、最果ての村。草原には竜が舞い、町では道端で子供が魔法を使っている、そんないわゆるファンタジーの世界を背景に、物語は遠く離れた辺境の地、最果ての村から始まる。


・・

・・・

 ここ最果ての村は、樹木が一本も生えていない氷の砂漠に囲まれた村。非常に貧しく、他の国との交易も少ない。さらに、周りは危険な魔物に囲まれており、常に死と隣り合わせである。当然、そんな村になど誰も住みたがらず、ここに住む人は皆、国を追われて来た人か、職を失った人ばかりだ。そんな村でも明るく過ごしているのが、この物語の主人公、ジェイドだ。ジェイドは誰に対しても明るく、太陽みたいな人物である。そんなジェイドはある日、おつかいを頼まれる。


ジェイド母「ジェイド、少し頼み事があるんだけど、いい?」

ジェイド「母さん、何?」

ジェイド母「外に出てエーデルの花を取ってきて欲しいの。父さんが怪我しちゃって、その傷を治すのにどうしても必要なの」

ジェイド「エーデルの花か、きっつ」

ジェイド母「もし探しまわっても無かったら、帰ってきていいからね。明日、隣のメルビさんに頼むから。ほら、今日メルビさん、隣町まで行っていていないのよ。ジェイド、お願いね」

ジェイド「ま、わかった。やるだけのことはやってくるわ」


 エーデルの花は氷河砂漠に生えている白い色の花だ。数が少ないわけではないが如何せん白い花のため氷河に溶け込んで探すのが難しい。それでも、薬草効果があるため村では重宝されている。やれやれと言ってジェイドが村から出発しようとすると、透き通った白い肌に白いウェーブのセミロングヘアをたなびかせ、もこもこした服を着ているちょっと小柄な少女が話かけてきた。


アスタ「ジェイド、どこ行くの?」

ジェイド「あぁ、今からエーデルの花を採りに行くんだよ。親父の怪我の薬のためによ」

アスタ「へぇ、そうなの。でも、エーデルの花って、大変じゃない?」

ジェイド「まぁな、すぐ見つければいいけどよ…」

アスタ「じゃあ、私が手伝ってあげる」

ジェイド「マジか、助かるわ」


 ジェイドに話かけてくるこの少女は、ジェイドの幼馴染のアスタだ。アスタとジェイドは仲が良く、何かにつけて一緒に行動している。そして、今回の花摘みも一緒に。


ジェイド「あ~、エーデルの花かぁ。すぐ見つかればいいな~」

アスタ「いつもはメルビさんが取ってくれていたから楽だったのにね」

ジェイド「メルビさん、エーデルの花を見つけるの本当に上手いよな。なんであんなすぐ見つけられるんだろ」

アスタ「なんか昔、よく花を摘みに行かされてたんだって」

ジェイド「じゃあ、俺らもいずれすぐに見つけられるようになんのかな~」


 そうこうしているうちに、目的地の雪砂漠にたどり着く。ジェイドとアスタは必死になって花を探すが見つからない。


ジェイド「なかなか無いな~」

アスタ「こっちも…、無い」

ジェイド「俺、向こうを探してくるわ」

アスタ「じゃあ、私はあっちに行ってみよ」


 やっとの思いでアスタが花を見つけるが、運の悪いことに氷河竜、コールドラギオスと鉢合わせてしまう。


アスタ「あ、あった!ジェイド~!!」

コールドラギオス「グルルルルッゥゥゥ!!!!!」

アスタ「あ、あっ…」

コールドラギオス「グワァァアアアアアアア!!!!!」


 竜の咆哮を聞き、ジェイドが駆けつける。アスタが、なんとか特技で対抗しているが、ほとんど効いていない。このままでは、殺される…。


アスタ「お邪魔砂埃!!お邪魔砂埃!!!」ゴォォオオオ!!

コールドラギオス「グワァァアアアアアアア!!!!!」

アスタ「き、効かない…!!!」

ジェイド「アスタ!!」

アスタ「じぇ、ジェイド…!!ど、どうしよ、こいつ…!!」

ジェイド「この、てめぇアスタに…!!!」


 竜に襲われるアスタを必死に助けようとするジェイド。しかし、アスタと同様、ジェイドも最低限の魔法と技しか持たない。万事休す…そんな中、天から声が聞こえてくる。


「お前に力を授ける。待っているぞ」


ジェイド「…え?」

アスタ「ジェイド!!」

ジェイド「あ、あ…」

ジェイド「アスタ、目をつぶれ!!」

アスタ「え、う、うん!!」

ジェイド「アマテラス!!!!!」


 ジェイドが詠唱すると、眩い光が辺りを包むみこむ。


コールドラギオス「グワァアア!!!!????」


 光に目をやられたコールドラギオスは、驚き、巣に逃げ帰った。


アスタ「た、助かったぁ…!!ジェイド、ありがと!!」

ジェイド「あ、あぁ…」

ジェイド(今の、力は…?)


 村に戻ったジェイド。ジェイドの父と母はジェイドの帰りを喜び、アスタは安全な家に帰って来たことに安堵していたが、ジェイドだけは静かだった。ジェイドは、さっきの声、そして自分の力のことが気になっていた。

 その夜、家の外で謎の力を使ってみる。分身、瞬間移動、大ジャンプ、思い描いた技は全て意のままに操れた。あの声は、この力は、一体…。この力がなんなのか、知らなくてはいけないと直感した。すぐにでも旅に出るべきだと思った。しかし、そんなことを村の人に言っても村の人は聞いてくれるはずがない。若くて有望、そんな人間を手放したくないのだ。どうするか…と悩んでいると、夜、アスタがジェイドのもとへやって来た。


アスタ「ジェイド、お疲れ」

ジェイド「あぁ、アスタ…」

アスタ「お昼はありがと!お昼のジェイド、ちょっと見直しちゃったかもね。なんちゃって!」

ジェイド「あぁ…」

アスタ「どうしたの。ジェイド?」

ジェイド「…アスタ、聞いてくれるか?」


 ジェイドはアスタに力のことについて話す。変な声が聞こえたこと、力の源を知りたいこと、旅に出るつもりであること…。


アスタ「そっか…」

ジェイド「でも、旅に出るなんて言っても、絶対に認められないよな。特に、村長なんて絶対に認めてくれないよな…」

アスタ「……」

アスタ「…ジェイド、私に任せて!いい考えがある!!」


 そして、次の日…


ジェイド「村長さん、お願いします!!」

村長「…はぁ、仕方ない。認めよう。その代わり、強くなって戻ってくるんだぞ!!」

ジェイド「はい!では、失礼します!!」


 ジェイドが村長の家を出ると、アスタが待っていた。


ジェイド「ふぅ…」

アスタ「ジェイド、うまくいった?」

ジェイド「あぁ、おかげさまでな。ありがとな、マジで!」

アスタ「じゃあ、今度その力で美味しい肉とか採ってきてね!」

ジェイド「きっついな、それは」


 アスタのおかげでジェイドは旅に出ることを認めてもらう。というのも、ジェイドは村を守るために一度遠征し、力をつけてからこの村に戻るという申し出をしたのだ。村長も、外の世界を知っている兵士は村に一人は欲しいとのことだった。それがこの村から出てくれるなら村長としてこれほどありがたいことはない。これなら、村長も同意せざるを得ない。

