三話
僕の小説短いですかね…?
「それではこれから検査を始めます。」
「よろしくお願いします。」
「まずは軽く健康診断の方からやっていきましょう。」
体温を測り、平熱であることを確認される。
異能の検査といってもどこを調べるのか、その答えは心臓である。
異能を持つ者には心臓から脳まで見えない血管のようなものが伸びているのだ。
「それではこちらの機械の前に立ってください。」
肺のレントゲンを撮った時の機械にとても似ている。
機械の前に立ちしばらく待つ。
「…!」
医者風の男が驚いた顔をする。
「…はい、大丈夫です。さっきの椅子に座って待っていてください。」
普通なら教室に返されるはずだが、何故か呼び止められた。まさか…そんなことはないだろ。
男が僕の前に来て言った。
「結論から言います。能見明くん、君は異能者である可能性があります。」
「…は?」
「今ここで〈フォース〉を少量投与して確認をしたいと思うのですが、よろしいですか?」
「…へっ?あっ大丈夫です?!」
驚き過ぎて変な声が出た。
「では、少し待っていてください。」
〈フォース〉って確か異能を呼び覚ます薬だったっけか。というかまだ可能性の段階だからな、違う場合もある。
「お待たせしました、これから〈フォース〉の投与を行います。まず諸注意に目を通してください。」
男は僕にプリントを渡してくる。
ざっとまとめると、
・〈フォース〉をごく少量投与することによって、異能の力を少しだけ引き出すことができる。
・薬は数時間で切れる量である。
・投与は静脈注射で行う。
・もし異能者でなくとも副作用はない。
うわ、注射か。
「では、そこのベッドに横になってください。」
大丈夫大丈夫、痛くない、いや痛いかもしれない。僕は注射が大嫌いだ。
気持ちをおさえ、ベッドに横になる。
「はい、注射するねー。」
看護師っぽい女の人が出てきた。
腕に太いゴム紐みたいなものを巻かれる。
思い切って聞いてみた。
「あの、静脈注射って痛いんですか?」
「うーん、ちょっと痛いかなー。」
ちょっと痛いのか、まあでも覚悟を決めよう。
「お願いします。」
「はーい、ちくっとしますよー。」
針が刺さる。まだ痛くない。
薬が入ってくる。結構痛い。
「はい、終わり。」(めんどくさいなーこの仕事、辞めようかな。)
「ありがとうございま…す?」
何か聞こえた気がした。
「どうだい、何か感じるかい?」(もし異能者だったらこの学校2人目だぞ。)
「はい?」
やっぱりなんか聞こえた。
周りに意識をやると他の声も聞こえてくる。
(お腹すいたなー。)(前の席の木村さん、今日もめっちゃかわいい。)(今日の放課後暇すぎて暇だわw)(先生鼻毛出てるけど絶対気付いてないよあれ、)(微分積分いい気分。)(ドとファは完全4度だから…)(超絶激ウマギャグ…思いついたぞ!)(パンナコッタってなんだっけ。)(【自主規制】)(卒アルって結構高く売れるんだな)(我が名は 十漆黒の執行者十 地獄の裁判長だ!)(左のやつがウザい。)(ヘンリーって誰やねん。)(スマホが欲しいなー。)(マジで睡眠5秒前。)(晩ご飯何にしよう。)(ふぁっきんほっと。)(これ絶対ハゲるわ。)(私は一生結婚できないのかしら。)(風呂入りてぇ。)(あいつ遅えな、なんかあったのかな。)(あと3日で尽きるこの命、全力で燃やす!)(えっ、私の体臭、キツすぎ?)(髪染めたの先生にバレませんように。)(隣のやつ絶対髪染めてるだろ。)(消○力が食べたい。)(絶対決勝勝ってやる。)(何これ?ちくわ?)(大丈夫かなこの人。)…
一気に情報が流れ込んでくる。あだまがいだい、ぎもぢわるい、
僕は吐いた。
「大丈夫ですか!?」(うわ吐きやがった。)
「しっかりしろ!」(どうしてこうなった!?)
僕は意識を失った。