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White White Sun

 

 油凪の海に蝋の破片が漂っていた。

 目を凝らせば水面近くを大きなボラが泳いでいる。

 大量のフナ虫が岸壁を這い、遠くでは海鳥が鳴いていた。

 美しさを解さない生き物はかくも逞しい。


 目を焼くような夕陽が沈んでいく。

 その色は海に溶け込み、海はオレンジ色に染まりつつあった。

 大海に臨む俺を撫でる潮風は熱さすら感じるほどだ。


「梅に鶯、柳に燕」


 声と靴音が近づく。

 隣に立ったのは群青だった。


色男ハンサムに夕陽……か?」


 ちらと横顔を見る。――酷い有様だった。

 赤と青の痣だらけの顔は腫れ上がり、耳と鼻には大きなガーゼが当てられている。

 俺の視線に気づいた群青はこちらを見、ふっと笑った。


「男を上げただろ?」


 親指で自らの顔を示す群青に俺は首肯を返す。

 伊達男イケメンには敵わない。


 一方の俺は全身に湿布を貼っている。

 あちこちの筋が痛み、神経まで捩れているんじゃないかと思う程の強い痛みがあった。蝋を流し込んだ目もまだズキズキしている。

 だが群青や優姫に比べると傷は遥かに浅い。

 これも俺が掲げていた堅実主義の結果だろう。


 ――堅実主義。

 思い浮かべた単語に、ふっと自嘲が浮かぶ。

 俺は自分がこの二人と同じように傷つき、血を流していないことに恥を覚えていた。


「行ったか」


「!」


 岸を離れた船の巻き起こす白い泡がここまで届いて来た。

 飛行機雲を目で追うように泡の先を見やると、二隻の船が夕陽の沈む水平線へ向かって出航するところだった。


 迎えの船はまず怪我人、病人、子供や老人を運んだ。

 生存者の存在を知った海上要塞からは更に数隻の船が派遣され、今はちょうど三往復目が終わったところだ。

 陸地に残っているのは俺達と自衛隊、それに僅かばかりの成人男性だけ。

 次は俺達自身があれに乗って要塞へ向かう。


「四十二人だった」


 群青がうっそりと呟く。

 死者の数ではない。生存者の数だ。

 百人以上の大所帯で出発したと言うのに、助かったのは半分以下。

 お互いに殺し合ったわけでもないし、足を引っ張り合ったわけでもないのに、こんなにも数が減ってしまった。


「酷いな」


 それしか言えなかった。


(……)


