志帆の進学計画
十四話です!
今回は、志帆が自分の行きたい専門学校について調べる、そんなお話です。
注意としましては、今回、志帆は結構真面目です!
そこのところを踏まえまして、どうぞご覧ください。
弁当の話から早、一週間。
Smile部の部室で、僕と志帆の学校選びが始まっていた。
最初は、具体的なところがあまり何も決まってない志帆の学校から決めることにした。
とは言ったものの……
「どうしたもんかなぁ……。全然、決まらない…。」
自分の学校すらまだなのに、他の人の学校選び、ましてや行きたい学校と全然分野が違う。中々絞れず、悪戦苦闘の日々が三日続いている。
「ひとまず、無料で資料をいくつか取り寄せてみたからそこから当たってみよう。」
「いつの間にそんなものを!?」
「弁当作って貰ったあの日の二日後くらいかな?資料自体は昨日届いたんだ。僕の分も取り寄せたかったしね。一石二鳥さ。」
「奏君、すごぉーい!」
「あはは、そうかなぁ…?」
なんだか、照れ臭い…。だって、ただネットで気になる学校を調べて取り寄せただけなのに、すごい尊敬の目でこちらを見つめてくる。そこまでのことだろうか。
「さて、じゃあ張り切っていきましょうか!」
「はい!」
「まず、今回は、五校くらい取り寄せて見たんだけどこっから近いのはやっぱり、横浜だよね。」
「奏君、相模原もあるよ!」
「あぁ、相模原な。電車乗り継げばいけるな…。後の三つは全部東京の方になるからな……。」
と、なりますと、この二つが有力な候補となってくるのかもしれません。
「あとは、資格や、学費、卒業後の就職率とかが大事になってくるかな。」
「資格って何か違うの?」
「ん?あぁ、同じ料理の専門学校と言っても、当然その学校によって取れる資格の数や種類とかが違うんだよ。」
「なるほどぉ。」
「例えば、横浜の方は、国家資格を試験なしで卒業と同時に獲得できるってのが利得だな。一方、相模原の方は資格の量だ。普通の調理師免許に合わせ、試験に合格しないといけないけど、ふぐの調理師免許の勉強もできるし、食育インストラクターとかの勉強もできるらしいな。」
「なるほど、一つに専門学校って言っても、中身はそれぞれ違うんだね。」
「ま、ソユコト。」
今更ですか。大体の人がそれくらい知ってるとお思いですよそれ。
「そうなると私は、相模原の方がいいかな。」
「ほぉー。理由聞かせて貰ってもいい?」
「単純だけどね、やっぱり、資格は多い方がいいと思うの!」
いや、それがきっと僕の中では正しいと思う答えだ。
僕も資格は多い方がいいと思う。例え、専門学校卒業後、調理師に就かないとしても資格さえ取っていればいつでも活用することはできる。そうなると、多い方が一番有利だと僕は思う。だから、志帆の答えは正しいのではと僕は思う。
「ねぇ、どうかな、奏君?」
「うん、僕もその考えは合ってると思うよ。」
「ほ、本当に!?」
「うん。志帆さえ問題ないならこのまま相模原で決定してもいいくらいだよ。」
「じゃあ、相模原で。」
正直なところを言えば、「決定早くない?もう少し悩んでもいいと思うよ?」と言いたいところだが、本人はもうこれと決め、やる気満々みたいだから…
「うん、なら決定かな?」
「わぁーい!!」
「さてと、本題は入試の方だけ……ど…?」
「ん?どうしたの、奏君?」
考え過ぎていた。進学系すべてには筆記試験があるものだと勘違いしていた。
「一般入試……書類選考と面接のみ………。」
「どういうことなの?」
「簡単に言えば筆記試験はなく、一次試験の書類審査、『履歴書』と、二次試験の面接で合否が決まるってこと。」
「履歴書………。」
「志帆、さすがに履歴書が何なのかがわからないってのは無いよね?」
「さすがに私もそこまで馬鹿じゃないよ!だって、高校入試の時にも書いてるわけだし。ただ……。」
「ただ?」
「高校入試の時、私かなり内容が薄かった記憶があるんだよね……。」
「あぁ、そういうことか。確かに、内容が薄い履歴書だと即刻落とされる可能性があるね……。」
「あぅぅ……。」
「ひとまず、今度、履歴書買ってくるから実際に書いてみるか。」
「う、うん!」
「おーっす!」
「あら、二人とも来てたんだね。」
「お、後藤部長、明智先輩、お疲れ様です。」
「お疲れ様でーす。」
「今日はどうしたんですか?」
「あぁ、今日は真紀の荷物取りに来たんだ。」
「あ、そっか。明智先輩の留学のためにですか?」
「そう。留学の準備とかもあるからね。夏休みいっぱいとは言ったものの、正式には8月の頭には出発するからね。」
明智先輩の留学の話を聞いてから早くも一か月。いよいよ、事がそこまで来てしまったんだと思うと、色々と込み上げてくるものがある。
「そして、全体的に大事な話がある。」
「話、ですか?」
「まず、雪白。部活の話は桜ノ宮には伝えたか?」
「あ、はい。あの日の後、学校で言うのがなんだか気まずく、日曜日に志帆に会ってちゃんと話しました。」
「はい、ちゃんと聞きました!」
「よし、桜ノ宮は相変わらずいい返事だな!では、本題に行くとしようか。」
たぶん全員が緊張したことだろう。僕が明智先輩にアイコンタクトを送ると、先輩は「私も知らない。」と、言ってるかのように首を横に振った。
「じゃあ、本題な。実は………」
いかがでしたでしょうか?
お伝えするのを忘れていましたが、この回で今作の舞台が決定いたしました!
皆様、薄々気づいてるかもしれませんが、舞台は『神奈川県』です。
ですが、この物語はフィクションなので実在する人名、団体等とは一切関係がありません。
そのため、今回の場合、登場した学校も当然、実在するものとは関係性はありません。
そこを踏まえていただくようお願いいただくます。
今回も見ていただきありがとうございます。
次回も読んでいただけると嬉しいです。