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VSヤンデレ彼女  作者: 柊夏木ヤヤ
2nd seaon
49/62

新たな色

好評につき2nd seasonです!

この作品の続きを書く日が来る事になるとは思いもよりませんでした。

不定期投稿ですが、また皆さんに楽しんで貰えたらと思います!


それではどうぞ!

『ヤンデレ彼女』

 それは僕が初めてできた彼女に付けて心の中で呼んでいたあだ名だ。そんな彼女がこの世を去ってから早、二十五年が経っていた。

「もうこんなに時間が経ったんだな、志帆……それは俺が年を取る訳だな……」

「お姉ちゃんの前でどうかしたの?」

「ん……?いや、何でもないよ」

「そう?朝から変なの」

 志乃と結婚してから二十年以上も過ぎている。なんだか、あっという間な気もするな……。

「じゃあ、お父さん、お母さん行ってきます!」

「いってらっしゃい、美帆」

「気をつけてな」

 娘の美帆も気がつけば高校一年生だ。一体、彼女はどんな高校生活を送るのだろうな……。


「それじゃあ、僕も仕事に行くね、志乃」

「はい、いってらっしゃい、奏君」

 そして今日もいつも通りの日常が始まる……




 ――――――――――――――――――――




 高校生になってから大体二週間くらいが経った。

 私の住んでる町の隣町にある高校、ここは私の父が通っていた高校らしい。そして亡くなってしまった母の姉もここに通っていたのだとか……。

「でも、毎日退屈だな……」

 教室の窓側の席に座って私は登校してくる生徒を見ながらそんなことを考えていた。

「どうかしたの美帆?」

「あ、彩葉(いろは)ちゃん……」

 中学からずっと仲良しの西本彩葉ちゃん。高校でも同じクラスになったのでよく一緒にいることが多い。そんな彼女が私の様子を見て、机の前まで来てくれた。

「高校生になれば、もっと楽しいことがたくさんあると思ったんだけど、今のところ、退屈だなって感想しか出てこない……」

「だったら美帆も部活とか入れば良いのに」

「私もそう思ってるんだけど……何か、これっていった部活が見当たらなくて……」

 この学校はそこそこ色々な種類の部活がある。だが、ここに入りたいと思える魅力的な部活には未だに巡り会えない。

「うーん……あ、そうだ!美帆、この学校に伝わる裏部活の秘密って知ってる?」

「裏部活……?」

 たくさん部活のあるこの学校。私も入学前に色々チェックしてきたが、そんな部活聞いた事がなかった。

「なんでもね、昔は正式に活動していた部活らしいんだけど、部員がいなくなってそのままになっている部があるんだって。その部活のことを裏部活って言うんだって」

「へぇ……」

 部活には入りたいが、だからってこんな怪しさがあふれ出たような部活には入りたくないな……。

「その部活、人いるの……?」

「さぁ……いるんじゃない?」

 その上、人がいないとなると怪しいどころか、存在を疑ってしまいそうだ。




 ――――――――――――――――――――




 放課後

 ここ最近の日課になりつつある部活動見学巡り。ほぼ全ての部活を回り終わったが、結局高校生活を華やかにするという希望が絶たれつつあった。

「はぁ……この部もそんなに面白そうじゃなかったからなぁ……」

 無趣味である私にとって、どの部活もそんなに楽しそうにも面白そうにも感じられなかった。

 そんな事言ってたら、学校の案内に乗っていた部活全てをコンプリートしてしまった。何にするのかも未だに決められていない。


「部活か……本当どうしようかな……ってか、ここどこ……?」

 部活の事を考えていたら、今自分がどこにいるのかまったく分からなくなってしまった。

「地図だと……ここは二階か……」

 この時に通った階段をもっとしっかり見ておくべきだった。そして気づくべきだった。今、私がいるのは二階ではなく四階だということを……。



 地図をみても結局よくわからなかったので誰かが通りかかるのを待つことにした。だが、数分前に気づいたのだが……

「ここ……人、通るかな……?」

 あまりにも一通りの少ないこんな場所で誰か通るとしたら、夜になって見回りに用務補のおじさんくらいじゃないかと思ってしまう。

「何でこんなことに……」


(こんな悲しい思いするくらいなら別に部活なんか……)