 そして、ジェイドが村を離れることを決意し、村の人に挨拶をして出発する。ジェイドが村を出ようとした時、アスタが村の入り口で待っていた。


アスタ「…」

ジェイド「あれ、アスタ」

アスタ「ジェイド、もう行くの?」

ジェイド「あぁ、行くわ」

アスタ「そっか…」

アスタ「…、あの、これ…」

ジェイド「これは…、お守り?」

アスタ「確かに、私はジェイドの旅は応援してる。でも、ね…」

アスタ「いい!寄り道は無し!!そしてその力のことがわかったら、ちゃんとこの村に戻ってくること!!それが守れなかったら絶交だからね!!わかった!!??」

ジェイド「お、おう」

アスタ「…、」

アスタ「ジェイド、応援してるから!!!」

ジェイド「アスタ…」

ジェイド「ありがとな!!じゃ、行ってくるわ!!」

・・・

・・


 こうして、ジェイドの旅は始まる。

 うん、いいんじゃないかな、導入としては。ありきたりな話になってしまうのは、ご愛敬ということで。それでも、最強の主人公が最強という理由がわからないっていう話は、今まで無かった気がする、僕が気付いてないだけかもしれないけど。ふぅ、と息をつき、時計を見る。もう一時か…、最近は四時、五時就寝が多かったからこんな時間でも早く感じてしまう。寝ようか、続きは明日だな。明日の朝に感想を聞いて…、いやいや、感想を聞く相手なんていないだろ。この前の一件といい、最近の僕はなんか変だな。漫画大賞に応募できなかった後遺症だろうか、それなら漫画が完成したら治るだろう。僕は電気を消して床についた。



 次の日の朝、目を覚ましてリビングに降り、朝ごはんを食べる。母がいつも通り、四人分のご飯を用意する。


「あれ、お母さん、多くない?なんで四人分?」


 姉貴が母さんに注意する。確かに、まだ父さんは帰ってきてないから必要なのは三人分の食事だ。それなのに今、食卓テーブルには四人分の食事が置かれている。なんか僕も当たり前のように見ていた。なんで気がつかなかったんだろう。


「あ、そうよね。なんか最近おかしいのよね、ついついご飯を多めに作っちゃって…」

「もしかして、お父さんが恋しいとか?」


 馬鹿言ってるんじゃないの、と母さんが言い、ご飯を食べ始める。僕も、姉貴もご飯を食べ始める。食器のカチャカチャ音がやけに大きく感じた。ふと、姉貴が僕の方を見て聞いてきた。


「そういえば、優作、バスケ部は?」

「は?」


 僕は驚いて咄嗟に聞き返してしまった。僕は今まで部活に入ったことなんて無かったのに。


「いや、バスケ部で話せる人はいるけど、僕自身は部活入ってないんだけど」

「あれ?そうだよね。なんでこんなこと聞いたんだろ…」


 なんか、母さんも姉貴も、そして僕も、どこかちぐはぐだった。きっとこの家でオカルトなことが起きてるんだな。座敷童がいるとか…って、考え過ぎか。

 ご飯を食べ終え、部屋に戻る。では早速、昨日手直しを終えた二話目を見ますか。二話目は、炎魔法を使うマリ湿原の村の話だ。


・・

・・・

 最果ての村を出発し、ジェイドは初めにマリ湿原の村にたどり着く。ここの村は近くに湿原があり、ややジメジメした村だ。そして、やや北に位置するため最果ての村程ではないが、冬場はかなり冷え込む。それも相まって、この村では生まれた時から炎魔法を覚える風習がある。また、炎魔法を使うせいか、村の人は陽気で明るい人が多い。ジェイドはまず村長のもとを訪ねた。


ジェイド「失礼します、あなたが村長さんですか?」

グスタフ「あぁ、私がこの村の村長のグスタフだ。お前は?」

ジェイド「俺、最果ての村から来ました、ジェイドです!」

グスタフ「おぉ、最果ての村か!あそこの村から来るとはさぞ大変だったろう。それで、ジェイドはなんでこの村に来たんだ?」


 ジェイドは屈強だが温厚そうな村長、グスタフに事情を説明する。ジェイドの最強の力のありかを探すというよくわからない説明も笑って聞いてくれ、そして一晩か二晩、宿屋を無料で貸すという提案までしてくれた。


ジェイド「いいんですか!?ありがとうございます!!」

グスタフ「ま、小さい部屋だが、好きに使うといい」

グスタフ「…その代わりと言ったらなんだが、一つ頼みを聞いてくれないか?」

ジェイド「はい、なんですか?」


 グスタフの頼み、それはこの村に来ているアルメという女と一緒に働いて欲しいというものだった。アルメは、背が高く、スラっとした綺麗な体をしている。目は青く、どこか冷たそうな印象をしている。氷魔法の使い手であり、この村には魔物の調査のために来ている。一つネックとしては、村の人との折り合いが悪い。村に来てすぐ村長と仲違いしたらしい。


グスタフ「まぁ、アルメがこっちに来るまで時間はある。せっかくだ、ここの村で引き継がれている炎魔法を教えようか?」

ジェイド「はい、ぜひ!」

グスタフ「よし、じゃあ外に出るぞ!」


 ジェイドは、グスタフに教わってこの村で引き継がれている炎魔法を練習する。ジェイドの飲み込みの早さに、グスタフも楽しくなってくる。そんな中、アルメがこちらにやって来た。


ジェイド「ワイルドボルケーノ!!」


ボッ!!


