完結後・本関連
あとがきを修正したついでに少しだけ。
植物大全・・・学者と絵師による精緻なイラスト付きで現在の印刷技術では大量生産が出来ない為非常に高価。
大陸各地のありとあらゆる植物について、形状、色、植生分布、花の咲き方、食用利用方法、栽培方法まで解説されている。
イルンスールは姉から植物の効能や植物由来の薬品調合方法について教わっていたが下界の現在の植物とは一致しない点が多かった。そこで、この本を参考にしつつ錬金術を学び様々な薬効成分を分離して抽出した。
10巻セット。一冊500エイク以上する。
錬金秘宝大全(仮)・・・トレイボーン著
師達の研究成果をまとめたもの。
ミリアムが得意とする蒸留器の生産方法から蒸留酒、香料、オイルの抽出、分離方法、
オルプタが得意とする毒薬の精製、イルンスールによる様々な薬品の製造法も詳細に記録されている。
イザスネストアスやイーデンディオスコリデスが得意とする変装の魔術装具の生産方法についても書かれているが、イーデンディオスコリデスが出版を差し止めている為、まだ世に出ていない。
ラリサで学んだ事を参考にイルンスールが作った仮死薬は不完全であり、高位の魔術師の介添えを必要としない時を凍らせる魔術の代用品もまた危険極まりないものであった。
ヴェーナ帝国三報霊異記・・・因果応報の物語が集められた説話集。
成立年代は不明だが、口伝による第一帝国期の話もあるとされる。
古代の赤裸々な男女の情愛も描かれている。
イルンスールがたまたまその部分を読んでいる時に、侍女達に見つかってしまっただけである。
春画本ではない。
愛の旅路・・・閨の過ごし方について書かれた研究指南書。
千年以上続くベストセラー。著者は詩人としても有名だった。
もともとは貴族の女性向け。
愛の技巧・・・愛の旅路をさらに過激にしたもの。
神聖娼婦が愛読していたが、魔女狩りの際に発禁処分を受けた。現在は再出版されている。
図書館で読むような本ではない。
エッセネ公の書庫・・・古代の農業技術書や風土病、帝国によって編纂される前の歴史書もあるが、神殿書庫から持ち出すと書庫と本を結びつける魔術が解除されて朽ち果ててしまう。
翻訳ミスやギルドによる技術の秘匿などにより歪められる前の医聖が書いた医学書もあるが、当時は臨床実験が足りていない為、全てが正しいわけではない。
現代語に翻訳されたものがレベッカに届いたが、命に関わる事の為彼女も慎重にならざるを得なかった。
イルンスールも全ての本に目を通せたわけではなく、特に歴史書には興味を持たなかった為その中にあった森の女神についての部分には気づかなかった。