34.落花流水① sideA
流れる亜麻色の髪が美しいと思った。
背の半ばまで攣れることなく背中を飾る光を含んだ艶やかな髪。まるで絹糸の様だと思った。
ただ、見惚れる事しかできなかった――。
貴女ノ傍ニ居イラレルノナラバ他ニ何ヲ望ムノダロウ。
その瞳に映ることができるのならばそれだけで――。 ああ、どうして貴女は……現世にいない?
貴女だけが全てだった。灰色ににじむ世界であなたのその髪色だけが美しく色づいて幼い僕の心を魅了した。何物にも代えられない、何物をも凌駕するその輝き。
それだけが僕の全てで――貴女のいない世界なんて、そこに僕が存在するなんて考えることもできなかった。
ただ、見詰めていた。触れたら壊れてしまいそうで、隣に佇んで星空を眺めることしかできなかった。優しくて、儚くて、小さな白い花のようだった貴女。
何故、ここにいない?呪いは解かれたのに。何故、微笑む貴女を見ることができない?約束を果たしたのに。貴女の傍に居られるだけで良かった。それだけが望みだったのに。どうして、それが叶わない?
貴女が――、僕の――、セカイの全て――。
貴女がいない世界なら、僕の存在する意味すら――ナイ――。僕はもうイラナイ――。約束を果たしたから――。
貴女ヲ愛シテいる――。ただ、ソれだけが、全テ――。