グスタフ「ジェイド、中々筋がいいな!!」

ジェイド「そ、そうっすか?なんか、なんとなく感覚でわかるっていうか…」

アルメ「あら、楽しそうね、村長さん」

グスタフ「チッ、お前さんか…」

アルメ「今日の仕事パートナーはどちらにいるのかしら?」

グスタフ「ここにいるジェイドってやつがお前さんのパートナーだ」

ジェイド「あ、よろしくな!」

アルメ「ふ~ん…」

アルメ「足手まといにならなきゃいいけど。っていうか、別に私一人で十分なのに」

グスタフ「お前さん一人に任せてられるか。お前さんは信用も無いしな」

アルメ「まぁ、いいけど。ほら、ジェイドだったかしら。すぐ行くわよ」

ジェイド「お、おう!!」


 そして、ジェイドとアルメは調査に行く。アルメの話を聞いたところ、今回の調査対象はアクアコープスという魔物らしい。液体状の敵であり、相手の水分を吸って成長するらしい。そこまで強くも大きくも無い魔物らしいが、最近このマリ湿原付近で被害が起こったらしく、調査に来たそうだ。


アルメ「それにしても、なんであんな村に…」

ジェイド「あの村の何が悪いんだ?いい人ばっかりだろ」

アルメ「あの村長、私のことを馬鹿にしてるのよ。今回の調査に護衛を何人もつけるとか、客人に全部は任せられないとか…。こっちはこの道のプロだっていうのに、馬鹿にしないで欲しいわ」

ジェイド「それは、村長の優しさなんじゃ…」

アルメ「違うわよ、あの村長さんが私のことを馬鹿にしているのよ。それに、距離感が近すぎるのよ。私は村の人に迷惑かけたくないから、あまり村の人とは仲良くしたくないのに」

ジェイド「それも、村長の優しさなんじゃ…」

アルメ「あと、食事が合わない!辛すぎ!!」

ジェイド「それは…、文化の違いだな…」

アルメ「そもそも、アクアコープスは基本的に凍らせて倒すものなのよ。炎魔法の出る幕は無いの。だから私に全部任せてくれればいいのに、下手したら怪我しちゃうじゃない。ほら、こんな風に」


アルメ「コールドブリザード!!」


ヒュゥゥゥウウウウ!!!!!!!


 アルメが魔法を詠唱すると、あたりから冷気が流れ込み、周囲の草木が一気に凍りだした。


ジェイド「凄いな!」

アルメ「別に、大したこと無いわよ。ちなみに、ジェイドはこの程度の氷魔法は扱えるわよね」

ジェイド「あ、どうだろな。使ったことは無いけど…」

アルメ(使ったことが無いのね、やっぱり足手まとい…)

ジェイド「ブリザードっ!!!」

アルメ「!」


ヒュゥゥゥウウウウ!!!!!!!


 ジェイドが魔法を詠唱すると、アルメの時と同様あたりから冷気が流れ込み、周囲の草木が一気に凍りだした。その力はアルメとほぼ互角といっても過言では無かった。


ジェイド「お、いけた!!」

アルメ「……」

アルメ(使ったことない氷魔法を一回見ただけなのに…、なかなかの出来…。)

アルメ「ジェイド、あなたはなかなかやるわね。少しはまともに仕事できそうだわ」


 そして、ジェイドとアルメは調査をするが、アクアコープスは見当たらない。今日は引き上げということで、一度村に帰り、寝ることにする。


 その夜…


「キャァァァァアアアアアアアアアア!!!!!!」


ジェイド「な、なんだ!!??」

アルメ「何があったの!?」


 ジェイドとアルメが悲鳴を聞き、すぐさま村の方に駆け付ける。逃げ惑う村の人を押しのけ村の中央に進むと、グスタフが化け物と戦っていた。


グスタフ「来るな!!!お前らは下がっておれ!!!」

グスタフ「ワイルドボルケーノ!!!!」


 グスタフが炎魔法でその化け物と戦う。しかし、グスタフの唱えた業火も、その化け物には通じていないようだった。


ジェイド「な、なんだよこれ…!!」


 そこには普通のアクアコープスとは比べ物にならないほどの大きさのアクアコープスが村人を襲っていた。炎魔法が全く効かず、グスタフも困り果てる。そこに、駆け付けたアルメが氷魔法で応戦する。


アルメ「村長さん、ジェイド、下がってて!」

ジェイド「アルメ!!」

アルメ「コールドブリザード!!」


ヒュゥゥゥゥゥウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!


 一瞬で凍るアクアコープス。ジェイドもグスタフも助かったと思ったが…


アルメ「さ、これで…」


ピシッ!


ジェイド「アルメ、まだだ!!!」

アルメ「!?」


ピシッ、ピシピシピシピシピシピシピシピシ!!!!!


 一瞬凍ったアクアコープスだったが、中の液体が動いたかと思うと、氷の表面に一気にヒビが入り、徐々に中の液体が流れ出していた。


バギャン!!!


アクアコープス「…」

アルメ「う、嘘でしょ…」


 アクアコープスは自ら氷を壊し再生した。その予想外の行動にアルメも驚きを隠せない。周りの村人が散り散りになって逃げていく。それを襲おうとするアクアコープス。ジェイドも困惑する中…


グスタフ「お前らも、逃げろ!!こいつは倒せない!!私が責任もってなんとかする!!」

アルメ「何言ってんの!?これは私の仕事!あなたたちを巻き込むわけにはいかないの!!」

グスタフ「客人を守れなくて何が村長だ!!これぐらいどうにかしてみせる!!ワイルドボルケーノォォオオオ!!!!」

アルメ「だから、これぐらい出来ないと仕事が務まらないの!!コールドブリザードっっ!!!!」


ゴォォォォォオオオオオオ!!!!!!!!!!!

ヒュゥゥゥゥウウウウウウウ!!!!!!!!!!!


 グスタフの業火とアルメの吹雪がアクアコープスを襲う。業火は効かず、吹雪は凍らされても再生するアクアコープス、この二人の攻撃は無駄かと思われた。そんな時…!


アクアコープス「…っ!」

ジェイド「…!!!」

ジェイド「お、おい、二人とも!!」

村長、アルメ「何!!??」

ジェイド「アルメが凍らせたとこ、そこに村長の炎が当たった時、あいつ復活しなかったぞ!!!」

グスタフ、アルメ「!!!!」


 ジェイドが、アクアコープスの弱点を見つける。グスタフの業火とアルメの冷気が合わさった瞬間だけ、アクアコープスにダメージを与えることができたのだ。グスタフとアルメは顔を見合わせ、協力して戦うことを決める。しかし、耐性がついたのかアクアコープスはなかなか凍らない。しかも…


アクアコープス「……」ゴォォォォオオオ!!!!!

グスタフ「ジェイド、アルメ、気をつけろ!!」


ピシュン!!!!!!


ジェイド「あっぶな!!!」

アルメ「なんて威力の水鉄砲…!かわすだけでも骨が折れそうだわ…!!」


 アクアコープスの水流波は勢いを増していき、三人は避けることで精一杯となってしまう。まともに攻撃すら出来ない…、そんな中、アルメが口を開く。


グスタフ「くそっ、このままじゃ攻撃もままならないぞ!!」

ジェイド「しかも、なかなか凍らない、これじゃあ…」

アルメ「二人とも聞いて!!」

グスタフ「なんだ?」

アルメ「まだ、とっておきの技があるわ…。きっとそれであいつは凍るはず…。でも、その技を発動させるために少し時間がいるの」

アルメ「だから少しだけ時間を稼いで…!!」

ジェイド「…わかった、俺がひきつける。二人はそのうちに!!」


ジェイド「おい、水!!」

アクアコープス「…」

ジェイド「お前の相手は俺だよ…!!」

ジェイド「アルター・アーツ!!!」


ブォン!!!