 これもすべて唇月のせいだ。

 そう続けたかったが――続けられなかった。

 俺がもっと早く覚悟を決め、動けていたら、救えた人がいたのかも知れない。

 あの商店街で、刺し違えてでも唇月を殺していれば。

 あるいは、二度目の接触時にもっと早く奴の狙いに気付けていれば。

 紫苑の抱く二心に気付けていれば。説き伏せることができていれば。


「自分だけのせいだと思うなよ」


 声音に自責の念が混じっていたのか、群青に肩を叩かれる。


「助かった奴は誰だって同じことを考えてる」


 そうだ。曹長や自衛隊はもっと苦しんでいる。

 それに、生き残って『しまった』人々も大半はまともで善良だ。

 まともで善良であるということは、自分の属する社会や集団に対して責任を感じるということ。

 誰もが皆、「自分がもっとしっかりしていれば」と考えている。

 苦しんでいるのは俺だけではないし、俺一人がしっかりしていればあらゆる問題が解決した、なんてこともない。


「これからの方が大変だ。あっちにカウンセラーみたいな人がいればいいんだが」


 群青はサイドスロー気味に小石を放った。

 ぴぴっ、ぴぴっと水面で跳ねた石が無数の波紋を残し、海に沈む。


「皆、疲弊してる。水とメシだけじゃ癒せない。薬も必要だし、何なら娯楽も要る。……あっちに着いたらやるべきことは山積みだ」


 群青は明らかに一つの話題を避けているようだった。

 その話題に触れるのは自分ではない、という暗黙の意思表示。

 意を汲み、俺はあえて問わなかった。


「ここに居たか」


 蝋の階段をゆっくりと降りて来たのは曹長だった。

 片時も休まず救助活動を続けていたせいで髪や顔は白く、もはや老人のようにすら見える。


「次が最後の船だ。君らも乗りなさい」


海神型ネプチューンは?」


 ネプチューン。

 唇月と妃が姿を変えた白魔人を俺たちはそう呼称していた。

 三叉の槍を手にしているわけではなかったし、そもそも男型ですらなかったが、何となくその名がしっくり来たのだ。


「見当たらない。……もう戻って来ないのかも知れないな」


 地の果てに目をやった曹長は安堵しているようだった。

 俺も安堵していた。

 今あいつに襲われたらさすがに全滅しかねない。


「陽甲」


 何気なく、といった調子で曹長が言葉を投げる。


「紫苑の処置が決まった」


「……」


 紫苑は最後の最後に唇月を裏切った。

 彼女の心の中でどのような考えが天秤に乗って揺れ、どのような感情が渦巻いていたのか、俺には分からない。

 ただ、彼女は俺の窮地を救った。


 だがあいつは初めから寝返るつもりで唇月についたわけではない。

 最後にたまたま俺を助けただけだ。それを忘れてはならない。

 落とし穴に嵌めた唇月たちを助けた時、紫苑は完全に『向こう側』に堕ちていた。あの時吐露された感情は本物だった。

 そして紫苑が余計なことをしなければ、唇月と妃はその場で仕留めることができた。そして大勢の人間が助かった。

 あいつは間接的に大勢の人間を死なせた。

 だから紫苑は現在、拘束されている。


 彼女がやったことについて俺たちは口を噤んでいたが、やはり人の口に戸は立てられない。

 避難民たちはいつの間にか彼女の裏切りを知っていた。

 このまま海上要塞に連れて行くべきだ、という声はほとんど無かった。

 一度裏切った奴はまた裏切る可能性が高い。

 皆、処罰を望んでいた。

 早い話が「殺せ」ということだ。


「悪いが、死刑が決まった」


「……」


 紫苑は一時の気の迷いで唇月についたわけではない。

 あいつは今も確実に、「人は減った方がいい」と考えている。謝罪するつもりも償うつもりもないだろう。

 いわゆる確信犯だ。


 最後に俺を助けてくれたのも唇月に飛びかかったのが『俺』だったからに過ぎない。

 もしあれが優姫や群青だったら、紫苑は手を貸さなかっただろう。

 あいつは徹頭徹尾、俺と自分のことしか考えていない。


 好意を寄せられていることは知っていたが、正直、ここまで歪んでいるとは思っていなかった。

 これも俺が周囲を拒んでいたが故の結果なのかも知れない。

