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26.原因の究明へ③

 なかなか進みません……。


彼らは原因の究明に至ることができるのでしょうか。



 パソコンを新調しました。それはうれしいのですが、まだ旧パソコンからデータを映しておらず、小説の設定集を見ることができない状態で本日は書いておりました。


 公開している設定については問題ないのですけれど、それ以外のデータもあるので意外に不便ですね。早くデータを移さないと。

 図書館の奥まった所に陸の姿が見えた。


 勉強のためや論文の資料集めなどで人は少なくなかったが、図書館の中は想像以上に静かだった。


 ちらほらと付属高校の生徒らしい制服姿も見て取れる。利用者はほぼ大学の生徒か、付属高校の生徒だったが、中には明らかに生徒とは思えない年齢の人もいた。


 とおる清藍せいらんは足音にも気にしながら、窓際の席で調べものをする陸の姿を見付けそちらへ移動した。


 その更に奥の席に新汰あらたが腰かけているのに気付く。陸と一緒にいるのは新汰のみのようで、近くに正樹まさき杏子きょうこの姿はなかった。


「戸上さん来てたんですか」


 この図書館が外部の使用を許可していることは徹も知っている。しかし、今日は平日だ。仕事のある筈の正樹が来ていることが少々以外だった。


「あぁ、仕事の途中でちょっと寄っただけ。もう少ししたら戻るよ」


 正樹と杏子の姿が見えないのはそういうことだろう。


 なるほどと返事をして、陸に首尾を確認すると、相方は無言で首を振った。


榎山市えのきやましの情報を出来るだけ探してみたけれど、それらしいのは見当たらないね。森林伐採などは行われているけれどそれは、あの場所に限ったことではないし。あとは新聞記事を検索することくらいだけれど……」


 昨晩徹と陸は遅くまで家のパソコンを使用して、ネットで関連しそうな事例を検索している。ネットに乗っていなくて、新聞記事に載っているような事柄に、彼らが捜している神へのヒントがあるとは思い難かった。


 また、雄斗袴ゆうとこ山はもともと木々のあまり生えていない山で災害時の山崩れ防止のために植林を行ってることが分かった。計画を立てて山の手入れをしていることを神が怒っているとも思い難く、この事業そのものが数十年前から行われている事業であったためこの事業が理由とは考え難かった。


「結構手づまりな感じ?」


 陸に対面する席に腰を下ろし、清藍にその隣の椅子を勧める。それに応じて腰掛けるのを確認してから徹は大げさにため息をついた。


「まあ、簡単に見つかるならあの方がとっくにどうにかされているだろうし、ね」


「確かに、な。それで、藁をも掴む気持ちでそれを?」


 徹が視線で指しているのは先ほど新汰が持って来た書物だ。


「ああ、うん」


 少しばつの悪そうな表情になって新汰が頷く。


「いえ……責める意味で言ったわけでは……。実は俺もそっち方面にヒントがあるんじゃないかと思っていたので、すみません」


 新汰の表情が曇った理由を正確に理解したのか慌てて徹が付け加える。


「後はあれだよな、神様の時間の感覚が俺たちの感覚と近いかどうかも問題だけど。神様の”最近”がここ数年とは限らないかも知れないところがミソだよな」


「確かに。でもそれならばいくつか候補はでてくるけどね。12~3年位前の洪水とか70年ほど前の震災とか。最悪太平洋戦争にまで遡るのかな」


「うーん。でも確か、あの辺りは太平洋戦争で空襲はあまり受けてない筈じゃ?」


「そうなんだよね。むしろ崎宮の方が空襲は受けてるはずだけど」


「ねえ、それって、人的損失とか人の目から見ての損失ばっかり見ていない?」


 急にそれまで黙っていた清藍が声を上げた。先ほどから皆の話を聞いて考えていたのだ。


「人が受けた被害じゃなくて、山が受けた被害を考えた方がいいのではないかしら。探しているのは木の神様だし。例えば東北地震で大きく崩れた地域がないかとか」


 束の間男たちは言葉を失った。災害などの記事をネットで調べたが、そのどれもが当然ではあるが人的被害を優先して記載されている。そういった記事ばかりを見るうちに、人にとって被害の大きいものばかりピックアップするようになってしまっていた。


「清藍、ナイス!」


「本当に、良いところを突くね。ありがとう」


 陸と徹二人に褒められ少しほほを染める清藍。


「確かに。いつの間にか焦点がそれてしまっていたね。気付かなかった」


 目を閉じて疲れた目頭を少しの間揉み解しながら新汰も清藍を称賛する。


「それなら、東北地震もそうだけれど、近年の台風被害も視野に入れるべきかも知れないね。今年は台風が多かったし」


「台風被害で湖に影響を与えたような案件とかないかな」


 それは清藍の思い付きでしかなかったが、榎山市に行ってからずっと何となくあの湖が気になっていたのだ。


「調べてみよう」


 今までの疲れも忘れ、陸が意気込んで本を調べだす。


「じゃあ俺は、パソコンを借りて今年の災害の新聞記事を閲覧してくるよ」


 徹も身軽に席を立ち、司書のいるカウンターに歩き出した。


 これで何か手掛かりが見つかるといいのだけれど。清藍は徹の背を見送ってから、机の上に積まれている席に手を伸ばした。

H30-01-09 一部改稿

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