アクアコープス「!!??」


 ジェイドの分身の術により対象を捕捉できないアクアコープス、攻撃が的外れなところに当たっている。攻めあぐねているアクアコープスに、ついにアルメとグスタフが…!


アルメ「これで終わりよ、アクアコープス!!」


アルメ「アビス・グレイシア!!!!」


ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!!!!!!!!!


 アルメが今までの吹雪とは比べものにならない冷気をアクアコープスめがけてぶつける。耐性のついていたアクアコープスだが、その冷気には耐えられず、徐々に凍りだす。


アクアコープス「…っ!!」

ジェイド「こ、凍りだした!!」

アルメ「村長さん、今!!!」

グスタフ「あぁ、わかってる!!!」

グスタフ「ヘル・ファイア!!!!」


ゴォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!


 そして、グスタフも先ほどの業火とは比べ物にならない熱風を凍ったアクアコープスにぶつける。凍ったアクアコープスはその地獄の業火に耐えきれず…


アクアコープス「!!!!!!!!!!!!!」


シュワァァァァァァァァ…


 アクアコープスの体は溶け、あとに残ったのはただの水だけだった。


アルメ「はぁ…、はぁ…」

グスタフ「はぁ…、はぁ…」

ジェイド「はぁ…、終わった、な…」


 三人の力によって、無事にアクアコープスは討伐させた。村の人は三人の姿を見て安堵し、グスタフとアルメは顔を見合わせて笑っていた。そんな二人を見て、ジェイドも少し嬉しそうだった。

 次の日、ジェイドは次の町へ出発する旨をグスタフに伝える。


ジェイド「お世話になりました。グスタフさん、アルメ」

グスタフ「こっちこそ、ありがとな。助かったよ」

ジェイド「それで、アルメはこの後どうするんだ?」

アルメ「ちょっと、この村で二、三日過ごしてから戻ろうかなって。せっかく来たんだし、このまま帰るのももったいないって思ってね」

ジェイド「そっか。仲良くしろよ、二人とも!」

グスタフ「問題ない、我らはもう仲間だ!!」

アルメ「そういう暑苦しいの、本当に苦手」

グスタフ「この女は…!」

・・・

・・


 さて、二話目はここまで。前はアルメとグスタフしか活躍していなかったが、これでジェイドの活躍シーンも折り込めただろう。それと、二人が協力する場面の前後が、少しマシになったかな。技名、敵の名前が他の漫画と被ってないかな…、一応ネット検索では引っかからなかったけど…。あとは、祈るしかないな。さて、次は三話か。三話目は、今まで描いた場面を統合する予定だ。ちょっと時間がかかるかもしれない。今日は土曜日だし、多少時間がかかるのは仕方ないか。…ふと、ベッドの方を見る。当然、誰もいないはずなんだけど。でも、なんか癖でそっちを見てしまう。なんでこんな癖がついたのか…、寝たいのか、僕は。一応ベッドに横たわってみたが、眠くはならなかった。僕はあほらしいと思い、また机に戻っていった。

 気が付いたら、夜になっていた。三話目の統合作業は難航している。それでも、明日にはなんとか完成しそうだ。四話目もほとんどできているし、明日はこの二話の完成が目標だな。それに、明日は日曜日、新しい話を進めるチャンスだ。………、いや、別に日曜日以外の日に新しい話を描いてもいいだろ、いつからこんなルールを決めたんだ。馬鹿らしいと思いながら、なんとなくそのルールを変える気にはなれなかった。



 日曜日、午前中はずっと筆入れをし、お昼ご飯を食べ午後も作業。それなりに頑張った甲斐があって、無事四話まで完成させることができた。さて、確認作業といこうか。まずは、三話目か。


・・

・・・

 ジェイドはマリ湿原の村からダースの町に向かう。ダースの町は、市場があり、鍛冶屋があり、酒場がある、そんな賑やかな町だ。また、この町の特徴として、あまり魔物に襲われないせいか、子供たちが自由に過ごしている。町中だけでなく、すぐ近くの草原まで、子供が遊んだりしている。そんなダースの町だが、ジェイドは初めての町にテンションが上がり色々と物色する。市場で見慣れないフルーツを試食させてもらったり、防御力の高い鎧を着てみたり。そうやって町を物色していると、黒い髪をした背の低い、…ちょっと残念な胸のシスターが町の人に馬鹿にされているのを目の当たりにした。


シスター「いいですか?この町にいつか厄災が訪れるのですよ!聞いているのですか!?」

町人「厄災ねぇ。ま、気をつけておくよ」

子供「ママ、やくさいってなに?」

母「えっとね、怖いことって意味よ。でも、そんなこと起こらないから安心して」

シスター「いえ、起こるのですって!!厄災に備えるべきなのですよ!!」

ジェイド「あの、ちょっといいか?」

シスター「なんですか?あなたは」

ジェイド「あ、俺は最果ての村から来たジェイドっていうんだけどさ…」

シスター「旅の方ですか。旅の方が何か私に用事ですか?冷やかしなら帰ってください」

ジェイド「いや、その厄災の話、少し聞いてみたいんだけど…」

シスター「………」


 黒髪のシスターは少し黙った後、目をキラキラとさせて…


シスター「本当に!!??」

ジェイド「え?ま、まぁ…」

シスター「それなら早く言ってくださいよ!私はシスターのマリアです!では、ジェイドさん!この町に降りかかる厄災について一から説明させていただきますね!!」


 そして、シスター、マリアによる厄災の講義は二時間も続き、最初は興味津々に聞いていたジェイドも徐々に飽きてきてしまう。


マリア「というわけでですね、この世界はいずれ四つに分割され、人間界、悪魔界、天界、新人類となるのです!いいですか、ここで人間界についた人物は悪魔や天使の手先同然です!ですから私達は新人類になるために日頃より…」

ジェイド「…」

マリア「聞いてますか!?ジェイドさん!!」

ジェイド「も、もうわかったって…。要は、あれだろ?よくわかんねぇけど、気を付けてってことだろ…?」

マリア「そんな単純なことではありません!!いいですか、ジェイドさん!!まずはですね、」

ジェイド「わ、わかったって!!とりあえず、飯でも食いに行こうぜ!!ほらよ、酒場でも行ってさ、そこで話を聞くからよ!!」

マリア「なっ…!!」


 マリアは頬を赤く染め、


マリア「そ、そんな男の人と二人でお酒なんてシスターにあるまじき行為!!そんなことできません!!」


 と、怒鳴ってどこかへ行ってしまった。


ジェイド「…変わったやつ」


 ジェイドは首を傾げ、まぁいいやと言い酒場に行く。金貨一枚で肉料理とドリンクを適当に見繕ってもらい、それを食べていると、後ろで女性店員と揉める荒くれ者がいることに気がつく。ジェイドが止めに入るが、荒くれ者が逆上し襲い掛かってくる。そこに薄着の小柄な老人が現れる。