 俺はもっとあいつの感情に向き合ってやるべきだったし、道を正してやるべきだった。

 後悔が胸の奥で燻る。


「とは言え、我々は処刑人じゃない。絞首刑のやり方は知らないし、薬を注射することもできない」


「銃殺すればいい」


 群青の言葉に曹長は首を振る。


「弾丸の無駄だ」


「たった一発でしょう」


「たった一発でも弾は弾だ。俺の私物じゃない」


 あの白い綿毛も最早無い。

 繁華街まで行けば唇月の蝋桜が残っているかも知れないが、紫苑を始末するためにそんな危険を冒すのは本末転倒だ。

 だから、と曹長は続けた。


「ここに置き去りにすることになった」


「……」


 まあそうだろうな、とは思った。


 曹長たちが臆病だとか、そういったことではない。

 直接的に手を下すのは自衛隊だが、『処刑』を決定し、提言したのは避難民だ。

 一度やった奴は必ず二度やる。

 処刑を提言した人々は、海上要塞でも同じことを提案するようになる。

 次はもっと気軽に、人を殺せと言い始める。

 だから曹長は極力、紫苑を直接手に掛けることはしたくないのだろう。


「止めるなよ、陽甲」


 曹長は神妙な顔でそう告げた。


「止めません。あいつはそれだけのことをしたんですから」


 群青、曹長の二人が弛緩した。

 おそらく俺が大暴れすると思っていたのだろう。


 確かに紫苑は俺の従妹だ。大事に思う気持ちはある。

 だがだからといって、あいつのすべてを肯定するつもりはない。

 人倫に悖る振る舞いを「血縁だから」の一言で許すほど甘くはない。


 群青がハットを被り直した。


「しかし煮え切らない対応ですね。紫苑本人が一番嫌がりそうだ」


「何とでも言ってくれ。あの子は元・味方だろう。それに――」


 曹長は疲れたように首を振る。


「人を殺すと心が荒む。俺も、皆も」











 そして、迎えの船が来た。

 舷梯タラップの備わった大きな船だ。かつては観光客を山と積み、遊覧していたのかも知れない。

 ぼっぼっぼっぼっと愛嬌のある音を上げながら、船が岸に近づく。


 メロン色の床を硬い靴が踏む。

 こつんこつんという靴音すら嬉しそうに聞こえた。


 曹長が振り向いた。


「紫苑ちゃん」


 紫苑は両手を拘束されていた。

 紫色のカーディガンは白い蝋で汚れ、髪も顔もぼろぼろだった。

 二人の自衛隊に銃を向けられた紫苑は、不良生徒のような顔で曹長を見返す。


 曹長が目配せすると、隊員が小さなナップザックを紫苑に背負わせた。

 そして両腕を縛る縄を解く。


「最低限の水と食料が入っている。それを持ってどこへなりと行きなさい」


「……」


「行きなさい」


 曹長はあくまでも厳しい態度を崩さなかった。

 今までありがとう、とか。達者でな、などという甘い言葉は掛けられない。

 それが曹長のけじめなのだろう。

 甘い言葉を掛ければ互いに離れづらくなる。

 それに、船からこちらを見ている人達もいる。甘ったれた態度で接することはできない。


「曹長!」


 包帯だらけの優姫が割って入った。

 言葉だけではなく、物理的に紫苑と曹長の間に身を滑り込ませる。


「やっぱり……ダメですか? 連れて行っちゃ……」


「ダメだ」


「でもそれは……あの子たちがやってたのと同じことです!」


「そうかも知れない。だが要塞には遺族がいる。唇月の津波で殺された人たちの遺族だ」


 曹長がじろりと優姫を睨む。


「感情論かも知れないが、やはりダメだ。許すのは尊い行為だが、謝る気の無い者を赦すわけにはいかない」


「葱先輩」


 紫苑がぼそっと呟いた。


「いいですよ。私、ここに残るから」


「紫苑ちゃん……」


「ちゃんと人を罰してください、って言ったの私ですから。ね、曹長?」


 紫苑はまるで悪びれていないようだった。


 群青が優姫の肩を抱き、タラップに導く。

 優姫はまだ言い残したことがあるかのように振り返ったが、紫苑は顔を背けた。


 曹長が船に乗った。

 そして俺を呼ぶ。


「陽甲」


 俺は返事をせず、従妹を見下ろした。

 従妹は、淀んだ目をしていた。


(……)


