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VSヤンデレ彼女  作者: 柊夏木ヤヤ
1st season Kanade&Shiho
15/62

最後の部活動

十五話です!

今回はついに、Smile部最後の部活動となります。

一体どんなことが起こるのか…

ぜひ、お楽しみ下さい!

 後藤部長から大事な話があると言い、話を進めいよいよ『本題』だという。

 僕や志帆どころか明智先輩すら知らない。いったいどんな話なのだろうか。


「じゃあ、本題な。実は、Smile部の終了日を決めた。」

「い、いつですか…?」

「真紀の留学出発日と同じ日だ。」

 なるほど、区切りはいい。そこで全てを終え、各々、自分の道を歩む。部長にしてはしっかりとした考えなのではないか。


「よし、異論があるやつはいるか?」

 その言葉に声を上げる人はいなかった。そこにいる誰もが満場一致だ。

「真紀もそれでいいんだな?」

「何で私に確認取るわけ?皆がいいのならそれでいいんじゃない?その時、私はもう空の上なわけだし。それとも何?当日、私が号泣するような弱いに女だとでも思った?そうだとしたら、その前に今日、私があんたを絞めるわよ?」

「そこまでいってねぇよ!?」

「後藤部長、いっそのこと絞められた方がいいんじゃないんですか?最後の記念に?」

「おい、雪白。その最後は、『最期』になってしまう可能性があるからな?冗談でもやめろよ、そういうことを言うのを。」

 正直、後藤部長が言っているのは誇張しすぎてるのではないかと最近では思うようになってきてしまっている。

 そう言うのも、志帆との関係に慣れてきたからだろう。

 こっちは、少し言葉を滑らしただけで一瞬でナイフが飛んでくる、もしくは見たことがないような危険物が降りかかる。そんな感じだ。それに比べ、後藤部長は予告されてから首絞めか、プロレス技で済んでいる。

 こう見ると、こっちの方が危険度が高い気がする。


「そう言えば、明智先輩。聞いてなかったんですけど、明智先輩が留学に行く日って結局いつなんですか?」

 確かに言われてみればそうだ。今、明智先輩に質問するまで僕もそこのところは八月の頭と聞いていただけで、詳しくは聞いていなかった。

「そうだよね、詳しくは伝えてなかったね。八月二日に出発するよ。」

 八月二日。夏休みに入ってから、丁度一週間になる頃だ。

「それって、結構早くないですか?」

「まぁ、早いっちゃ早いが、こっちに長くいるより、向こうに一日でも長くいて、多くのことを学びたいなって思ったんだ。」

「そうですか……。」

 明智先輩らしい考え方だ。僕の知っている明智先輩は、誰よりも正義感が強く、真面目で、探求心が強い。そんな先輩だからこそ、この留学で、多くのことを学び、多くの出会いをして、僕らに最高の思い出話を持って帰ってきてくれる。そんな気がしている。


「先輩、改めて頑張ってきてくださいね。」

「何、急に?雪白らしくもない。」

 そう言った後、先輩はフッと笑って言葉を続けた。

「でも…、ありがとね。精一杯、頑張ってくるよ。」






 そして、夏休みに入った。

 夏休みに入っておよそ一週間。二日後には明智先輩が留学に行く日となる。


「よーっし!!それじゃあ、お前らぁ!今日が最後の部活動だ!最後は、今までお世話になったこの部室の大掃除だ。埃一つ残さないように頑張るぞぉぉ!!!!」

「本当なら、うるさいって言って殴り飛ばしたいが……まぁ、最後だし大目に見てやりましょう。」

「本当にか!?いよっしゃあああぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」


 ドコスッッ!!! ドーーーーーンン!!!!


