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VSヤンデレ彼女  作者: 柊夏木ヤヤ
1st season Kanade&Shiho
11/62

想い~受け継しぎとき:2

十一話です!

すいません!少しだけ投稿遅くなりました。世の中色々ありまして…。

それはさておき…

今回は、前回の続きです。

カラオケ続き→その後

となっております。

前回、この部分を二話で書くと言ったため、今回、予想以上に長くなってしまいました。

大変申し訳ございません。

そこを考慮したうえで…

どうぞ、お楽しみください!

「よっしゃぁ!次、歌うの誰!?」

「あ、私です!」

「桜ノ宮か!ほいよ!」

「ありがとうございます!」

 カラオケに来てから、三十分程が経過した。志帆と部長は完全に取りつかれたように歌いまくってる。基本的に、部長→志帆→部長→志帆→部長→志帆→僕→部長→明智先輩→志帆→部長……

 みたいな、順番で歌ってる。


「雪白。」

「ん?どうしました、明智先輩。全然歌ってませんけど…。もしかして、カラオケ嫌いでした……?」

「いや、カラオケは好きな方だよ。ただ、歌は『ない』んじゃなくて、歌『えない』のが正しいのかな。もう、あの二人、曲、入れ放題でさ…。」

「あ、あぁ…。」

「ま、楽しそうなら何よりだよ。だったら、こっちはこっちで少し、お話しでもしようか?」

「え?あぁ、はい…。」

 こんな言い方したら、まずいんだと思うけど、珍しいこともあるもんだ。あまり、自分からは話しかける性格ではない先輩が、自ら話そうと持ち掛けてくるとは……。

「なぁ、雪白。」

「は、はい…。」

「覚えてるか?こんな、非公認で、部活動と言えないような場所にお前は恐る恐る入ってきたよな。」

「そういえばそうでしたね…。」

「やる気のない日や、雨で外に行かない日なんかは、本当にやる気がなくてさ、ずーっとだらだらしてたよな。んで、お前がお茶を淹れてくれたりしてさ。」

「ははっ、いつもそんな感じでしたね。」

「去年はさ、雪白が一年、私らが二年の時、三年に北橋先輩がいたでしょ?あの先輩も、仁に似て暑苦しい人だったでしょ?だからさ、毎日がプロレスみたいでさ。」

「週三で乱闘でしたもんね…。」

「………楽しかった。」

「………はい。楽しいですよ、この部活。」

 そういう先輩の目は、とても輝いて見えた。




 二時間後、歌い疲れたせいで、志帆と、部長の二人がダウンしてしまったため、お開きにすることになった。

「んじゃあ、お前ら、またな!」

「二人とも、今日はありがとうね。」

「いえ、楽しんでもらえたなら良かったです。」

「先輩方、お疲れ様でした!」

「おう!お疲れ!」

「うん、お疲れ。」


 部長たちと別れ、志帆と帰ること五分ほど経過したときの事だった。

「ん?」

「どうしたの?奏君?」

「いや?LIMEが入っただけだよ。」

 そのLIMEの相手は、明智先輩だった。


『雪白、桜ノ宮を家に送り届けてからでいい。一人で今日来たカラオケの近くにある、ファミレスに来てくれ。』


 明智先輩が指定してきたファミレス、先輩が覚えてるかはわからないが、あそこは、僕にとってこの部活での思い出の場所。そこに一人で来い。どういうことなのだろうか……?




 およそ二十分後。

 志帆を送り届け、来た道を戻り、ファミレスへと来ていた。

 店の中に入ると、すぐに明智先輩が僕のことを見つけ、呼んでくれた。そこには、明智先輩だけではなく、後藤部長もいた。

「すいません、お待たせしました。」

「いや、こっちこそ急に呼んで悪かったね。」

「いえ、構いませんよ。というか、部長もいたんですね。」

「おう、あくまで今、呼んだのには俺ら二人から話しがあったからだからな。」

「話…ですか……?」

「あぁ、今後の部活についてだ。」

「え……。」

 どういうことだ…。今後の部活について…?いや、考えてみればそうなのか…。明智先輩が抜ける事によって残り三人。そして、後藤部長だって、もう自分の進路のことを考えなくてはいけない時期だ。今後について考えるのに不思議な事は何もなかったのだ。

「これはあくまで相談なんだ…。俺らでも決定しきれていない。」

 その後藤部長の言葉はいつもの部長の雰囲気とは裏腹に、重々しい雰囲気を醸し出させていた。

「雪白、この部を、Smile部を終わりにしようと思うんだ……。」

「………は?」

 この時、先輩が何を言っているのか頭が真っ白になってしまい、さっぱり理解ができなかった。たぶん、先輩に口が動いてたことから引き続き説明してくれはいたんだと思う。でも、十秒くらい周りの声が聞こえていなかった。

