お弁当~完成!
十三話です!
今回は前回の続きです。
果たして、志帆が作ったお弁当はどういう結果になったのか…?
では、どうぞ?
奏がお弁当を作ると言い出してから三日。
毎日、お昼になる度にドキドキしていたら今日、その日がやってきた。
「はい、奏君!約束していたお弁当だよ!」
「わ、わぁ……。」
渡されたそのお弁当は、なんだか青紫のオーラを纏っている。そんな気がしてしまった。
「と、とても…美味しそう………。」
「……?なんだか、そんな風には見えないんだけど…。」
察した!?
「いやっ!?そんなわけないじゃないか!?」
そう言って、すぐにお弁当を開けた。
「お、美味しそう……。」
これは、『恐怖』の言葉ではない。『絶句』の言葉だ。開いた弁当の中身は想像していたものとは全く違い、綺麗なおかず、ふっくらした白米。
即ち、本当に美味しそうなお弁当なのだ。
「志帆、これ…めっちゃ美味しそう…。すごい!志帆、すげぇよ!ここまで美味しそうなお弁当、見たことないよ!!」
「え、えへへぇ!ほ、ほめ過ぎだよぉ…!」
照れてるのが、容易にわかる。顔がりんご、、いや、完熟トマトくらい赤い。なんだ、このたとえ…。
「さっそく、食べるよ!」
「う、うん……!」
「じゃあ……注文していた卵焼きから…。」
ワクワクしながら、卵焼きを口にした。
「っ!!?」
「どっ!どうしたの奏君!?」
「あっ、あっ……!あぁ………!」
なんだ、この卵焼き……。口に入れた瞬間、中は、トロッと蕩ける卵の触感、それを包み込んだふんわりとした外!これは卵焼きなのか!?仮に卵焼きだとしたら、僕は革命的な卵焼きに出会った!!
「うまぁぁいぃぃ……。」
自然とにやけてしまう。もう一つあったはずの卵焼きがもうない。おかしい…。どこへいった…。まぁ、答えは一択なんだが…。
志帆が作ってくれたお弁当は、わずか二分で無くなった。
「ご馳走様!!」
「はい!お粗末様!」
「志帆!本当に美味かった!さぁいっっこう!!」
「え、えへへぇ!嬉しいなぁ…!作った甲斐があるよ…!」
「志帆なら、料理人とか目指せるんじゃないの!?」
「え!?そ、そんな!?無理だよ!!」
「いや、いけるって
「こんなに美味しいんだから!」
「そんな…無理だって!!!」
シュビッッッ!!!
何でだろうか…。照れてなのか、スローナイフが飛んできた。焦りはしたが、慣れてきてしまった自分がいる。
あれ?僕、将来、暗殺者にでもなるんだっけ?いや、僕の将来の夢は、弁護士だよ?
「お、落ち着こうか志帆……。僕は真実を語ってただけだよ…。だって、本当に美味しかったんだもん。特にあの卵焼き、すごい、美味かったよ!」
「ほ、褒め過ぎだってぇぇ!!」
シュビッッッ!!! シュィッッッ!!! シュルッッ!!!
一つ、また一つと飛んでくるスローナイフはどこから出しているんだろうと疑問もあるが、その前に、頼むから当たらないでくれという願いで頭がいっぱいだった。
「志帆ぉ!それはまずいって!死ぬって!!死ぬぅぅぅぅ!!!!!」
五分後
落ち着きを取り戻したした志帆と、冷静になって話をすることにした。
「志帆、改めて、冷静に話そう。」
「うん。」
「志帆。」
「うん。」
「進路変えない?」
「私にできるかな?しかも今更。」
「大丈夫、できる。それに、三年生になれば就職コースから進学目指そうよ。コースに変えられる。んで、料理の専門学校めざそうよ。」
「でも、学力……。」
「ここに誰がいると思ってるの?」
「奏君。」
「その通りだね。うん、その通りなんだけど……。ここにいるのは、学年六位だよ?」
「うん、そうだね。」
「いや、もっと、なんか…驚こうよ……。僕がいれば、勉強全部見てあげるし、わからないところも教えてあげれるよ?」
「…………あっ!そっか!」
い、今ですか……。気づくの少し遅くないですか……。
「じゃあ、奏君!」
でも……。
「私、精一杯!頑張るからね!!」
こんなにも真っ直ぐで、キラキラした眼差しでこっちを見られたらそれはもう、全力で手伝うしかないだろ。
「でも、何から頑張ればいいんだろう…。」
「あぁ、そうだなぁ……。まずは進路変更からかな。料理の専門学校に行って調理師免許を取る。そのためにどこの学校に行くか、そこを絞る。あとは、受験科目を調べようか。たぶん、志帆が今勉強しているところと受験科目、全然合ってないから何が必要なのか調べて、後は僕が志帆に教えていく。早めにやらないと後々大変だから、来週あたりから始めるか。」
「…………。」
「ん?どうした、志帆?」
「いや、なんだか一気に言われて頭がついてこない……。」
自分では感じてはいなかったが、結構いっぺんに言ってしまったのだろうか。でも、確かに、もともと就職を考えていたのに急に進学に変え、その説明をバッとされたら、それは混乱するか…。
「うん、なら専門学校選びからしようか。学校を選べば、その学校に行くって目標も立つし、受験科目も絞れて勉強しやすくなるよ。」
「でも、奏君って、法学部があるところとだけしか絞ってないよね。奏君は絞らないの?」
「えっ!?」
痛いところを着かれた…。人にえらいことを言っときながら僕は自分の生きたい大学を絞れてない。
「志帆。」
「うん。」
「まずは、一緒に学校選びと行きますか。」
「はーい!」
一つのお弁当が二人の進路を揺さぶるとは、凄い効果が含まれてるものだ、まったく。
いかがでしたでしょうか?
志帆は料理ができる女の子でした。むしろ、天才ちゃんでした。
そして、二人とも、進路について決意が大きく固まりました。料理ができても、勉強があまりできない志帆さん。果たして、これから専門学校へ向けての勉強、どうなっていくのでしょうか?
今回も見ていただきありがとうございます!
次回も読んでいただけると嬉しいです。