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47.残された二人②

 あと数話でこのお話も終わり……です。多分。


 けれどいくつか張った伏線(?)は全部は回収できません。


 次回があるのかも知りませんけど、自分的には書くつもり……。


 ですが、次回へは少し間が空くかもしれません。


 書いている間に溜まってしまった小説を消化させてください。個人的なことで申し訳ありませんが、小説を書いていると他の作品を読む時間が取れないのです。

 用意してもらった服に着替え終わり、すこし落ち着いたのかすっきりしたような表情で陸は新汰の前に据わり直した。


「落ち着いた?」


「はい……」


 何だか今日は本当に変な日だと正樹は思う。完璧だと思っていたいとこがこうも素直だとなんだか調子も狂ってしまう。


 陸の様子が変わったのではなく、自分の見る目がなかっただけで、最初からこういう一面を持ち合わせていたのかも知れないなとも思う。


 自分もいろいろな意味で彼を意識していたから。


 年齢が近い事に加えその才能故に、比較しにくい属性の力を持つが故に、彼らは常に比べられてきた。こんな家に生まれていなければ最初からこんなわだかまりはなかった筈だがそれを今言っても仕方ない。


「具合はどう?さっきお医者さんが来てたのは覚えてる?」


「……えっと」


 頭を掻くような仕種をしたあと思い出したのか軽く頷いて照れたように少し顔を赤らめた。


「何だかかなり失礼なことを言ったような気がします」


「……まあ、お医者さんも呆れてたけどね」


「すみません……」


 優等生らしからぬ一面なんだろう。素直にころころと表情を変える陸の様子に今までの彼のイメージがばらばらと崩れていくのを感じていた。


「取り合えず食えるなら食っておいて、最悪二人を抱えて戻ることになるから」


 正樹の買って来てくれた菓子パンやらおにぎりやらの入った袋を陸の方に押しやり新汰は立ち上がった。


「新汰兄さんは?」


「ちょっと車んとこに行ってくる。車で二人を迎えに行ければ事は簡単だから。動くかどうか確認しておきたいし、車出せるかも確認しないといけないから」


「それは難しいかもしれませんね。駐車場の出口が川に面している筈です」


 窓の外から見える景色を視線だけで指し示して陸が苦い口調で言った。


 指し示された方を見てみると、窓はちょうど川の方に向いていてそこから土砂に覆われた景色が見える。雨は小降りになっていてすでに従業員らしき人々が流れてきた土砂の清掃を始めており、駐車場の出入り口の土砂は撤去されつつあるがまだ途中だ。


「……そのようだね」


 体力にはあまり自信がないんだけど。という独り言は言葉には出さなかった。


 ぼやいても仕方ない。


「残念ですけど、歩くしかなさそうですね」


「正樹がいないのが痛いな……」


「……ああ、風の?」


「こういう時は便利だよね。あれ」


「確かに。考えたことありませんでしたけど」


 袋の中にあったパンを一つ掴みだすと、陸は袋を破りながら立ち上がり新汰を促した。


「じゃ、行きましょう」


「何かしっくりこないね、これ」


「まあ、にわかコンビですしね。でも意外と相性はいいかも知れませんよ。雷と土っていうのも」


 言われてみれば、風より更に攻撃的な術の多い雷と防御に重きを置く土という組み合わせは悪いものではない。


「……確かに。これで回復がいれば申し分ないんだけど」


「水上の誰か生き残りをスカウトでもしますかね」


「……そんなのいるの?」


「さぁ。現時点では一人だけじゃないですか」


 今のは冗談だったのだろうかと新汰は首をひねりながら、自分も袋からお茶のペットボトルを一つ掴みだして陸の後に続いた。

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