「………」(雪白)

「………」(桜ノ宮)

「雪白、ごめん。やっぱり殴り飛ばした。」

「いや、それは見慣れたんでいいんですけど……。謝るポイントが別にありますよね?」

「殴った先に扉があって、扉ごとフッとばしちゃって扉取れちゃった。本当にごめんね?直しておいて。」

「よくそのことを軽い感覚で言えましたね。直す人の身にもなってくださいよ。」



 その後は、復活した後藤部長を交え部室の大掃除に取り掛かった。

「ねぇ、奏君。これは何?」

「ん?さぁ?どっから持って来た?」

「ロッカーの上。」

 志帆が持っていたのは、なんだかよくわからない不気味な人形だ。右手が赤。左手が青。それを合わせたかのように真ん中の胴体と頭は紫となっている。

「お!懐かしいなその人形!」

「本当ね。確か、名前は……『ゴンザレス』だったっけ?」

「ごっ、ゴンザレス!!?」

 奇妙な外見をしている上に、名前まで奇妙と来た……。

「なんなんですか、この人形……・?」

「あぁ、この人形ね。この人形、ゴンザレスはまだ雪白たちが学校にいない頃のSmile部、つまりはまだ大野先輩と、北橋先輩がいた頃の部活の時にもらった物なんだよ。」

「こいつはな、この部の一番最初の仕事の報酬としてもらった物だったんだよ。」

「へぇ、そうだったんですか。」

「あぁ、俺らの初仕事は児童館のボランティアだったんだ。でもさ、その児童館もうボロボロでさ閉館も考えられてたんだけど、子供たちがそれを拒んでたんだよ。それで中々閉館できなくてさぁ。」

「それで、どうしたんですか?」

「大野部長がな――」


『困ってる子を放っておくなんてできるわけないだろ!!よし!なら俺たちで何とかするぞ!』


「ま、まじですか…。で、なんとかしたんですか…?」

「あぁ。あの人、廃材となる木材や石材をもらっては児童館の修繕をしてたし、レンガとかももらってたなー。余ったので遊具とか作り出してたしな。」

「すごっ!!」

「で……?ど、どうなったんですか……?」

「無事に閉館は免れたし、見事に児童館も立て直して見せたよ。大工さんみたいに完璧な状態では無いから不格好ではあるけど、それでも、子供たちは凄く満足そうに見えた。」

「とても、いい話ですね…。」

 確かに、いい話だ。僕の知らない話がこの部活にはまだいっぱいあったんだなと今、改めて思い知らされたようなそんな瞬間だった。」

「この人形はその時に一人の女の子がくれた物だったんだ。」


『ぶちょさん、これあげる!』

『お!いいのか?こんな可愛い人形もらっちまって。』

『うん!ぶちょさんたちにお礼!』

『そうか?ならこれはありがたーくもらっておきます!我が部活の部室に大切に飾らせてもらうからな!』

『うん!』


「いい人ですね……。」

「本当に、馬鹿が二つつく程のお人好しだったんだよ。」

「でもな、そんな先輩だったからこそ、俺らは付いて行こうとも思えたんだけどもな。」

「そうなんですね……。でも、何で名前がゴンザレスなんですか?」

「あぁ、それは大野先輩が名付けた。だから、どう思ったかは知らないがそれは大野先輩のネーミングセンスだ。」

「………。」

 正直、ネーミングセンスはないと思ってしまった。いや確かに見た目は不気味だが、この外見でその名前はさらに不気味さを増幅させてしまう気がしてならない。

「まぁ、各々思うところはあると思うが、こいつは俺らの思い出の人形なんだ。今まで大切にして来たからな。こいつは…そうだなぁ、大野先輩に送ってやろうか。」


 この部には僕の知らないことがまだたくさんある。そしてこの人形は、僕が所属していた部で僕の知らない先輩と僕の知らない子供の絆の象徴だったかけがえのない物だったのだろう。











「でも先輩、何でロッカーの上に置いてあったんですか?」

「守り神として。」

「マジですか……。」

 その言葉を聞いて不気味さが増した気がした。

いかがでしたでしょうか?

出会いがあれば、別れがある。

始まりがあれば、終わりがある。

奏たちにとって、今がその時なのでしょう。

大切な場所、大切な人との別れ。

しかし人は、ただ別れ、終わるのではない。

出会い、別れがあれば、また新たな出会いもある。

同じく、終われば、また新たな始まりもある。

そうやって人は強くなる。

そう、私は思います。


今回も見ていただきありがとうございます。

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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