老人「若いのぅ。お二人さん」

荒くれ者「あぁ!?今度は誰だ!?」

老人「店の中で騒ぐのは関心しないのぅ。せっかくの酒が不味くなってしょうがないわい」

ジェイド「爺さん、ここは危ないから…」

老人「大方、このうるさいでかぶつが間違っておる。じゃが、お若いの。あんたもそうすぐ戦おうとするでない。間違って怪我でもしたら大変じゃぞ?」

ジェイド「確かに、そうだけど…」

荒くれ者「誰がでかぶつだって、あぁ!!??じじぃ、今すぐ殺されてぇのか!!!」

老人「じゃから、騒ぐでないと言っておるじゃろ…」


 老人は、ゆっくりと荒くれ者に近づき、指を鳴らす。荒くれ者は最初こそ余裕そうな表情を浮かべていたが、急に顔をしかめて、


荒くれ者「!!!!!!」

荒くれ者「じじぃ、今何を…」


バタッ


 崩れるように倒れてしまった。周りの人が唖然とした表情で老人の方を見る。


老人「大人しく、眠っておれ」

ジェイド「爺さん…」


 一瞬で荒くれ者を倒してしまう老人。ジェイドはその後、店を出る時に老人に呼び止められ、夜の草原で話すことにした。老人の名前はアイデンと言い、昔、世界中を旅し様々な魔物と戦っていた魔物ハンターらしい。


アイデン「わしは変わった技ばかり覚えておっての。巷では技の異端児なんて呼ばれたこともあってのぅ」

ジェイド「さっきの技も?」

アイデン「あれは、意識を奪う技でな、ブレイクセンスと呼んでおるの」

ジェイド「他にも、あるのか?」

アイデン「あぁ、相手の五感を乱すディスターブ、記憶を消去するメモリーリセット、次元を移動するクロスオーバーなんてのもあるぞ」

ジェイド「へぇ、すげぇ!次元移動とか、どんな技なんだ?」

アイデン「この世界から別の世界に移動できる技だな。もしこの技を極めれば、この世界を創ったやつにも会いに行けるかもしれんの」

ジェイド「この世界を創った…、そんなやつがいるのか…」

アイデン「わしは行ったことが無いからわからんがのぅ。じゃが、どうじゃ。少しぐらいなら、教えてやるぞ?」


 そして、ジェイドはアイデンから技を学ぶ。ジェイドはその吸収力の早さでどんどんアイデンの技を覚え、一晩でほとんどの技を覚えてしまった。これにはアイデンも驚きを隠せなかったようだ。


 次の日、ジェイドは草原で遊ぶ子供達と一緒に遊んでいた。そしてアイデンはそんな子供達とジェイドを眺めながら横になっていた。


少年「あの、僕、川泳ぎが怖くて…。怖い魔物が出るかもしれないし…」

ジェイド「そっか。でもよ、まず入ってみようぜ!そこから考えればいいだろ!魔物が出たら俺が守ってやるからさ!」

少年「う、うん…!!」


 男の子が勇気を出して川に飛び込むのを眺め、飛び込んだことを確認した後、少し経ってからアイデンの所に戻った。男の子はみんなと楽しく小川で遊んでいるようだ。


ジェイド「しかし、平和っすね、この町は」

アイデン「あぁ、この町が魔物に襲われてる所は見たことが無いな」

ジェイド「じゃあ、この町は安心っすね」

アイデン「そうでもないんじゃよ…、敵に襲われたことのない町ほど守りが薄くなる。町が危ないと言ってもその注意喚起を聞く人が減っていく。正直、こういう町の方が危ないんじゃよ」

ジェイド「そ、そうなんすか…」

ジェイド(マリアが言っていた厄災ってのも、あながち間違いじゃないのかもな…)

ジェイド「じゃあ、ひょっとしてアイデンさんは子供の安全を守るためにこうやって子供を眺めて…?」

アイデン「よくわかったの。まぁ、老いぼれ一人がいたところでどうなるのかって話なんじゃがな」


 そんな会話を交わしてから数時間、二人がウトウトしていると、突然、辺りに無数の黒い人影が現れた。


ジェイド「な、なんだあれは…!?」

アイデン「言霊とは、よく言ったものじゃな…!」

黒い影「……」

少女「ぃや、来ないで…」

黒い影「…」ズズズズズ…

ジェイド「爺さん、あれ、なんだよ!?」

アイデン「あれは、聞いたことがあるのぅ…。人の心を喰らう化け物、ボアじゃ」

ジェイド「ボア?」

アイデン「暗がりの洞窟に稀にいるんじゃよ。洞窟に入った者が謎の黒い影に襲われて、帰って来た時には植物状態になっているのを何度か見たことがあるわい。ただ、こんな町中に現れるような魔物じゃないはずなのじゃが…」


 黒い影が草原で遊んでいた子供達ににじり寄っていく。子供達も逃げてはいるが、その距離は、徐々に縮まっていく。


アイデン「喋ってる暇はないようじゃな。ジェイド、いけるか?」

ジェイド「よくわかんねぇけど、やるしかねぇだろ!!」


 ジェイドとアイデンは黒い影に向かっていく。ジェイドはアマテラスで牽制し、アイデンが遅延魔法、スローダウンを使いなんとか子供達を安全な場所に避難させていく。しかし、無数の影は一向に進行をやめる気配はなく、徐々に町に近づいてゆく。


ジェイド「爺さん、どうするっすか!?こいつら全然減らねぇぞ!!」

アイデン「きっと、やつらの急所をつけていないのじゃな…。きっとやつらには…」


?「ホーリーアロー!!!」


 その声とともに無数の光の矢が天から降り注ぐ。その矢は無数の黒い影の体を貫き、射止める。射貫かれた影は、崩れ落ちるように消えていく。


ボア「………」


シュウゥゥゥ…


ジェイド「マリア…!!」

マリア「だから言ったじゃありませんか、いつかこの町に厄災が訪れると!!」

アイデン「大したもんじゃ。今の技で一気に影の数が減ったわい」

アイデン「じゃが…」


ボワァァァ…


ボア「………」


 影は一瞬消えたように見えたが、また次々と再生していく。マリアはホーリーアローで、ジェイドもホーリーライフルでマリアに加担して応戦するが、影はやはり減らない。そして影は進行を続け、町まではもう目と鼻の先だ。子供達が不安そうに三人を見守る。このままでは間に合わない…、そんな時、アイデンは言う。こいつらを倒すには根本を断ち切らなければいけないと…。


