転校生
十七話です!
今回は、夏休み明けのお話なのですが…、まさかの大展開!
なんと、新キャラ登場です!
一体、どういうキャラなのか。そして、このキャラの登場でどういう展開になっていくのか。
ぜひ、お楽しみください1
明智先輩が留学してから二週間以上が経過した。
今日は夏休みが終わり、始業式である。
夏休み後半は僕も模試や夏休み明けの学校の準備で志帆に会えていないので、今日は大体一週間振りくらいに会うことになる。
「おーっす!久しぶりだな、奏。」
「おー!夏休み中々会えなかったもんな、太一。」
太一とは八月の最初にあっただけで、夏休み中ほとんど会っていない。
「そういえば、太一聞いたか?今日転校生が来るとか、来ないとか…。」
「はっきりしろよ…。」
しかし、その曖昧なその情報は正しいらしい。周りから太一と同じ話が聞こえてくる。
数分後、朝のホームルームが始まり、先生が教室に入ってくると、先ほどの曖昧な情報は真実となった。
「初めまして。埼玉から転校してきました【早御友紀 はやみ ゆき】です。宜しくお願いします。
挨拶をしていたらしいが、なんだか興味がなく全然聞いていなかった。
聞いていなかったのだが、挨拶を終えると、我が担任で去年と同じ、安藤先生の口から驚きの発言が飛んできた。
「席は、雪白君の隣になります。」
「えっ……。」
なんでか知らないけど確かに右隣の席が空いてるなぁ、とは思っていたが、まさか転校生の席だとは思っていなかった。でも、自然に考えればそれが当たり前だよね、うん。
ちなみに、僕の席はあるあるの窓側、一番後ろ。個人的最強席である。そして、その一個前が太一の席だ。
先生の言葉に驚いてるその時にはもう既に、彼女は横まで来ていた。
「宜しくお願いします、雪白さん。」
「あ、あぁ…こちらこそ。えぇと……。」
自己紹介を聞いていなかったため、名前がわからない…。悪い癖なのだが、興味無いことにはとことん興味が無い。ただ、こういう時に困る。
「俺、黄瀬太一っていうんだ。んで、こいつは雪白奏。男では珍しいでしょ、奏って名前。だから覚えやすい筈だよ。あ、俺のことも太一でいいからね。わからないことが何でも言ってね早御さん!」
ホームルーム中なので小さい声だっただが、確実に太一は僕を助けるがの如く、転校生の方、早御さん?に声をかけた。
「というか、僕の名前呼びは確定しているんだね…。」
「だって、そっちの方が覚えやすいでしょ?」
「まぁ、別にいいけど…。」
「奏……。」
「え?僕の名前が何か?」
「あ、ううん!いい名前だね!これから宜しくね!私も友紀でいいからね、奏君、太一君!」
「うん。」
「こちらこそ、宜しく友紀。」
四時限目の授業が終わり、昼休みになった。
「さてと、飯か!」
「ねぇ、一緒にご飯食べない?そういえば、学校の中がどうなってるのか後で教えて欲しいな。」
「悪いな、昼休みは彼女と約束が入ってるんだ。」
「僕も。たぶん、もうそろそろ向こうからやってくるんじゃないかと思うよ。」
「へぇぇ…。二人とも彼女いるんだぁ…。」
なんだか急に友紀がニヤつき始めた。まぁ、簡単なことだ。これはからかってる。転校初日だってのに溶け込むのが早いな。
「いや、いるけど…。おい!何ニヤついてる!」
「別にぃー。何でもないですよぉー。」
わざとらしさが滲み出ている。ここまで、酷い棒読みの「別に」という言葉を、生まれて初めて聞いた気がする。
「でも、奏の彼女は彼女と言えるのか?」
「え?どういうこと?」
「いやぁ、それは……」
シュパッッッ!!!!
会話を打ち切るかのように一本のスローナイフが僕の頬を掠った。
「な、何!?今の!?」
「あぁ、ご安心ください。う…」
「安心できないよ!ナイフ!ナイフだよ!?」
「いや、だからね?あれはうちのか……」
「何で皆平然としてるの!?ねぇ、太一君!」
「………すまん。俺はあれには関わりたくない。」
まぁ、それが正しい判断かもしれない。
「何!?どういうことなの、奏君!」
「あぁ、これはですねぇ……。うちのかの……。」
シュッビッッッ!!!