 心が沈んでいき、塞ぎ込んでしまう。けどそこに救いの手が差し伸べられた。


「どうかしました?もしかして、道にでも迷いました?」

 声をかけてくれたのは眼鏡をかけた男の人。多分先輩だろう。ほんわかとした表情で優しさが顔から滲み出てきているみたいな人だった。

というか普通にカッコいいなこの人……。


「あ、あの……何か道に迷ってしまって……」

「どこに行きたいの?よければ僕が案内するけど……」

「いや、別にどこかに行きたいって訳じゃなかったんですよね……私今、部活を色々見てまして……」

 結局どの部活にも入りたいとは思えなかったのだがな……。


「なら、もし良かったら僕が入ってる部活を見ていかない?」

「……どこ、ですか……?」

「ここだよ?」

 何言ってるんだろうと思って上を見上げると、私は生物準備室と書かれた教室の前にいた。

「ここは……?だって私、パンフに書かれてた部活、全部回ったはず……」

「載ってないよ、パンフレットには」

 視線を教室の扉から眼鏡先輩に向き変えると、優しい目で私の事を見ていた。

「僕の部活はね、周りからは裏部活って言われてて、正式な部活じゃないんだ」

「え……裏部活って……」

 私は今朝、彩葉ちゃんから聞いた話を思い出す。


『なんでもね、昔は正式に活動していた部活らしいんだけど、部員がいなくなってそのままになっている部があるんだって。その部活のことを裏部活って言うんだって』


 彩葉ちゃんが言っていた部活、本当にあったんだな。


「えっと……どんな部活なんですか……?」

「部活の名前はSmile部って言います」

「す、Smile部……?」

 私のその部活に対する胡散臭いというイメージがさらに強まった。

「まぁ、ひとまず中へどうぞ」

 私は彼に言われるがままに教室内へと入った。




 ――――――――――――――――――――





 中に入ると、ソファがあったり、冷蔵庫があったり、ティーセットが用意されてたりと教室内は謎の設備の良さを見せていた。

「す、すごい……」

「ようこそ、Smile部へ。今、他の部員はいないけど、どうぞゆっくりしていって下さい」

 眼鏡先輩はいつの間にか私の分のお茶を用意してくれていた。というかこの部活、この人以外にも部員いたんだ……。


「えっと……一つ良いですか……?」

「はい、どうぞ?」

「その……そもそもここはどういった部活なんですか……?」

「あぁ、そういえば話してなかったね。この部活はね、言ってしまえば何でも屋だね」

「何でも屋?」

 それって万屋みたいなものだろうか……。そういえば、お父さんが万屋が主人公の漫画を持っていたような……。

「主な活動は、生徒のお悩み相談とか、町内のゴミ拾いとかかな。夏場には役場の人と協力してお祭りの手伝いとかもしたりもするよ」


 本当に色々とあるなと感心していると、この教室の扉が開いた。

「やぁ、遅くなってしまって済まなかったね」

「どう、新入部員来た……って、来てる!?」

 おそらくこの部活の部員であろう男女二人組が教室には行ってきた。

「落合先輩、榎本先輩、紹介するよ。さっきそこで道に迷ってた新入生の……そういえば、まだちゃんと自己紹介してなかったね……」

 今更だけど、確かにそうだった……。

「あ、あの……!一年の雪白美帆でしゅ!!」

 噛んだ……盛大に噛んでしまった……。


「あー、えっと、僕は二年の本田海斗。自己紹介が遅れてしまって本当にごめん」

「あ、いえ……」

 気を遣われた上に先輩に頭を下げさせてしまった……。


「俺は三年でこの部活の部長の落合正春だ」

「私はね、副部長の榎本円華っていうの。正春と同じ三年生だよ」

「よ、宜しくお願いします……」

 何だろうこの二人……妙に距離が近いような……恋人のなのかな……。

「早速だけど、体験入部ということでうちの部の活動を少しやっていくかい?」

「えっと、確か何でも屋みたいな部活なんですよね?」

「まぁ、考え方としてはそれであってるよ。じゃあ、少しやってみるか」




 ――――――――――――――――――――――




 私たちはジャージに着替えた後、学校の外の来ていた。

「えっと、それでこの後何をするのですか?」

「今日は学校のゴミ拾いを行っていくよ。俺と円華のペア、海斗と雪白さんのペアに別れてやっていこうと思う。何か質問のある人は?」

 誰も特に何も質問がなかったため、そのままゴミ拾いへと入った。三年ペアは西側を私と眼鏡の本田先輩は東側を担当することになった。


「先輩方って、いつもこんな事やってるんですか……?」

「いいや、いつもじゃないよ。学校のゴミ拾いは毎週水曜だけ」