マリア「根本、ですか…」

アイデン「あぁ、やつらが再生するのには理由があるはずじゃ。奴ら単体の力だけではそう何度も再生できるはずが無い。もっと大きな力の源がどこかにあるのじゃろう…」

ジェイド「そうなのか…。じゃあよ、それを探してぶっつせばいいってことだな!」

マリア「なるほど…。でも、そう簡単に上手くいくでしょうか。いきなり現れた魔物の力の根源を探すなんて…」

アイデン「考えはある…、ただ、ちと危ないんじゃが…」


 アイデンが二人にその作戦を話す。ジェイドとマリアがその危険な作戦を聞き、顔を見合わせる。ジェイドとマリアはしばらく黙り…


ジェイド「…俺が、行く」

マリア「ジェイドさん、危ないです!ここは私が…」

ジェイド「この町にはお前がいなきゃダメだろ。それに、最後の一撃はお前の方が適任だしな」

マリア「ジェイドさん…」

ジェイド「大丈夫、成功させてみせるからよ!」

アイデン「ジェイド、すまんの。こんなことを頼んで…。お主は絶対に死なせたりはしないからの!!」

ジェイド「頼もしいっすよ、爺さん!!」


 ジェイドはボアの前に立ちふさがる。ボアが徐々にジェイドに近づく。それでも、ジェイドは動かない。ボアはゆっくりと、でも着実にジェイドの体に纏わりつき、ついにはジェイドの心を侵食し始め…


ジェイド「爺さん、頼んだっす!!」

アイデン「あぁ、任せておけ!トレースコア!!」


 ボアがジェイドの心を取り込んでるその後ろで、アイデンが呪文を唱える。取り込まれ始めているジェイドの心を介してボアの力の根源を探しているのだ。しかし、苦しそうにもがき始めるジェイド、時間はあまり無い…


マリア「ジェイドさん!ジェイドさん!!」

ジェイド「お、俺は、大丈夫、だ、から…、うっ…!!!」

マリア「アイデンさん、もっと早く!!」

アイデン「もう少し、もう少しなんじゃが…!!」

アイデン「…見えたぞ!!マリア、準備を!!」

マリア「は、はい!!」

アイデン「エンパシア!!!」


 アイデンが自分の視界とマリアの視界を共有させる。そして、マリアはアイデンの目からボアの力の根源の場所を見る。力の根源の場所は…地下だった。


アイデン「頼んだぞ、マリア!!」

マリア「任せてください!!ホーリー…」

マリア「ノヴァ!!!!!」


ゴォォォォオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!


 マリアが地下めがけて聖なる呪文を唱える。その魔法は地下を突き抜けボアの影の集合体にぶつかる。ボアも抵抗してはいたが、マリアの唱える呪文に徐々に力を失い…


ボア「………………………。。。。。。」


シュウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ………


 聖なる光が消えると同時に影の塊が消えていく。そして、地上にいるボアも次々と霧散し、残ったのはぐったりとしているジェイドだけだった。


マリア「ジェイドさん、ジェイドさん!!」

ジェイド「……」

マリア「じぇ、ジェイドさん…!」

アイデン「安心しろ、ただ眠ってるだけじゃよ。心にだいぶ負担を負ったようじゃから、すぐには起きんかもしれんがの」

マリア「本当ですか!?」

アイデン「あぁ、安心しなされ」

マリア「よ、良かった…」


 数日が経ち、ジェイドは宿屋で目を覚ました。そして、食事をして、アイデンのもとへ向かう。アイデンとこの影の襲来のことについて話したが、アイデン自身もなぜこのようなことが起こったかわからないという。


アイデン「すまんの、ジェイド。わしにもこんな経験は無くてな…」

ジェイド「いや、大丈夫っす。もしわかったら、爺さんに伝えるんで!」

アイデン「ありがとうな。その時は、酒でも酌み交わしたいものじゃな」

ジェイド「楽しみにしてるっす、爺さん!」

ジェイド「じゃあ俺、行きます」

アイデン「ちょっと待て。これを、持っていけ」


 アイデンがジェイドに包みを渡す。ジェイドがその包みを開けると、そこには宝玉のついた剣が入っていた。


ジェイド「これは、剣…?」

アイデン「わしが昔使っていた剣じゃ。そんな安物の棒っきれを振り回すなんて、勇者には似合わんからの。だいぶ使っていないから少しなまっているかもしれんが、強さは保証するぞ」

ジェイド「爺さん、ありがとう!!」

アイデン「なに、今回の一件のお礼じゃよ。あの影はわしとマリアだけでは被害を最小限に食い止められなかったじゃろう。ジェイド、お主がいてくれたおかげじゃ、感謝してるぞ」

ジェイド「感謝だなんて、そんな…」

マリア「ジェイドさん!!」

ジェイド「あ、マリア…」

マリア「もう、行ってしまわれるのですか…?」

ジェイド「あ、まぁな。俺は次の町に行かなきゃいけなくて…」

マリア「それなのですが、ここに居ていただけませんか?」

ジェイド「え?」

マリア「その、戦いを見ていた子供達が、ジェイドさんにここに居て欲しいって…」


 ジェイドが辺りを見ると、子供達がジェイドを取り囲んでいた。


少女「行かないで!!」

少年「行かないでよ、ジェイドお兄ちゃん!!」

ジェイド「そう、言われても…」

マリア「それに、その…」

マリア「私も、ジェイドさんには行って欲しくなくて…」

ジェイド「マリア…」


 ジェイド、行かないでの声が大きくなっていく。しかし、ここに留まるわけにはいかない。悩んだ末、ジェイドは…


ジェイド「…」

マリア「あの、ジェイドさん!!」

ジェイド「メモリー、リセット…」


スッ


 ジェイドが呪文を唱えると、町はいつもの町に戻っていた。


少女「…?」

少年「あれ…?」

マリア「あれ、私、どうしていたんだろう…」

マリア「あれ、あなたは?」

ジェイド「あぁ、ちょっとこの町に用事があって寄ったんだよ。もう、行くからさ」

マリア「そうですか。では、旅のご無事を祈っております」


 マリアと駆け付けていた子供達は、どこか不思議そうに散り散りになって帰っていった。


アイデン「ジェイド…」

ジェイド「爺さんの記憶は消えてないんすか…」

アイデン「当たり前じゃろ。もともとはわしの技じゃよ」

アイデン「…いいのか?ジェイド」

ジェイド「あのままじゃ、次の町に行けないっすからね」

アイデン「そうか…」

アイデン「達者でな」

ジェイド「爺さんこそ」

・・・

・・


 こうして、町の人からジェイドの記憶を消して、第三話は終わり。メモリーリセットで締めるのは、ちょっと切ないかもしれないが、まぁ、これが一番かな。もう少し、繋ぎを滑らかにするべきか?少し悩んだが保留にすることにした。それと、クロスオーバー、この技はいるのか?次元移動とかこの先の展開でする場面無いぞ?そう思い、僕はその技を変えようとする。しかし、どういうわけかその技だけは消してはいけないという警告が僕の頭の中で流れていた。ま、まぁ、そこまで言うならいいんだけどさ、別にここはどんな技でもいいわけだし…。僕は、消すのをやめた。