「先輩、どういうこと……なんですか……。」

「いや、だから今説明している通り……」

「何で急にそんなことになっているんですか!!?」

「落ち着け!雪白!!」

 明智先輩のその一言で、ふと我に返った。そして、今ここがファミレスであることも思い出した。

 周りのお客さんがこっちに目線が集中している中、僕は、すっと席に着いた。

「すいません、取り乱しまた……。」

「いや、急にこんな話をして混乱するなってのも無理がある。」

「全員、冷静になりましょうか。そのために一度、注文しましょう?私たちもね?」



 十分後、注文したものが全て揃った。

 後藤部長は、ハンバーグにコーラ。明智先輩は、カルボナーラにメロンソーダ、食後にコーヒー。そして僕は、ドリアにリンゴジュース、食後にコーヒーとなった。


「さて、雪白。食べながらでいいから聞いて。」

「は、はい…。」

「さっきは突然、言ってしまったから、理由を踏まえゆっくり説明するわね。こいつから。」

「ごふっ!お、俺!?」

「だってあんた、部長でしょ?」

「ま、まぁ……。」

 いつもと同じ雰囲気醸し出してますが、まだ頭混乱してる後輩を置いていかないで欲しいですねぇ。えぇ。

「じゃあ、順を追って説明するか。」

「…………」

「さっきも話した通り、この部を終わりにしたいと思う。そう思ったのには三つ理由がある。」

「一つはやっぱり、明智先輩の留学ですか?」

「その通りだ。」

「では残りの二つは?」

「ひとつは人数問題だ。この部は、非公認だからな。卒業して、俺が抜ければ確実に人手的にも厳しくなる。」

「そっ!れは……。」

「もう一つは、理由になるかはわからないのだが、この部の創立当時にこういう話があったんだ。」



『でも、大野先輩、なんでこの部、非公認で行くんですか?』

『ん?それはだな後藤よ、あくまでこの部は俺の自己満足なんだよ!俺がやりたいからやる!そしてお前らもやりたいからここにいる!そうだろ?』

『それは、まぁ…。』

『だから、やりたい奴がいなくなったら自然消滅ができるように非公認にするのさ!別に部活の名前が大事なんじゃない!みんなに《笑顔》になってもらうのが大事なんだから!』

『先輩らしいですねぇ…。』

『そうか?でも俺がやっていけるのもお前らがいるからだからな!頼むぞ、北橋!明智!後藤!』




「そんな先輩だったんだよ、大野先輩は…。」

「そうだっんですね…。」

「本当だったら、俺らの代ですぐに終わらせられたんだが、大野先輩が抜けてすぐに大番狂わせがやって来てな。」

「ナルホド、ダレノコトデショカネ?」

「別に責め立てはしねぇよ。」

「そうよ、むしろ私たちにとっては、後輩ができてちょっとだけ嬉しかったしね。」

「明智先輩……。」

「ただ、そのことで今日の問題ができてしまったけどね?」

「うぐっ!!」

「なぁ、雪白………。」

「後藤部長…?」

「俺らが卒業したらこの部は二人だ。そして、桜ノ宮はあんなんだからあんまり真剣に聞いてはくれてないのだろうけどお前、将来は弁護士志望だろ?」

「そっ!そう…ですね……。志帆のところまで当たってます……。」

「すごいな、仁…。こういう時のお前、なんだか冴えてるというかなんというか……。」

「お褒めいただき光栄……ってのはさておき!結局、雪白は弁護士の勉強をしなくちゃいけない。弁護士となるとちょっとやそこらの大学なんてもんじゃなくて、とんでもなくレベルの高い大学の法学部とかに入って勉強しなくちゃいけないんだろ?」

「そ、そうですけど……。」

「仁……お前…どうした…?お前をここまですごいと思ってしまうとなんか……。」

「いや、流石にこれくらいは知ってるわ。殴るぞ?」

「後藤部長の言う通りです……。確かに最近、勉強量が減ってるのではないかなとは思ってました…。」

「雪白……。」

「そういうことだ真紀。部活をなくすのは俺らも辛いが、だからといって雪白の将来を潰してしまっては本末転倒なんだ……。」

「先輩でも、僕は、まだ!」

「まだ、やれる。続けれるといいたいのか?雪白?」

「っ!!」

「その気持ちは嬉しい、とても嬉しい。でもな、物事にはいつか、終わりがくる。そして、この部活に終わりを付けるとしたら今なんじゃないか?」

「………。」

 言葉が出ない。出したくない。先輩たちが言ってることはわかってる。でもそれに納得したくない自分がいる。

「志帆にはなんていうんですか…?」

「お前の決定次第だ。」

「何でそう他人にまか…!」

「だって…!!」

「っ!!」

 注意がてらお伝えします。現在このファミレス。お客さん。注文の間に僕らだけになりました。というか、注文する前からお客さんは僕ら合わせ、3席分しかいませんでしたし…。

