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36.命の灯①

 なかなかの速度で更新できているのではないかと自画自賛している高杉です。

 こんばんわ。お風呂の中で書いていたら体がふやけました。今はすごいね。どこでも書けちゃう!


 ゴールまであとわずかです。徹君や清藍ちゃんや陸君の命運はいかにいかに――。


 風が吹き荒れている。


 これは自らの怒りの現れなのだろうか?


 怒りなど、やけに人間臭い感情だと思う。


 吹き荒れる風に煽られて叩きつけるような雨の中、その者はその雨風を気にすることもなく佇んでいる。


 まるで星空でも眺めるように静かに空を見上げてある。


 輝くような白い衣もその上に羽織るように巻き付けた碧の衣も、叩きつける雨にさえ濡れることなく、ただ吹き付ける風になびいている。


 足元には二人の男女の肢体がお互いを庇うかのように抱き合って倒れている。


 このまま時が過ぎれば自らの望む結果が得られるのだろう。


 なのにこの胸の痛みは何なのであろうか?


 咎なき咎。そういう星のもとに生まれたと言うだけ。


 それだけの理由で今死に逝かんとしている者がいる。ただ、それだけのこと。


 それだけのことだと言うのに。


 あと、幾ばくかの時が過ぎれば長い間探し求めていた彼の者にまみえることができるというのに――。


 これまで感じたことのないその痛みに耐え兼ねて、いっそこの手で終焉おわりをと手を上げた。


 足の下には動かない的。外すなど万に一つもない。


 見下ろす冷たい蒼色(アイスブルー)の瞳には一片の感情も見てとれない。


 今まさにその手が降り下ろされようとしたその時に、曇天に振り上げた右手に黒い靄のようなものが絡み付いた。


 それは風の御神を害する為のものではなく、ただほんの一時動きを止めるためだけの役割だったのか、なんの苦痛も残さず次の瞬間には消え去った。


 美しい氷の瞳だけがかすかに動いて、その瞬間で気配すらなかった場所に膝を折って控える黒い影を捉えた。


「……御身が穢れまする。どうか思い留まりを……」


 その存在自体が穢れのような深い闇を背負った者からの申し出に僅かに意外そうな顔をする。


 闇に落ちれば魔と化する。判っていることだった。幾柱の神がそうやって身を滅ぼしたことか。人の思いから生まれた彼らは人を殺せば闇に落ちるしかない。


 降りしきる雨の中、辺りは陽炎のようにけぶっていてその黒い影が実際に居るのもなのか、銀の神のような実体のなき存在なのか人の目には判別が付かなかった。しかし風の御神には実際の肉体を持つ存在であることはすぐに判った。


゛ならば、そなたが止めをさすか?゛


「それが御神の望みとあらば」


 泥濘ぬかるみの中平然と片膝を大地に付いたまま平伏する闇を纏った者の声は、地を這うような響きだ。


 実際に手を下さなくともそれを指示すればそれは同じ罪をこうむるのではないのだろうか、と彼の神は思ったがなにも答えずその手をゆっくりと下ろした。


 倒れ伏す二人に背を向けると吹き荒れる風の様に大気に溶けていく。


 鈴の音のような美しい声だけを残して。


゛捨て置け。どうせもうすぐ尽きる命だ゛


 神の去った高台で、深く頭を下げると黒い人物はすっと立ち上がり何も知らず眠り続ける二人を一瞥すると自らもその場に背を向け歩き出した。


「後はお前達次第だ――」


 幸運を――。と声に出さずに呟いてゆっくりとした足取りで歩き去る。


 その黒い上下には一片の汚れもなければ水に濡れている様子もなかった。

H31-01-08 タイトル変更・一部訂正

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