 次は、第四話。フォレスのシーンであり、ジェイドが初めて弱みを見せるシーンだな。ここでの失敗は、次に繋げられるようにしないとな。落ち込んでいるだけのジェイドなんて見たくない。ジェイドは笑ってる方がいいに決まってる。そんなことを思いながら、僕は画面を開いた。


・・

・・・

 ジェイドはダースの町から少し外れたフリーデンの森へ向かう。今まで、最強の原因を探して旅をしていたが、まだその原因が突き止められていない。それどころか、解決の糸口さえつかめていない。そのため、一度趣向を変えて森に行ってみようとジェイドは思った。フリーデンの森はそこまで危険な魔物がいるようなところではない。そのため、ジェイドも気を張らず、散歩がてらという気分で森の中を歩く。…それが、仇となった。ジェイドが森の中を歩いていると、目の前に狼が現れた。ただの狼ではない、危険種のマッドウルフだ。


マッドウルフ「グルルルルル…」

ジェイド「狼か…、俺はお前と争うつもりは無いんだけど、襲い掛かってくるっつーなら、容赦はしねぇからな!」

マッドウルフ「グァァァァアアアアア!!!!!」

ジェイド「コールドブリザード!!!」


 ジェイドは、周りの森に影響が出ないよう注意しながら、吹雪を放つ。


ゴォォォオオオオ!!!!!


マッドウルフ「キャンッ!!!」

ジェイド「あんまりお前を殺したりしたくないからよ、これで逃げてくれねぇか?」

マッドウルフ「グルル…」

ジェイド「チッ、逃げる気は無しか。だったらこっちも…」


グルルルルル…


ジェイド「!!」


 その唸り声で気がつく、マッドウルフは目の前にいる一匹だけでは無い。囲まれている…。ジェイドも、その程度でピンチになるほどやわではない。囲まれただけなら問題は無かっただろう。しかし、マッドウルフの知能はそれ以上のものだった。


ジェイド(囲まれたか、なら…!!)

ジェイド「レベルⅣ、アドバンスガード!!」

マッドウルフ「!!」


 ジェイドが防御壁を張る。マッドウルフもジェイドに噛みつこうとするが、防御壁に阻まれ攻めることができない。これで一先ず時間は稼げる、そう思ったが…


ジェイド(これで、こいつらもひとまずは俺を襲えない。ここから対策を…)

ピシッ!!!

マッドウルフ「グワッ!!!」

ジェイド「下!!??」


 一匹のマッドウルフが地面から襲ってきたのだ。このマッドウルフの最大の強さ、それは集団で取り囲み、たじろいでるところを土の下から襲うという通常では予測のつかない戦略を取るところにある。ジェイドもこの不意打ちにたじろぎ、一瞬だけバリアを解いてしまう。その瞬間を、マッドウルフは見逃さない。六、七匹で一気にジェイドに襲い掛かり、ジェイドに食らいつく。ジェイドも、なんとか防御しようとするが、そのマッドウルフの数の多さに思うように行動できず、一気に不利になってしまう。本気で力を出すと周りの森を破壊しかねないが、やむを得ないか…?そう思っていたその時、


ジェイド「はぁ…、はぁ…」

マッドウルフ「グァアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

ジェイド(くそっ、やっぱりやるしかないか…?)

?「大蛇の蔦!!」

??「木の葉旋風!!」


 謎の蔦と旋風がマッドウルフの群れに襲い掛かる。その急な攻撃にマッドウルフの群れがたじろぐ。


マッドウルフ「グゥ…」

?「大丈夫か、若けぇの!!」

ジェイド「うっ…、あんたらは…?」

??「ここは俺らがやっておくから、さっさと逃げな!」

???「ほら、私が案内してあげるから!」


 褐色の人達がマッドウルフ達を蹴散らし、ジェイドを救ってくれた。ジェイドも言われるがまま、その人達について行く。なんとかマッドウルフを巻き、ジェイドは小屋に案内される。木々に囲まれた自然そのままといった感じの小屋だ。ジェイドが褐色の自分よりも二回り小さい女の子に手当てをしてもらう。そこに、大柄の男と小柄な青年が帰ってくる。一通り手当てを済ませてもらい、お互い自己紹介をする。彼らは、この森に住む森の住人らしい。大柄の男がフォレス、小柄な青年がウッズ、さらに小さな女の子がメープルというそうだ。この森には昔から住んでおり、この森のことなら大体のことはわかるらしい。ジェイドも、自分のことを話す。最果ての村から来たこと、最強の力に目覚めたこと、その力の根源を探していること。


メープル「へぇ、力を探す旅なんて面白そう!!」

ウッズ「最強の力って俺らの技も使えんの?」

ジェイド「見てみたら出来るかもな。流石に何も知らねぇ状態では使えねぇけど」

ウッズ「ふ~ん」

フォレス「しかし、最強の力というのが、よくわからないな。その力の源と言われても…」

ウッズ「っつか、マッドウルフに負けてる時点で最強じゃねぇしな」

ジェイド「いや、まだ負けてなかったからな!?周りの被害とか考えてて、いや本当だからな!?」

ウッズ「はいはい、言ってろ言ってろ」

フォレス「俺らはその力のことはよくわからんな。でも、せっかく来たんだ。この森を散策してみたらどうだ?メープルとウッズが案内するぞ」

メープル「わーい!!」

ウッズ「げっ、俺もかよ」

ジェイド「ありがとう、助かるっす!」

メープル「じゃあ、ジェイド、いこ!!」

ジェイド「おう!」

メープル「ほら、にぃも行くよ!」

ウッズ「めんどくさ…。はぁ、行くか」


 そして、メープル、ウッズ、そしてジェイドは森の中を散策する。これは、メープルとウッズと一緒にいて初めてわかったことだが、フリーデンの森は危険な魔物のいない安全な森などでは無かったのだ。メープルの行く先には人間の頭ほどある蜂、人肉を餌とする食人植物、幻覚を見せる花など、様々な危険生物がいた。一匹の大きな黒い熊、マクログマに襲われたりもした。


マクログマ「グァァァアアア!!!!」

ウッズ「枷の宿り木!!」

メープル「ねばづる!!」

ジェイド「木の葉旋風!!」


 ウッズとメープルが樹木を操りマクログマの動きを抑え、ジェイドがウッズの使っていた旋風でマクログマにダメージを与える。やられたマクログマはその連携攻撃に恐れをなしなし、逃げ出していく。


