相手の気持ち
二十四話です。
今回は全開の続きです。
決定した部屋割りで奏たちはどう生活するのか?
それでは、どうぞお楽しみください。
改めて、案内された部屋に入った。
入ったのだが、落ち着かない。なぜなら、今日この部屋で女の子と二人で泊まると考えたらそれは落ち着くことができないだろう。
そして、部屋で沈黙が続くこと十分。
「そうだ!僕、太一誘って風呂行ってくるよ。ここね、友紀ちゃんに聞いたら露天風呂もあるらしいよ。もう旅館だよね、ここ。」
「う、うううんそうだ……ね。」
絶対、あの発言のせいで僕らの距離に何か謎の距離が生まれてるよな…うん……。
「じゃあ、先にいくね…!」
気まずい!!気まず過ぎるよ!何で友紀ちゃんはこんな組み合わせの部屋割りにしたんだよ!!??ていういか普通は男女だろ!?修学旅行とかの先生であれ!!!
さっき、友紀ちゃんから聞いた太一たちの部屋に着き、扉をノックをした。ノックしたのだが応答がない。もうどこかに行ったのかとも思ったが、怪しいので一応太一の名を呼んだら、応答があった。
「し、失礼しまーす……。」
こちらの部屋もなんだか妙な空気感があり、謎の沈黙があった感があった。
「お、おい太一……。あのさ、先に風呂行かないかい?」
「お、おう。行くか!じゃあ、雅、言ってくるな!」
「う、うん。いってらっしゃい……。」
「なぁ、太一。」
「どうした、奏。」
「もしかして、お前の所も彼女と変な距離感ある?」
「あぁ、かなりのもんだ。」
「どうしたもんかな…。」
「どうしたもんかね…。」
「「 はぁ……。」」
見事にため息が揃った。ここまでの悩みが過去にあっただろうか。いや、あったわ。志帆が覚醒した(現在の恐怖……いえ、一風変わった感じの状態)時の事。あれはどうしようか悩んだな。当時はどうしたら元に戻るのか考えたものだ。今はもう諦めてしまったが……。
風呂場に着き、いざ中に入ってみると、そこはもう家の風呂ではなかった。
「ご……。」
「豪邸旅館じゃん……。」
そこにはもう僕らが見たこともないような、今後見る日が来るのかわからないような光景が映り込んでいた。中の方は三つの種類の風呂があり、温泉によくある下からぶくぶく出てくるやつ、泡風呂って言うんだっけ?それまである。
外は予想通り、絶景の露天風呂だ。表のの枯山水庭園とは逆にこちらは池泉庭園となっており、さらに夜で周りの木が光でライトアップされ綺麗に反射している。
「奏、俺は今日死ぬのか?」
「そう思う気持ちもわかるが、勝手に死なれても困る。」
そんな会話をしながら二人で露天風呂の一番でかいところに浸かっていた。
「俺もお前もそうだと思うんだけどさ…。」
「ん?」
「付き合った当時、彼女とこんなことになるって想像してたか?」
「無理に決まってるだろ。」
「逆にどういうこと考えてた?」
「どっ!?どういうことって……。」
「まだちゃんと言ってなかったけど、俺と雅が付き合ったのは……。」
「三月十四日のホワイトデーにお前から告白した。」
「何で知ってんだよ……。」
「親友舐めんなよ。」
そう言うのも実はこいつの告白の瞬間を僕は見てしまってるのだ。太一はホワイトデーの放課後に教室で二人きりの中、雅さんにバレンタインのお返しを渡しながら告白をした結果……
「普通、お返し渡しながら告白する?」
と笑われたあと……
「でも、すっごく嬉しい…。ありがとう!告白、お受けします!」
これが事の経緯だ。
「あの頃はもっと、なんか明るかったな…。」
「と言うと?」
「なんか高校生の浅はかな考えだけど、デートをいっぱいして、一緒にご飯食べて、たくさん喋って、んで、卒業してもずっととか考えてたんだよな…。」
「今は違うのか?」
