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VSヤンデレ彼女  作者: 柊夏木ヤヤ
1st season Kanade&Shiho
28/62

そして、朝は来た

二十八話です。

今回は前回、一般人が持っていてはいけない物を持っていた志帆さんがそれを使い奏を気絶させた。その後の話しとなります。気絶した後、彼の身にいったい何があったのか?

では、お楽しみください。

 目が覚めると、すでに朝になっていた。

 窓の外を見てみると、さすがと言うべき景色が広がっていた。

 そして、僕を昨日、強制的に睡眠に陥れた人物はというと…。

「すぅ……すぅ………。」

 まだ、僕の横で寝ていた。いや、あの後、よく僕の横で寝ようと思いましたね……。

 起こそうかと思ったが、こんな可愛い寝顔を見てしまった後だとこの顔をもう少し見ていたい。その気持ちが強く、しばらく彼女をそのままにし、自分もただ、彼女を見つめることしかしなかった。




 それから、数分した。

「んぅ……、うにゅうぅ……。」

 あ、出た。『うにゅ』ってやつ。やばい、可愛い…。あ、スマホに録音しとけば良かった。そうしたら、志帆に狙われた時の材料にもなるし。

「あれぇ?奏くん…?」

「お?おはよう。」

「おは…おおおおおおお!!?」

 え?なんか、壊れた?

「おはよう!!ございますぅ……。」

「う、うん…。」

 どうしたんだ、朝からそのテンションは……?



「えっと、志帆?昨日、僕を(スタンガンで)落とした後、何があったの?」

「え、えっとー?」

「いや、目線を逸らされても困るんですけど…。」

「うぅ、その……。」

 今のところ、何一つ情報が無いが、一つ分ったことは、彼女がわたわたしていることから、何かがあったことは、明確だ。

「えっとですねぇ、あの後、奏君が倒れた後、私、すぐに冷静になれて、その後、どうしたらいいのかわからなくなって、ひとまず、奏君をお布団に運ぼうと思って…。」

 あぁ、だから僕、布団にいたのか。

「そして、どうしたらいいのか、あたふたしてたら転んじゃって、そしたら………。」

「そしたら?」

「………………。」

「志帆?」

「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」

「うぉ!!?」

 本格的に壊れた!!?

「どうしよう!私、奏君にあんなこと……!!」

「いや、何したんだよ!?そこを聞きたいんだよ!」


「何々!?何事だ!?」

「志帆ちゃん!!?」

 志帆崩壊中に、志帆の声に驚いて太一と雅さんが僕らの部屋に来た。

「いや、僕にもわからない…。それを聞いてる真っ最中。」

「いや、ひとまず、志帆ちゃんを落ち着かせろよ!」

 ごもっともな意見だった。



「はい、志帆ちゃん、お茶。」

「ありがとう、雅ちゃん。」

「よし、落ち着いたな。布団も片付いたし。」

「おぉ、いつの間に…。サンキュ、太一。」

「いや、それは良いんだけど…。で、何があったんだ?」

「あぁ、順を追って説明するなら昨晩の事から話した方がいいか…。」




「なるほど、奏の記憶の方はわかった。で、残ったのは、志帆ちゃんが転んだ時に何があったのかってところだけか…。」

「私、奏君にあんな、あんな……うわぁ…。」

「はい、落ち着こうね、志帆ちゃん。これお食べ。」

 雅さんは志帆の口の中に、どこから持ってきたのか分からないが、どら焼きを押し込んだ。

「ところで、奏君?」

「はい?」

「あそこに置いてあるスマホ。あれ奏君の?」

「あぁ、うん。そういえば、昨日、夜景を撮影しようと思ってて。あそこに置いたまんまだったのか。」

「あの、スマホ……。」

「どうした、雅…?」

 雅さんは、すくっと立ち上がり、僕のスマホを持ち上げた。

「これ、昨日の夜から動画撮影されてる…。」

「え?」

「お?」

「もぐもぐ…。」

 決定的証拠が発見された。僕と太一はすぐに雅さんのもとに駆け寄った。志帆はずっと、どら焼きを美味しそうに食べている。

「本当だ。しかも、内カメラだからお前らのやり取り、全部映ってるんじゃないか?」

「かもしれない。」

 僕は雅さんから、スマホを返してもらい、あのやり取りの部分のところを再生してみた。

「うわぁ、お前、本当にスタンガンで落とされたのかよ……。」

「まさか、自分が落とされた姿を見ることになるとはな……。」

「しっ!大事なのはここからでしょ!?」

「「 はい……。」」

 僕が(スタンガンで)落とされた後、確かに志帆が言っていた通り、彼女は結構あたふたしていた。

「凄いな…。部屋を行ったり来たりしてる。」

「さっきのスタンガンも捨てちゃってるしね。」

「お、奏を運び出したぞ!」

「ふふっ、凄い頑張ってる!」

「まぁ、僕と志帆とじゃあ、身長とかに結構、差があるからね。」

「おい、見ろよ奏、ちゃんと布団までかけてくれてんじゃん。」

「志帆ちゃん、やっさしーい!」

「茶化すな茶化すな!続き見るぞ、本題はここからなんだから。」

 僕らの本題は僕を運んで、その後の志帆の行動なのだから。

「あ、志帆ちゃん、また行ったり来たりし始めた。」

「忙しないな…。」


 そして、その時が訪れた。

「「「 あ。」」」

 志帆が転んだ。そして……。

「は…。」

「嘘…。」

「志帆……僕と……。」

 彼女は、転んだ拍子に僕の上に乗っかった。そして、動画越しなので定かではないが、今、互いの唇同士が重なった状態となっている。手っ取り早く言おう。『キス』をしている。