ジェイド「ふぅ…、お前ら凄ぇな!」

メープル「ジェイドも凄いよ!さっき見た技すぐに使っちゃうなんて!」

ウッズ「最強っていうのは嘘じゃないんだな」

ジェイド「まぁな。にしても、ここの森、こんな危険な魔物がいたのか…」

メープル「そうだよ!でも、普通の人が入って来た時に襲われないように私達が守ってあげてるの!だから気付かないんだよ!!」

ジェイド「へぇ、そうだったのか」

メープル「ほら、フリーデンの森って道が広くてはっきりしてるでしょ?ここの道を通っていれば、魔物さんたちは襲ってこないようになってるの!」

ジェイド「なるほど…」

ウッズ「ま、勝手に道から外れるやつは知らねぇけど。そいつらは跡形もなく食われてお陀仏っつーことで」

ジェイド「お前、恐ろしいな…」

ウッズ「事実だからしゃぁねぇ」


 ジェイドは二人に連れられ、さらに森の奥へと入っていく。さらに気がついたことだが、森の奥地は確かに危険だが、その分だけ綺麗だった。流れる滝、水辺に咲く花、優雅に飛ぶ虫や鳥…これが自然の神秘というものだろうか。ジェイドはその自然の美しさに心を奪われていた。


ジェイド「す、すげぇな…」

ウッズ「これを見れるのは俺らの特権だな」

メープル「あ、あとね、ジェイド!はい、これ!」

ジェイド「なんだこれ、木の実?」

メープル「食べてみて!!」

ジェイド「お、おう。いただきます」


 ジェイドがメープルに渡された赤い手のひらほどの木の実にかぶりつく。


カプッ


 口に含んだ瞬間、芳醇な香りが鼻を抜け、程良い甘さと酸味の果汁が喉の奥に流れていった。ダースの町で食べた果物とは比べ物にならないほどの美味しさだった。


ジェイド「うまっ!」

メープル「森の中には美味しいものがいっぱいあるんだよ!」

ウッズ「よそには漏らすなよ。人気になってこれを取りにくる奴が増えたら面倒だからな」


 …そして、夜。ジェイド含めた四人は森の夕食を食べる。この時も、今まで食べたことのない森の食事にジェイドは興奮を隠せなかった。そして、みんなが就寝した真夜中のこと…


ジェイド「枷の宿り木!!」


ゴゴゴゴゴゴ!!!


 ジェイドは夜な夜なフォレスとウッズとメープルの技を練習する。そんな中、後ろからフォレスが話かけてきた。


ジェイド「ふぅ…」

フォレス「それは、ウッズの技か?」

ジェイド「あ、はい。教えてもらって」

フォレス「さすが、最強と言われるだけあるな。もうその技が使えるのか」

ジェイド「ウッズに比べたらまだまだっすよ」

フォレス「当たり前だろ、ウッズもその技を完全に会得するのに五年はかかったんだぞ」

フォレス「にしても、こんな夜遅くに修行してるなんて、根性があるな」

ジェイド「あ、いや、まぁ…」

フォレス「ん?どうかしたか?」

ジェイド「いや、その…」

フォレス「…そうか、まださっきの戦いを引きずっているのか。違うか?」

ジェイド「…、そうっすね」

フォレス「なるほどな…。ちょっと、隣いいか?」

ジェイド「あ、はい!」


 そして、月明かりの下、ジェイドはフォレスに悩みを打ち明ける。


フォレス「さっきの戦い気にしてんのか?だって、一人でも勝てたんだろ?」

ジェイド「いや、確かに、さっきは勝てたかもしれないけど、でも助けてもらったのは事実っすから…」

フォレス「そうか…にしてもだ。今まで、色んなところを旅していたんだろ?負け試合の一つや二つあっただろう」

ジェイド「いや、実は負けたことなんて無くてっすね…」

フォレス「そうなのか、お前さん、強いな」

ジェイド「いや、実は、俺は強くないんすよ…」

フォレス「どういうことだ?」

ジェイド「俺、自分でもよくわからない力に目覚めたんすよ。急に自分でもよくわからない魔法を使えるようになったり、すごい技に目覚めたり…。で、今はその力の源を探しに旅に出てるんすけど…」

フォレス「あぁ、確か昼頃にも言っていたな」

ジェイド「でもそれって、僕の力じゃ無いと思うんすよ。そんなものに頼ってるからあんなことになって…。負けるなんて、情けないっすよ…」

フォレス「なるほどな…。ジェイド、だったか…」

フォレス「なめんじゃねぇぞ、人生をよ!」

ジェイド「!!」


 フォレスがジェイドの背中を叩き、たくましい笑顔でジェイドに言う。


フォレス「まったく、この世界には力が欲しくても力が無い奴がいっぱいいるんだぞ。そんな中で力を持ってるお前が細けぇことに悩んでんじゃねぇよ。お前の力は誰が与えようがもらった時点でお前のもんだ。胸張って、ガムシャラに生きてけよ!!」

ジェイド「フォレスさん…!」

フォレス「それと、若いくせに何をビビッているんだ。負けたっていいだろ!生きてりゃ失敗だって負けることだって山ほどあるだろ!生きてりゃそれで十分だ!」

ジェイド「…わ、」

ジェイド「わかったっすよ、フォレスさん!!」


 そして、夜が明ける。ジェイドは三人にお礼を言い、出発しようとする。


メープル「はい、これはね、病気に効く木の実!これは、お腹がいっぱいになる木の実!これはね、頭が冴える木の実!幻覚とかも吹き飛ばしちゃうんだよ!はい、全部あげる!!」

ジェイド「あ、ありがと…」

フォレス「メープル、ほどほどにしてやれよ」

メープル「はーい」

ウッズ「そういや、最強で思い出したんだけど、ジェイドは魔王を倒そうとか思ったりしないのか?」

ジェイド「魔王?」

ウッズ「知らないのか?魔王ガルム。魔物を統べる王だよ。まぁ、人間に特に危害は加えてこないから別に他のやつらも魔王を襲ったりしようとはしないが。それでも、とてつもない強さだったはずだぞ」

ジェイド「そうなやつがいるのか…」

ウッズ「ま、おすすめはしないけどよ、でも最強の力を知りたければそこに行くのが定石だろ」

フォレス「それに、途中に通るモルガナ城やローズ王国なら昔の書物がたくさんあるからな。立ち寄ってみるといい」

ジェイド「はい、了解っす!」

フォレス「じゃあ、ジェイド、胸張って行けよ!」

ジェイド「はい、もちろんっす!」

メープル「ジェイド、またね~!」

ウッズ「またな」

ジェイド「おう、またな!」

・・・

・・


 そして、ジェイドは次の町へ。目標も決まった、魔王城の門を叩くこと。きっと、魔王を倒せば何か掴めるはずだ。少し、旅らしくなってきたかな。まぁ、今回の話は少し戦闘面が薄いかもしれない。でもまぁ…、いいか。このシーンは昔描いたシーンで結構気に入ってるし、ジェイドもこのシーンが好きだろう、なんとなく。それに、ジェイドのモチーフもこの話から来ている、だからあんまり大きく変えたくないのだ。

 ふと窓を見ると、もう夕日が差し込んでいた。日が短くなってきたな、そう感じる。明日から、また学校か。正直、最近は学校が面倒でたまらない。昔はもっと嫌だったけど、でも一時期は少し楽しかった気がする。なんでだろうか、原因はわからなかった。



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