第98話 私は飛行機乗りだから。
私は飛行機乗りだから。
とても長く続いた戦争は、その年にようやく終わりました。
たくさんの人たちが亡くなりました。
たくさんの悲しみが、残りました。
生き残った人たちも、誰一人として、傷を負っていない人はいませんでした。(みんなが泥だらけで、傷だらけでした)
国は焼けてしまいました。
なにもかもが、なくなってしまったのです。
でも、私たちは生きています。
だから、これからも、生きていこうと思いました。
カールおじさんのおんぼろな飛行機会社は、燃えてしまっていました。
だから、まずはお家を建てることから始めることにしました。
私とカールおじさんと二人で、一生懸命頑張ってお家を建てました。
飛行機は無くなってしまったので、飛行機の技術を使って、壊れた車を直して、配達業をすることにしました。
荷物や人をいろんなところに運びました。
本当に大変でした。
でも、生き残った人たちみんなと協力して、なんとかみんな、生きていくことはできました。
毎日、毎日、悲しいことばかりで、よく夜に一人で泣いていました。
でも、そんなある日。とても嬉しいことがありました。
ハラが帰ってきたんです。
おんぼろトラックの荷台から降りたハラは、麦わら帽子をかぶっていて、懐かしい、よく昔のお家で着ていた、子供っぽいオーバーオールの服を着ていました。
ハラは私とカールおじさんのところまで大きなぼろぼろの荷物を持って、歩いてやってくると、恥ずかしそうな顔をしながら、「ただいま」と言いました。
「おかえりない」って、私は言いました。
カールおじさんは泣いていました。
もちろん、私も、ハラもいっぱい泣きました。
それから私たちは三人で、もう一度、カールおじさんの会社で働きながら一緒に暮らすことにしました。
私たちは『家族』だったからです。
メル
ぼろぼろの日記の最後のページ
黄色い飛行機乗りの少女 終わり