「あ、いや……そういうことではなくて……」

 私は本田先輩に率直な意見をぶつけた。今やってる事って、正直雑用ではないのか。毎週やるほどのことなのかと……。

「うーん……まぁ、確かに持って当然の意見だね……」

「だったらなぜ……」

「でもね、僕たちはこの活動を嫌々やってるわけでもなく、罰ゲーム的な感覚でやってるわけでもないんだよ?僕たちは、『やりたいからやってる』んだよ」

「やりたいからやってる……」

 私は彼が言ってることが最初理解できなかった。だって、彼らがやっていることは雑用なのだ。なぜ、それを好んでできるのだろうか……。


「おぉ、本田!今日もお疲れ!」

「黄瀬先生お疲れ様です」

「あ、太一お兄さん」

 どこかで見たことがある顔だと思ったらお父さんのお友達の黄瀬太一さんだった。よく奥さんの雅さんと一緒に家に遊びに来るから印象深い。来る度にお小遣いくれるし。太一さんの子供の蓮君はよく遊んでくれたな……。

「こら学校では黄瀬先生と呼びなさい。美帆ちゃん?」

「太一お兄さんだって、私の事美帆ちゃんって呼ぶでしょ?おあいこだよ」

「あ、あの……先生と雪白さんはお知り合いで……?」

「ん?あぁ、この子の父親とは幼稚園からの仲でな。今でも家族ぐるみの仲なんだ」

「そうなんですね……」

 仲良いとは思ってたけど、幼稚園からっていうのは私も初耳だ。

「そうだ、美帆ちゃんこそなんで本田と?もしかして、美帆ちゃんSmile部に入ったのかい?」

「え?いや、まだ決めたわけじゃ……って太一お兄さん、Smile部の事知ってるんですか?」

「それは勿論!教員の間じゃ、Smile部は評判高いからな。それに俺より奏……美帆ちゃんのお父さんの方が詳しいはずだぞ」

「お父さんが……?」

 何でそこでお父さんの名前が出てくるのだろう……?



 ――――――――――――――――――――



「ねぇ、お父さん……聞きたいことあるんだけど……」

「ん?どうかしたのかい?」

 仕事から帰ってきたお父さんに私はSmile部の事について聞いてみることにした。


「懐かしいな……まだあったんだな、Smile部……」

「知ってるのお父さん……?Smile部の事……」

「もちろんだとも、だって父さんもSmile部の部員だったからね」

「そうなの!?」

 お父さんが高校に通っていたのは大体二十五年くらい前だった筈。ということはそんなに昔からこの部活はあったって事なのか……。

(裏部活とか言われてる割には歴史あるなぁ……)

「美帆はどうするんだい?この部活に入るのかい?」

「うーん……」

 正直、興味はある。お父さんが入っていた部活というのもあるけど、今日部活をやっていた時に思ったあの感覚……。


「私……入ってみようかな……」

「そうか……お父さん的には嬉しいかな」

 今日一日体験してみて思ったこと……


 この部活……良いかもと……。


 先生や先輩方の友人とすれ違った時に「お疲れ様、今日もありがとう」と言われた時、感謝されるって良いなと……そう心から思った。


「高校生活……少しは楽しくなりそうだな……」


 お父さんに話を聞き終え、部屋で一人そうポツリと呟いた……。




 ――――――――――――――――――――





 次の日の放課後

 私は学校の四階にある生物準備室に向かっていた。

「よし、道は合ってる……今度こそ迷わないようにしないと……」

 私は方向音痴ではない(と思っている)が、前科があるので念入りに道を確認し、生物準備室へと向かった。


「し、失礼します!」

 生物準備室の扉をノックし、私はその扉を開けた。

「あ、雪白さん!いらしゃい!」

 私を出迎えてくれたのはこの部で始めて会ったあの眼鏡の先輩だった。

「本田先輩、こんにちは」

「こんにちは。今日はどのようなご用件で?」

 私は彼に今日ここに来た理由を、ありのまま話した。


「私、この決めました……この部活に入部します!!」

「そっか……歓迎するよ。ようこそ、Smile部へ!」




 こうして私の高校生活は始まりを告げ、色が付き始めたのだった。

いかがでしたでしょうか。

久しぶりに書いたのですが、楽しんで頂けたでしょうか?

この作品のタイトルは「VSヤンデレ彼女」です。勿論、この後、ヤンデレが登場する……かもしれません。その時までどうか暖かく見守って下さい


今回も見ていただきありがとうございます。

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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