39.命の灯④
連続投稿です……。なんとか頑張っております。(ハァハァ)
さて、歯を磨いて仕事に行ってきます。
相方の無事を確かめてほっとしたのもつかの間、徹と清藍の捜索という新たな難問にぶつかった正樹は、スマフォをぽんと助手席に放るとハンドルを握り直した。左右をきょろきょろと見回し空きのある駐車場を目視で探してみる。
幸い駅の近くという事もあり駐車場はすぐに見つかったが、洪水のせいで二車線対面通行の道路は渋滞中である。
元々朝晩のラッシュ時には渋滞することで有名な道路だったが、こんな昼間に全く動かなくなるほど渋滞してしまったのは近くで洪水があったせいだろう。
新汰たちの安否が知れない状況で遭遇した渋滞に、いけないとは判っていても思わず電話を掛けてしまった正樹だ。しかしその渋滞のおかげで悠長に長電話ができたとも言える。
ほんの少しの距離を動くだけでも時間がかかってしまう。
十数メートルの距離をたっぷり十分以上かけて進み、正樹は駐車場へ車を停めた。
再度スマフォを手にして新汰と陸が避難しているデパートの位置を確認する。それから、来る途中に見つけた古着屋の場所も念のために確認する。また泥だらけになるかもしれない状況では新品をわざわざ買うこともないだろうと思ったのだ。
小さく何事か呟いた後、正樹は傘を持ち意を決して激しい雨風の吹き荒れる車外に出た。叩き付けるような雨に傘など意味もなくすぐにびしょびしょになるかに思えたが、何故か正樹はそれほど濡れることもなく、風に傘が飛ばされることもなかった。
正樹は自分の体の周りにだけ風を対流させてこの風雨を凌いでいるのだ。この激しさでは吹き付ける全ての風を無効化するのは難しかったが、それでも大分ましにはなっているのだろう。
雨が激しいく視界の悪いこの状況ならば、そうそう正樹の状態が他人の目に触れて怪しまれることもなさそうだ。
もう一度小さく何かを呟き、風で自らの体を後押ししながら走り出す。新汰のいる場所はこの場所からまだ数キロある。車で洪水の発生している場所へ向かうのはおそらく無理だろう。今は一分でも時間が惜しかった。
☆☆☆☆☆☆☆
三十分ほどで正樹は新汰の避難しているデパートが見える位置まで辿り着いた。買い物をしていた時間を考えれば驚異的なスピードだった。
熊田駅から南西に伸びている道路を二キロほど行くと、氾濫した白川が流れている。、白川までの道は急な坂道になっていて、白川の流れているあたりが一番土地が低い。行きは楽だが帰りは苦労する道だった。
幸い橋は決壊しておらず、今は一時的に水が引いているようで橋を渡ることができそうだった。橋の欄干にあちこちごみやらが引っかかっている。橋の上にも大きめの砂利が散乱していて歩きにくい。
一度はこの橋の上にまで水が来ていたことは間違いないようだ。
正樹は傘の代わりに購入した雨合羽を羽織っている。
橋を渡ったところで一度立ち止まると、手にしているビニール袋の口をもう一度しっかり縛りなおしてから行使していた術を解いた。
途端に激しい雨が正樹を襲う。
けぶる視界に顔を顰めながら、正樹はデパートの敷地内に駆け寄っていく。
出入り口付近には黒い合羽の上下を履き長靴を履いた店員らしき人物や救急隊員のロゴの入ったジャンパーを着た人物もおり、入り口に敷かれた土嚢を跨いで行き来している。
「すみません、友人がここにいると聞いて探しに来たのですが」
近くの店員を捕まえて正樹は話し掛けた。安全な場所から来たことを救護隊員に知怒られてしまいそうでなんとなく気が引けて店員らしき人物に話しかけたのだ。
この豪雨の中を歩いて来たのかと定員にも驚かれたが、正樹はすぐに中へ通された。
入ってすぐのフードコート簡易の避難所が設置されていて、簡単なお茶などを避難して来た人々に配っているのが見えた。
デパート内は薄暗かったが全く電気が止まっているというわけではなさそうだ。所々、電気が付いている。薄暗い中を正樹は目を凝らして新汰たちを探した。




