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時には無声映画のように

作者: 夜朝

「ーー、ーーーーーー、ーーー」


 その女性は、姿勢を正して真っ直ぐに目の前の男性を見上げていた。

 たくさんの温もりが宿った微笑み。そこに、ふと差し込む陰り。その両方を、包み隠さず声に乗せて渡す。

 男性は静かに口を開いた。


「ーーーーーー」

「…………」


 女性は、返ってきた端的な言葉を黙って受け止めてーー円い瞳に光を揺らした。

 もう、大人だから。そうそう泣いたりはしないけれど。心の中で、ころころと、温かなしずくを頬に転がす。

 わずかに開いた唇が、少し震えて小さく開閉する。その後、ゆっくりと、微かな笑みの形に両の口の端が持ち上がった。

 一歩。二歩。

 歩み寄って、その距離が縮まっていく。


 ありがとう……


 それはとても幸せそうな。温もりの中で、心からあふれて顔を満たしていく笑顔のまま、女性は身を傾けて額を男性の胸元へ当てた。

 もう一度、礼を言うと、至近距離で問いかける。


 それで、あなたの聞きたいことって?


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