 で、どういうことなのかよくわからいが、彼女はそのまま就寝。


「あー、えっとだな、奏よ。おめでとさん。」

「わ、わぁ……!」

 まさかの今回の志帆崩壊事件の顛末が、事故でファーストキスするという結果で終わるとは思ってもいなかった……。





 事の事情を知った全員はなぜか正座で無言で座っていた。

「……………。」

「……………。」

「……………。」

「……………。」

 さて、この重い空気、どう乗り切ればいいのか…。

「あ、あの…!」

「志帆?」

「ご、ごめんね……なんか色々……。特に奏君………。あんな……。」

「いや、いいんだ。」

 ダメだ、志帆がもう泣きそう。太一がアイコンタクトでどうにかしろと言っている。でも、どうにかしろ言われましても…。

「志帆。僕は別に昨日のことを気にしなんかはいないよ?だから、この事はこれでおしまいにしよう?」

「でも、私…………。」

「あぁ、そうだなぁ………。」

 悩んだ末、僕は俯いてる志帆の顔を上げ、キスをした。

「んっ…………!!?」

「奏!!?」

「はわあぁぁぁぁぁ!!」


「もし、昨日のキスのことを気にしてるなら、また改めてすればいいだけなんだよ。ね?だから、もう気にしなくて良いんだよ?」

「は、はいぃ………。」

 茹タコのように顔が真っ赤になってしまった志帆はそのまま僕の膝に倒れ、ダウンした。

「あ、あれ!?志帆?」

「ま、それはそうなるかもな。」

「志帆ちゃんにはインパクト強かったもねー。」

「え!?え?えぇー?」



「それにしても、太一くーん。奏君はさ、あんなにスマートにキスしたのに太一君はないのー?」

「君付けの上に猫撫で声を使っても無駄だぞ。あんな純粋ストレート馬鹿と俺は違うんだから。」

 悪かったな、純粋ストレート馬鹿で。

「ふーん、そっか。太一君はこんな時に行動をすることができない臆病さんなんだぁー。太一君はチキンなのねぇー!」

「だからね、君付けしても無理だって……。」

 いや、そう言いながらも人前でキスを見せつけてるのは誰だよ。あ、そうなると僕も人のこと言えないのか。


「ふっ……………。」

「ふ?」

「不意打ち禁止!!何で急にするの!?もう!ムードとか、その…色々あるでしょ!?」

「えぇー、だって、キスをご所望だったからしたのに、したら怒られるし、第一、不意打ちなら奏も同罪じゃん?」

 え?そこで僕に振る?

「奏君はいいの!だって、タイミングといい、セリフといい、全体的にかっこ良かったじゃん!」

 それはそれで照れる……。



「口論中、申し訳ないのですが…。」

「「え?」」

「現在時刻七時三十分過ぎです。そろそろ朝ご飯食べに行きません?」

「そう言えばそうだな。」

「友紀ちゃん、起こしに来なかったね…。」

「いや、たぶんもう起きてるの知ってるよ…。」

「は?それ、どういう………。」

 どうやら、二人とも察したようだ。昨日のあの親子の行動から考えるに今、この部屋もおそらく監視されてるのではないだろうか。

「ていうことはだ……。さっきの、その……キス…のくだりも………。」

「おそらくな。」

「奏はどのあたりで気づいてたんだ?」

「お前らが君付けでイチャついてるあたりから。」

「いや、止めろよ!?」 「止めてよ!?」

「だって、僕と志帆だけ恥ずかしい思いするのは不公平じゃん?」

 ただ僕は公平にしただけである。そう、世の中平等にあるべきとね。






 その後、僕らは(志帆を起こして)朝食を取り、一時間くらいの自由時間を取った後、昨日の話し合いの続きを開始した。

 続きには友紀ちゃんのお母さん(以下:友紀母)も参加した。昨夜、計画の話し合いを一日で終わらせなかったのは、僕らの計画のまとめとして友紀母に話を聞いてもらうためだったらしい。さすがに高校生だけで決めるのには限度というのがあるので…。

 友紀母が言うにはハワイでのホテルの宿泊費、食事代は出してもらえるとの事だ。本当に何から何まで申し訳ないですね。えぇ。

 友紀母のおかげで、金銭面も何とかなった。昨日の段階で向こうに持っていく荷物の確認等も済んでいる。大方、計画立ては終了だ。




 そして、午後一時頃。

 昼食もご馳走になり、今度は間違いなくご帰宅となる。


「本当にお世話になりました。」

「いえいえ。皆、また来てね。」



 ハプニングと色々な意味でのドキドキが万歳だった早御家でのお泊りは無事(?)終了した。

いかがでしたでしょうか?

無事にハプニング満載のお泊り編が終わりました。帰ろうと思ったら帰れなかったり、恋人と同室で気まずくなり、お風呂では、彼女たちが柵を壊し混浴になり、主人公は自分のタイプを大声で暴露するし、スタンガン喰らうし、みんなの前でかっこいいこと言いながらキスするし…。色々ありました。

さて、次回は本編の前に一度、番外編を挟みます。

どのようなお話かは次回をお楽しみ。

今回も見ていただきありがとうございます。

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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