表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

97/97

第98話 私は飛行機乗りだから。

 私は飛行機乗りだから。


 とても長く続いた戦争は、その年にようやく終わりました。

 たくさんの人たちが亡くなりました。

 たくさんの悲しみが、残りました。

 生き残った人たちも、誰一人として、傷を負っていない人はいませんでした。(みんなが泥だらけで、傷だらけでした)

 国は焼けてしまいました。

 なにもかもが、なくなってしまったのです。

 でも、私たちは生きています。

 だから、これからも、生きていこうと思いました。

 カールおじさんのおんぼろな飛行機会社は、燃えてしまっていました。

 だから、まずはお家を建てることから始めることにしました。

 私とカールおじさんと二人で、一生懸命頑張ってお家を建てました。

 飛行機は無くなってしまったので、飛行機の技術を使って、壊れた車を直して、配達業をすることにしました。

 荷物や人をいろんなところに運びました。

 本当に大変でした。

 でも、生き残った人たちみんなと協力して、なんとかみんな、生きていくことはできました。

 毎日、毎日、悲しいことばかりで、よく夜に一人で泣いていました。

 でも、そんなある日。とても嬉しいことがありました。

 ハラが帰ってきたんです。

 おんぼろトラックの荷台から降りたハラは、麦わら帽子をかぶっていて、懐かしい、よく昔のお家で着ていた、子供っぽいオーバーオールの服を着ていました。

 ハラは私とカールおじさんのところまで大きなぼろぼろの荷物を持って、歩いてやってくると、恥ずかしそうな顔をしながら、「ただいま」と言いました。

「おかえりない」って、私は言いました。

 カールおじさんは泣いていました。

 もちろん、私も、ハラもいっぱい泣きました。

 それから私たちは三人で、もう一度、カールおじさんの会社で働きながら一緒に暮らすことにしました。

 私たちは『家族』だったからです。 


 メル


 ぼろぼろの日記の最後のページ


 黄色い飛行機乗りの少女 終わり

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