表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/56

1.二人の来訪者

お待たせしました。待っていて下さった方もしいらっしゃっいましたら、ですが。


新キャラ寝ながら考えました。おっさん二人ですみません(汗)

 正樹(まさき)は以前の大雨の影響で、大きな土砂災害に見舞われたという山を見上げていた。


 その山の麓には地元の有名大学のキャンパスがあったが、幸いその手前で土砂は止まり実質的な被害は少なくて済んだようだ。


「……地形、変わってるな」


「結界も消えてる」


新汰あらた


 正樹は山の周辺を歩いて、周囲の変化を調べていた連れを振り返った。


 雨の臭いの強く残るその場所は、数年前に作られた美術館の駐車場だ。


 夕方に差し掛かり周囲をあけに染めながら太陽が沈もうとしている時刻だ。周囲には来客の姿もまばらだ。


「どうだったー?」


「……何も残されてないな。ずっと長い間、垂れ流されていた呪詛すらきれいさっぱり」


 肩を竦めさして残念そうでもなく、新汰はそう告げた。


 正樹はその細い、開いているかも定かでない目を再びお山に向けた。


「あいつら、かな?」


「他に誰が?」


「確かに……」


「例の水使いも味方に引き入れたらしいよ」


 穏やかそうな雰囲気の細い目がキラリと光を放った気がした。


「まーじーかーー」


 やはりその口調もどこかのんびりしていて危機感を感じさせるものではない。


 正樹はその柔らかそうな天パーの髪をかりかりと掻いた。


 対する新汰と呼ばれた青年は、少しだけ神経質そうに掛けていた眼鏡を直した。


 かちゃりとかけ直す音がやけに響く。


「戦力アーップじゃーん!」


 緊張感の感じられない相方の物言いに、新汰はくすりと笑った。


 それだけで、場の雰囲気は不思議と和んだ。


 思った以上に緊張していたことに今更気付く。


「緊張感、ないな、お前」


「浄化された場所で緊張しててもしゃーなくね?」


「まぁ、そうなんだけどさ」


「水使いって、もう残ってないんだろ?」


「んー?探せばいるかもとは思うけど、能力は期待できないねー」


「水上多かったもんな、この辺……」


「探す気?」


「いーやー、今更探しても期待できないらしいよ?」


「あー、そうなんだー?」


 本気で言ってるのかと、新汰は相方を振り返る。


 隣で同じ様な仕草で山を見上げる相棒の目には、この街はどう見えているのだろうとふと考えた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