38.命の灯③
ほぼ毎日投稿できている高杉です。誰か褒めてください(笑)最近パソコンを見ていると眩暈がひどいです。睡眠削ってるせいでしょうか?
まあ、仕事でパソコンを使わなくなって2年が過ぎようとしているので、理由はそこにあるかもしれませんが。
私は小説を書いている間は極端に瞬きが少なくなり画面を凝視してしまう癖があるのでそれも理由の一つなのでしょう。
目薬挿したら痛すぎて転げまわりました( ノД`)シクシク…
雨は依然として激しく雨は全てを押し流すほどの勢いで凄まじく降り注いでいる。風の御神の憤りを表すかのようだ。
曇天の雲は厚く光など一筋も差さない。まだ昼だというのに辺りは夕方のような暗さだ。
少しでも雨を避けるように木々の下に庇い合うように重なり合って倒れているのは陸と清藍だ。まだ青々と茂る下草を布団代わりに眠る男女の姿は、その姿が泥だらけだとしても映画の一幕のような雰囲気があった。
蒼白だった二人の顔色は、冷たい雨の中に長時間晒されたせいか熱を帯びて赤みが挿していた。当然、健康的な赤味ではない。
清藍の首から下げられたネックレスが二人の危機を表すかのように微かに明滅している。しかしその光はあまりにも弱々しく、まだ明るいこの時間帯では誰かの目に留まることもなかった。
それ以前に豪雨のせいで人通りなどまるでないこの場所では、例え強い光を放っていたとしても人の目に留まったかどうか怪しかった。
遠くから行きかう救急車両のサイレンの音や近隣の家々に避難を促す緊急放送のアナウンスが反響いている。しかしそれも、吹き荒れる雨風の音で間遠にしか感じられなかった。
☆☆☆☆☆☆
デパート内に急遽仕立てられた避難所で、毛布にくるまっていた新汰に電話がかかって来たのは正午を少し回ったところだった。
避難所にたどり着いたのはつい先ほどで、全身びしょ濡れの体をタオルで拭った程度の今は暖かな部屋にいても中々体が温まらず震えていたころだ。
尻のポケットに突っこんだままにしていた携帯は幸いにも生きていた。最近の防水携帯は本当にすごいなどと考えながら震える指で電話を取った。
『やっと繋がった!大丈夫か?怪我とかしてないか?!』
繋がるや否や捲し立てるのは正樹の声だ。あまりの大声に思わずスマフォから耳を放してしまう。
『新汰?!おい、返事をしてくれよ!新汰!新汰!!もしもし!もしもし?……新汰じゃないのか?もしかして、その携帯どこかで拾ったんですか?!』
返事がないことを誤解したのかあらぬ方向へ話がそれていく。
白川の洪水のことをニュースか何かで知ったのだろう。焦って電話を掛けてきてくれた悪友の、焦った様子に新汰の心が温かくなる。くすりと笑って新汰は返事を返すために再度スマフォを耳に近付けた。
「落ち着いて、正樹。ちゃんと俺だよ。声がでかくてびっくりしただけだ」
『正樹?!良かった、生きてたんだな!』
そこまで言って声の大きさを指摘されたことにやっと気づき、二、三度深呼吸する音がスマフォから聞えて来た。
『……良かった。さっきから何度も電話していたんだけど、回線が集中してるらしくて繋がらなくてさ』
「あぁ、そうだったのか。心配かけてすまなかった」
『いや……無事ならいいんだ。大丈夫だろうとは思っていたんだが一応、な』
照れたのか少し気恥しそうな声が返って来た。心配性の悪友のことである。電話がつながらないことに相当やきもきしたのではないだろうかと新汰は想像した。
「本当にごめんな、まーちゃん」
つい気持ちが緩んでしまったのか人前では言わない昔からの愛称で正樹を呼んでいた。
『今どこにいる?……洪水には巻き込まれなかったか?行方不明者が何人が出てるってニュースで流れているようだけど』
「……それなんだがな、正樹」
隣に疲れ果てたように横たわる陸をに目を向け、新汰は声を潜めた。
「日上君と水上さんが洪水で流された」
『え?!』
驚いた声を出したきり正樹は沈黙した。予想外のことに二の句が継げなくなっているのだろう。
術者としての実力が高そうに思われる二人が被害にあったことが正樹には予想外だったのだ。
「俺と陸君は何とか逃げて来れたんだけれど、日上君は水上さんを庇ってね……」
『マジか……あの二人が……』
正樹はそう呟きしばらくの沈黙していたが、考えがまとまったのかきっぱりとした声で言った。
『判った取り合えずそっちに向かう。場所を教えてくれ。あと、何か欲しいものがあれば用意していくよ』
「え?お前今日、彼女と出掛けるって言ってなかったか?」
『この雨じゃどこへも行けないよ。と言うか実はもう彼女には断り入れてあるんだ。もう熊田駅の近くまで来てる』
「……お前……。折角取り付けた約束なのに……。済まない、ホントに」
『事情は話して来たから多分、大丈夫。埋め合わせもするって言って来たし……』
「けど助かる。俺も陸君も泥どろだらけで着替えもない状態なんだ。それに陸君があまり動ける状態じゃなくてさ」
『そうか……判った。取り合えず着替えと食料かな?後カッパだな。買って行くよ』
それから避難場所の打ち合わせや、実際に白川が氾濫した場所などを説明し、新汰は電話を切った。
とにかく二人が無事なことを信じて探さなければ――。