「俺の気持ちは変わらない。卒業しても一緒にいたい。って、俺らまだ高二なんだけどな。ただ、何だろう…雅の方はどうなんだろうってな。俺といて楽しいのかなって思うんだ。」
「なんで?」
「いや、そのさ…最近、雅と話さない日が多かったんだ。ほら飯とかさ。」
確かに、この頃太一と食べる日が多かったかも…。
「あれ、向こうが今日は忙しいっていう日が多かったんだよ。」
「でも、それだけで断定するのは…。」
「さっきの沈黙の空間の時、すっごく怖かった。本当に俺のこと嫌いになったんじゃないかって…。」
「それだったら僕だって…」
「いや、お前の所はない。だって確実に志帆ちゃん、好き好きアピール全開じゃん。」
即答かい。
「志帆ちゃんはすごいよな…。」
「え…?」
「最初は本当にわたわたしていて、引っ込み思案みたいなイメージあったけど、今じゃそんな面影もないもんな。」
そういえば、出会った頃はそんな感じだったわ。自分の彼女なのに忘れてた。
「変わったよね、志帆ちゃん。言い方悪いんだけど、今の志帆ちゃんは完全に狂気に満ちてるよね。」
否定ができないのが怖い…。
「奏はさ、志帆ちゃんがあんなになっちゃった時、別れようとか思わなかったの?自分のことを好きとは言ってくれてはいるけど、なんか命の危険があるよ…?」
「いや、最初は別れようと思った。いや、正確には別れたいって伝えた。」
「じゃあ、なんで今もこうやって付き合ってんの?」
「別れたいって伝えたとき、途中で遮れられ、しかも見たこともないような武器で脅された…。」
「なるほど。じゃあ、付き合ってるのが正解ってことか?」
「でも、後悔はしてないよ。」
「え?どういうこと?」
「確かに、命の危険はこれまでいっぱいあったよ。でも、その分、『桜ノ宮志帆』という人の良さも知れた気がしたんだ。」
「良さ……。」
僕はこの頃思うことがある。それは彼女、『桜ノ宮志帆』の良いところをしっかり見てあげれていただろうかと。
僕の彼女『桜ノ宮志帆』は少し怖い。いや、正直になろう。怖い。いつあのナイフが当たってしまうかビクビクしながら学校生活を送っていた日々もあった。今でも油断した頃にやってくる殺気に恐怖が襲って来る。
それでも…それでも、可愛いのだ…。見た目はタイプだし、笑うとその場が一面お花畑のような美しさ、LEDライトで照らされているような神々しさを出してくれる。料理が上手と言う女子力の持ち主。
言葉をまとめて言うのであれば、『彼女と出会えて良かった』。これがいいだろう。
「やっぱり、きちんと雅と話をしようかな…。そっからの方がいいよな?」
「あぁ、その方がいいよ。僕も似たような事考えてたから。」
ギシギシィ……
二人で会話をしていると、木が軋む音がする。しかし、二人はまだ気づかない。
この音に二人が気づくのに後、およそ十分。
「そもそも、志帆ちゃんがあぁなった時、不登校なった子いたじゃん?その子はどうなったん?」
「あぁ、伊藤さん?今は精神病院で治療中。一度だけ面会に行ったよ。」
「それ大丈夫だったの?」
「あぁ、志帆の話題を出さなければ何ともなかった。」
「何ともないのなら良かったよ。」
ギィ…ギシィ……
再び木が軋む音がする。しかし、二人はまだ気づかない。
この音に二人が気づくのに後、およそ七分。
「ところでさ、太一は雅さんのどこが好きで告白したの?」
「ふぁ!?」
ギシィ……!
「「 ん? 」」
「なんだ?」
「風じゃね?」
「風か。で、どこが好きで告白したの?」
「本当に急だな…。そうだな、やっぱり見た目が可愛いってのはあったけど、話しててさ波長が合うっていうのかな?それで、あ!この人だ。この人しかない。と思ったんだよな。」
「なるほど。」
ギギギィ……!
