表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アイ・ノウ  作者: プロパノール高橋
僕の異能
5/6

四話

「兄ちゃん!!起きて!!起きてよお!!」


泣き叫ぶ妹様の声が聞こえる。

知らない天井だ。病院だろうか。


「ッ!お兄ちゃん!どっか痛いとこない?体大丈夫?」


珍しく妹が慌てている。


「明!大丈夫かい!?」


「母さんまで…僕は大丈夫だよ。どこも痛くない、大丈夫。」


「よかったよ!」「よかったよぉ…」


2人に抱きしめられた。 苦しい。


「あんたになんかあったら天国の父さんに申し訳が立たないよ。」


「ぐすん…」


「お取り込み中のところ大変失礼します。少しよろしいでしょうか?」


「はい…」


さっきの医者風の男、医者だったのか。

母が手を離す。ちょっと恥ずかしそうだった。

妹様は離してくれない。ういやつめ。


「翠、ちょっとお話しするから離して。」


「いや!!」


「そのままでも結構です。」


いいのか。


「ではまず、明くん、倒れてから何時間経ったかわかりますか?」


「わかりません。」


わからない時はわからないというのが一番だ。


「あんた5時間寝てたのよ。」


母が耳打ちしてきた、そんなに寝てたのか。


「続けます、《フォース》を投与した時どのような感じがしましたか?」


「うーんと、いろいろな方向から声が聞こえてきて、『お腹すいた』とか『漆黒のなんとか』とか、一気に頭の中に入ってきて気持ち悪くなりました。」


「…なるほど、生活系統に近いですね。今日はお疲れのようですしまた後日話を聞かせてください。」


「あの、結局僕の異能って…?」


「…」


医者は少し躊躇って言った。


「…先程生活系統に近いと言いましたが、おそらくは無系統でしょう。無系統の異能を持つ人間は最初、コントロール出来ずに頭がパンクしてしまうのです。」


「…そうですか。」


躊躇っていたが無系統というのは何か気の毒なものなのだろうか。


「では、失礼します。」


今度こそ男が退出する。


膝の方からから寝息が聞こえる。妹様は疲れて眠ってしまったようだ。


「明、お医者様は目が覚めたら帰っていいって仰ってたから、母さん、車取りに家に帰るからね。翠を頼むよ。」


「わかった。」


母さんが帰宅し、翠と2人きりになる。

本当に翠は美人だな、寝顔も可愛い。我が自慢の妹様である。

セミロングの茶色い綺麗な髪、母親似の整った顔。本当に僕たちは兄妹なのだろうかと疑うくらいだ。

頭を撫でる。


「…んぅ。」


「翠、起きたか?」


「うん、おはよう兄ちゃん。」


「心配かけてごめんな、今度なんか美味しいものでも食べに連れてくから。」


「ほんと?やったー!なににしようかなー?」


微笑ましい限りである。


「母さんが車で迎えにくるからしばらく待ってってさ。」


「うん、わかったー。」


妹様と話をして時間を潰しているうちに母親が来て、僕たちは帰宅した。


ーーーーーーーーーー


帰って早々、母親に呼び出され居間のテーブルに座る。


「まさかあんたに異能があるなんて、夢にも思わなかったよ。」


「僕もそう思う。」


「ところであんた、高校はどうするんだい?」


「どうするたって近くの高校に…そういうことか。」


異能者は政府所轄の学校に入学が義務付けられている。

学校は3校あり、それぞれ特色がある。

その中で一番僕の家から近いのは「国立第一高等学校」である。

全寮制なので通うことはできないが、実家が近いのは安心だ。


「それなら第一高校に行くよ。家から近いし。」


「そうかい…寂しくなるねえ。」


翠と母さんには申し訳ないと思っている。

特に、妹様に会えないのはとても残念だ。耐えがたい日々を送ることになるだろう。


「あんたの道だから私がとやかくいうのはお門違いだね。応援してるよ、頑張りなよ!」


「ありがとう、母さん。」


本当にいい母親を持って僕は幸せ者だ。


ーーーーーーーーーーー


そして時は経ち、4月。僕の新たな生活が始まる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