「だって、桜ノ宮に関しては、雪白の決定であれは九十パーセントくらい同意しそうだと……。」

「あ。」

 なんだか同感してしまった。

 確かにそうだ。今日の先輩は妙に鋭い。確かに志帆なら僕の決定に「うん私もいいと思うよ!」みたいなノリで僕と同じ意見に来ると思う…。

「後は雪白、お前だけなんだ。」

 後は、僕だけ……。僕の決定一つで、部の存続、終了、どちらも決められる。

 どうして、どうして僕なのか。あまりにも話が大きすぎる。端から見ればただの部活の話じゃんで済むかもしれないけど、僕からすれば大切な居場所の一つがなくなるかもしれない。それほどに重要な話し合いになっている。


「先輩………この話の返答をお伝えしてもよろしいですか?」

「……あぁ、頼む。」

「僕は、この部が、この場所が…とても大好きです。」

 突然に涙が出てきてしまった。そして止まらくなってしまった。

「そして…なによりも、この場所にいる方々が大好きなんです…。」

 涙が止まらない。言葉を発しながら心の中で「止まれ、止まれ。」と言い聞かせてもその雫は止まることを許さなかった。

「だから、先輩方の話……受け入れようと思います…。」

 その言葉を発した時、僕は自分の前の机に、小さな水たまりを作ってしまった。その水たまりを明智先輩はおしぼりを使い、干上がらせてくれた。

「雪白、辛い決断をよくしてくれた。ありがとう…。」

「……いいえ。いつかはしなければいけない決断、なんですよね?」

「雪白……。」

「ねぇ、雪白。」

「なんですか、明智先輩?」

「なんで今日、あんたを呼び出すのにここを指定したかわかる?」

「え?も、もしかして…。」

「覚えてるか、雪白?ここは北橋先輩がいた頃、よく来たよなぁ。」

「先輩方、覚えてたんですか!?」

「あぁ?当たり前じゃないか?ここは俺たちSmile部の思い出の場所だぞ?」

「忘れるわけないでしょ。そう言えば、雪白の歓迎会もここでやったわね。」

「あぁ、そうだったな!いや、全員の誕生日会もここでやる位の思い出の場所だぞ?そう簡単には忘れねぇよ。」

 先輩方も覚えていてくれたんだ。でも、そうか。あんだけ色々なイベントをやってきた場所だ。後藤部長が言っていた通り、そう簡単に忘れれる場所ではない。

「雪白。」

「は、はい。」

「今日ここにあんたを呼んだのはね、この話をするだけじゃないの。」

「そうなんですか?」「そうなのか?」

「いや、仁。あんたは知ってるでしょ…。」

「え?………あ、あぁ!あのことか!」

「ん?あのこと?」

「今から雪白に渡したいものがあってね。」

「渡したいもの?」

 そう言い、明智先輩は、今、自分がしているネックレスを差し出した。

「え、ネッ…クレス……?」

 そのネックレスには綺麗な青い菱形のようなものが下がっていた。

「どうして……。」

「雪白には色々いい思い出をもらった。そのお礼…かな?」

「え!?だ…だったら僕だって色々お世話になってますし!そんな高そうなもの!!」

「いいんだ、受け取ってほしいんだ。いや、受け取ってくれ。これは行ってみれば先輩から後輩への引継ぎみたいなもんだ。」

「え!いや…そんな…。」

「なぁ、雪白。」

「後藤部長?」

「俺と真紀がつけてる指輪、どう思う?」

「え?そういえば、長いこと付けてますよね。後藤部長が黄色で、明智先輩が赤。なんだか、最初の頃は、ペアルックなのかなって思いましたけど、凄い大切にしてますし、それに、凄くきれいな指輪ですよね。」

「だろ?これな、北橋先輩がくれたものなんだ。」

「え?北橋先輩が?」

「あぁ。先輩から後輩へってな。卒業式の日にくれたんだ。雪白には内緒なと言われてたは。」

「うわぁ、あの先輩。見つけたらなんか奢ってもらおう…。」

「あははは!でもそれと同じさ。今、真紀が雪白へと受け継ごうとしている。その気持ちわかってれよ!」


『先輩から後輩へ』


 流れる想い。

 繋がっていく気持ち。


「ありがとうございます。大切に使わせていただきます!!」



 そうやって人は大きくなる……のかな?




「あ、ちなみに俺の引継ぎは卒業式でな!」

「あ、だからか。何も出すようなものがないわけではなかったんですね。

「しばくぞ!!くぅおらぁぁ!!」

「黙れ。張り倒すぞ。」

「はい。」

いかがでしたでしょうか?

今回、本当に長くなってしまって申し訳ございません…。

さて、奏が入っていた部活、Smile部はなくなることとなりました。

でも、そのことをまだ、志帆は知りません。それを知った志帆は…?

それはまた次回。


今回も見ていただきありがとうございます!

次回も読んでいただけると嬉しいです。

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