「「 ん? 」」
「そんなに強い風吹いてるか?」
「いや、そこまで?」
なんだか、どこからか木?が軋むような音が聞こえるような気がするのだが…。気のせいだろうか?
奏はうっすらと気付いたがその音がどこからかは断定はできてはいない。
この音(の正体)に二人が気づくのに後、およそ、五分。
「奏さぁ、まさか俺にだけ話させておいて自分は話さないってのはなしだよな?」
「やっぱり僕も話すやつだよな……。」
「当たり前だろーが!」
「はぁ…。僕の場合は向こうが告白してくれたから、後からの話なんだけど…。」
「おう?」
「まず、顔がタイプ!」
「え?」
「茶髪にセミロングでタレ目。完璧です!僕の好みすべてが入ってるんです!」
「え?がいけ…ん、え?奏?」
「まぁ、身長がもうちょい欲しかったかな。僕と志帆の身長差、二十センチあるし…。」
「あれ、そんなにあったの!?」
「あと、ついでに言えばむね……」
ギイィィィ!!!
「「 ん!? 」」
これ以上言ってはいけない。そう伝えさせるような軋み音だった。
この音(の正体)に二人が気づくのに後、およそ、二分。
「まぁ、外見の話はこの辺にしておいて、やっぱりあの料理はすごいな。文字通り、胃袋掴まれたよ。」
「へぇ、そんなに志帆ちゃんの料理って美味いのか?」
「僕が今まで食べてきた料理の中で一番美味い!お世辞抜き!」
「そんなにか。」
「そんなに。だから、絶対志帆を料理の専門学校に入れてやりたい。あの才能を伸ばしたらきっと将来とんでもないことになるよ!三つ星レストランとか、ミシュランとか!」
「んな、大げさな。」
「言ったな!僕は志帆を有名にして見せるよ!まぁ、志帆にその気があればだけど…。」
「まぁ、そこ大事だね…。」
ギイィィ……。
この音(の正体)に二人が気づくのに後、三十秒
「ところで、さっきから聞こえるこのギシギシって音、何なんだ?」
「わかんない…。そもそも、どこから鳴ってるんだ?」
残り、十五秒。
「そっちは?」
「いや、特に異常はないよ。」
残り、十秒。
「なんか、よくわからんし、と言うか長湯もしたしそろそろ上がるか。」
「それがいいか。」
ギイィィィ……
「だあぁぁぁ!!もぉ!なんなんだ!この音ぉ!!」
「落ち着け、上がるぞ。」
残り、五秒
「あ、俺らタオル忘れてるわ。」
「本当だ、よく思い出したなって、あぁ湯船に入っちゃってるよ…。」
四
三
「あぁ、ビショビショだわ…。」
「しゃあない。中入って絞ればいいんだから。」
二
一
ギイィィィィ!!!!
その音に気づいた時にはもう遅かった。
その音、いや、物、ごまかさず言えば『男女を隔てる木の仕切り柵』が男性側に倒れてきた。
その柵の上には僕と太一の彼女がまぁ、テレビとかではないので当然なのだが、タオルも何も巻かず、ただ裸おうで体制を崩したような状態で寝転がっていた。
「「 え? 」」
僕と太一から出せる言葉はそれだけであった。
そして彼女たちから出た言葉は……
「「 えへ…!」」
だった。
いかがでしたでしょうか?
奏も太一も色々な思いを持って日々を送っていたんですね。
それを二人温泉(?)で裸の付き合いで語り合う。男だからできたのですかね?
でも、ラストに奇妙なことが起きましたね…。
乱入事件。
果たして、あの二人は何をやっていたんでしょうか。
次回その理由が明らかに!?
今回も見ていただきありがとうございます。
次回も読んでいただけると嬉しいです。




