1*マジアサーチャーのジジイ
やっと、物語本体が始まります。
文才も何も無いですが、読んでくれるとうれしいです。
ここは、魔法にあふれた王国《ランヴィリア王国》。
ランヴィリアにはある風習がある。それは、15才になる年の4月1日に旅に出るというもの。
この国では、15才で立派な大人。大人になる年の4月に親元を離れ、自分の力で生きていかなければならない。
そして、ランヴィリアの首都から少し離れた郊外の街にある家に父母姉弟の4人家族で暮らす少女モナがいた。
今日は3月31日。明日には出発のはずだが、モナの荷物には一つ足りない物がある。それは《武器》。旅に出る時には、自分の身を守るために武器を持って行っても良い事になっている。近所のお姉さんは魔法の杖を持って行ったが、その兄は魔剣を持って行った。
モナは、剣は重いし杖は折りそうだし槍や弓なんかも邪魔でしかないと思っていて、何を持っていくか決め兼ねていた。
ちょうどそんな時、家のベルが鳴った。
「はーーい。」
だるそうな声色で返事をしたこの少女こそモナである。
どうせ新聞の集金や街組合のチラシだろうと思ってドアを開けると、そこには弱々しい、皺くちゃのローブを着た老人が立っていた。
「だっ大丈夫なの、おじいさん?」
「わしゃいつもこんな感じじゃよ、お嬢さん。それより、金をくれ。」
「は?」
モナはてっきり食べ物を要求されると思っていた。それなのに図々しく金をくれと言ったから、モナはこの老人をなり立てのホームレスかなにかだと思った。
「でも、お金より食べ物の方が良いんじゃないの?」
「老人を煩わせるのではないぞ、クルクル髪のお嬢ちゃん。金じゃよか・ね!」
とりあえず自分の財布から100ペノン出して、老人の細くて震える手に乗せた。(10ペノンでう〇い棒が1本買える。)
「ところでお嬢ちゃん、そこにある棒は何じゃね。」
老人は玄関に立てかけてあった棒を見て言った。
「つっぱり棒ですけど。」
モナがそう答えるや否や、老人に急に元気が戻った。
「それじゃぁぁぁぁぁぁ!」
「あぁぁぁぁ!?」
「娘っ子よ、つっぱり棒を持っていけ!」
・・・。は?それしか、頭に浮かばなかった。
「どうせ、武器に困っとったんじゃろ?な?そんな時はジジイを信じろ!」
「いや、何の役にも立たないでしょ!」
「わしには分かるぞ。そのつっぱり棒は魔法のつっぱり棒じゃよ。お前の家に代々伝わる魔法のつっぱり棒じゃ。わしは魔法が見える《マジアサーチャー》なのじゃ。」
《マジアサーチャー》といえば世界で十数人しかいない、魔力を《視る》事のできる者のことだ。その希少さと登録されて公開されている事実から、「我こそはマジアサーチャーだ」というものは少ない。
「本当にマジアサーチャーなの?信じて良いんですね?」
「ああ。ジジイを信じろ!わしの有り金も命もかけて言える。とにかく、これを持っていけ!持っていかなかったかなんて、魔法を使えばいくらでも分かるぞ。」
半ば強制させられるように、モナはつっぱり棒を持って旅に出ることになったのだった。
このジジイ、一体何なのか。
モナも登場しました。
15才で旅に出ろなんて、魔法があるから実現できますよね。
何も無しじゃ、すぐリタイアですね。