話を遮って第二投が飛んで来た。
「奏君……。」
そして、いつの間にかナイフを飛ばしていた張本人が僕の後ろに立っていた。
「は、はぁい……。なんでしょうか?あ、紹介するねこちら転校生の……。」
「ねぇ、奏君。何で私をほったらかして他の女子と仲良くしている訳?」
「え、いや…ほらさ、友紀は今日転校してきたわけだからさいろいろわからいことが多いわけよ。だからね?教えてたわけよ。ね?」
「え?転校初日なんだよね?もう名前呼びなの?そんなに親しいの?私なんかより親しくなるの早くない?」
しまっったぁぁぁぁ!!やってしまった……。志帆の前で他の女の子と仲良くするとか、一番やっちゃいけないってのは、伊藤さんの時に一番痛感してるじゃないか、僕。
「いや、これはだね志帆…。そのなんというか…。ねぇ、たい…ち?」
振り返ると、彼の姿は無い。代わりにルーズリーフを千切り、四分の一くらいのサイズにしたものが机に置かれていた。そこには、『後は頑張れ。俺は雅と飯食べてくる。』と書かれていた。
くっそぉ、あのバカップルが…。てか太一、いつの間にちゃん付けじゃなくなったんだよ…。
「ねぇ、奏君。私と『この女』。どっちが大事なの?」
えぇ!!?転校初日の女の子にこの女って、それはまずいんじゃ……。
「えっと、なんでしたっけ?志帆さん?でいいんですか?まずあなたに二つ忠告いたします。」
なんか、友紀も入ってきたぁぁ!!やっぱり怒ってる!?怒ってるのぉ!?
「一つ、会って早々の人に『この女』呼ばわりは周りからの印象落としますよ?」
ごめん友紀。それ、手遅れ…。
「二つ、あなたと奏君がどういう関係かは知らないけど、もし、あなたが奏君に私とあなたどっちが大事が聞いてる時間があったら、私はその時間で奏君を奪うわ。」
「なっ!」
「えっ。」
突然の略奪宣言に一瞬、思考が停止した。なぜ彼女が僕を奪うのか。その理由が僕にはわからない。
「どういう意味よ……。私の奏君を盗るっていうの!!?」
「まあ、そうなるのかしらね。」
「この、泥棒猫ぉぉ!!!」
志帆はスローナイフを一気に三本、友紀に目掛けて飛ばした。注意していただきたいのは、ここは外でも格闘場でもなく、教室の後ろであるのだ。
友紀は飛んできたスローナイフ三本を全て弾いた。
「嘘っ!?」
志帆が言った通り、僕も信じられない光景を見た。彼女がどうやって弾いたのか見当も付かない。動きが止まった後の彼女を見ると、先ほど志帆が飛ばした志帆のスローナイフを持っていた。確かにそれを使えば弾くことはできるが、弾く返すまでの技術をなぜ彼女が持っているのか。
「これでいい?じゃあ、奏君は私が貰ってもいいということで。」
「ちょっ!?」
「いやいやいや!ちょっと待って!?何で僕が賭けの品みたいになってるの!?それに、僕は志帆の恋人だからね。こんなことで志帆を見捨てないよ。」
「うぅ、奏君…。」
「恋人……。」
たぶん、柄にもないことを言ったからだろう。志帆が嬉し泣きで体を崩した。
「ねぇ、奏君…。私の名前を聞いて何か思い出さない……?」
「え?」
突然、強張った顔で彼女が聞いてきた。早御友紀……。今日初めて聞いたはずだ。彼女は『思い出さない?』と言った。ということは、僕は以前に彼女に会っている。そういう事になる。
「ねぇ、思い出さない?埼玉で、友紀っていう名前に。」
埼玉?しまった…。自己紹介の時、完全聞いてなかった。そのせいだと思う。
えっと、埼玉……。友紀……。埼玉といえば、小さい頃によく遊びに行ってたな。確か母さんの友達がいるとかで……。そうだ!その時に、同い年で一緒に遊んでいた子がいた。その子の名前は………
「『桃瀬』友紀……ちゃん?」
いかがでしたでしょうか?
今回、体調不良で投稿が遅れてしまいました。大変申し訳ございません。
またこのようなことで投稿が遅れてしまうかもしれませんが、その時は温かい目で見守っていただければ幸いです。
さぁ、新キャラに転校生として『早御 友紀』という女の子が出てきました。
しかし、奏は最後に不思議なことを言ってましたね。『桃瀬』。この名はいったいどう意味なのでしょうか?その答えは………また次回ということで
今回も見ていただきありがとうございます。
次回も読んでいただけると嬉しいです。