 俺は両手で髪をかき上げた。

 汗が散り、白い地面を濡らす。






「俺も残ります」






 瞬間、世界の時間が凍り付いた。

 コンマ数秒、波すら音を止めたように思われた。


 ざざあ、と思い出したかのように潮騒が聞こえる。


「よ、陽甲……」


 紫苑の目に涙が浮かんだ。

 彼女はそれを指で拭い、ひゅばっと犬のように駆け出す。


「私のた「いやお前のためじゃない」」


 俺は両手を開いて飛び込んできた紫苑の顔をがっと掴み、止める。

 行き止まりにぶつかったミニカーのごとく紫苑はバタバタと脚を振っている。


「? だったら何でだ。もう物資は集める必要がないし、生きてる奴もいないだろう」


 群青に問われた俺は地平線を見据えた。

 確かに物資を集める必要はない。

 だが生きている奴はいる。


「唇月と妃が残ってる」


「は?!」


 頓狂な声を上げたのは群青だけではなかった。

 曹長は顔を青白くし、優姫も眉を歪めている。


「あ、あいつらを助ける気か、お前?!」


「ああ」


「何でだ……」


 群青は信じられないといった様子で首を振った。


「あいつらの話、覚えてるだろう。アレは完全にネジが外れた奴だ」


「知ってる」


「助けたって礼を言うどころか殺しに来るぞ」


「かも知れない」


 矢継ぎ早に言葉を投げた群青は唇の傷に気付いたのか、小さく呻いた。

 代わりに、曹長が問うた。


「あの二人の能力は強力だ。味方につければ心強いという考え方は分かる」


 だが、と言葉が続く。


「助けたぐらいで改心するタマじゃないぞ、あの二人は」


「……分かってます。助け出してもあいつらは改心なんかしない」


 でも、と続ける。


「打ちのめしてやることはできる」


 そうなのだ。

 いくら道理を説いても人は改心なんてしない。

 説教に心打たれる奴はいないし、涙ながらの説得が功を奏することもない。

 そんなもので心動かされる奴は悪人になどならないし、酒やギャンブル、薬物に溺れたりしない。

 本当にろくでもない奴は殴っても殺しても改心なんてしない。

 だが、心を折ってやることはできる。


 だから、あいつらを打ちのめしに行く。

 あいつら自身が散々蔑み、侮り、見下した世界の代表として。


 海上要塞はこれから大変なことになるだろう。

 蝋の津波で死んだ人々の遺族は他の面々と同等の扱いを望まないだろうし、物資を持っている人々は接収されることを拒むだろう。

 助け合いが無償なのは最初だけで、じきに下心やいかがわしさが人々の間を行き交うようになる。

 結局、俺たちが護ったのは醜さやままならなさを道連れにした人間の社会だ。

 もしかすると護る価値など無かったのかも知れない。

 奴らはそれを透かし見て、俺たちをせせら笑った。


 それでいい。

 俺はあいつらの言う「気持ち悪い」社会の成員だ。

 その俺が、奴らを助ける。

 気持ち悪い俺が命を賭けて奴らを救う。

 奴らの命は拾い物になり、授かり物になる。

 仮に俺が助けた直後に殺されたとしても、奴らが俺に助けられたという事実は揺らがない。

 気持ち悪い奴に助けられたくせに、自分たちは気持ち悪い奴を排除する生き方を選ぶ。

 その状況に置かれて初めて、あの二人の心に、どす黒い信念に、ヒビが入る。


「……そんなことのために行くのか」


「大事なことだ」


 それに、と俺は肩をすくめる。


「そっちの方が痛快だ」


 あいつらをこのまま白魔人の核として朽ちさせてもいい。

 だがそれはあいつらの流儀だ。俺の流儀ではない。

 人を見殺しにする色男ハンサムなんているわけがない。


 俺はタラップから遠ざかった。

 腕にくっついた紫苑は嬉しそうだった。

 こいつもだいぶネジが緩んでいる。


「大丈夫。こいつにはお灸を据えます。キツ~い奴を」


「ベッドの上でね!」


 ぐっと親指を立てた紫苑の頭にチョップを振り下ろす。

 こいつも反省はしないだろう。

 だが唇月をへし折ってやれば、少しは考え直すかも知れない。

 考え直さないかも知れない。その時はさよならだ。そうならないように、手と言葉を尽くすしかない。

 たぶんそれが、自分以外の人間に無関心だった俺が果たすべき責任だ。


 報われない道になるのかもしれない。

 唇月も、妃も、紫苑も、変えることはできないのかも知れない。

 だが、誰かがその道を歩まなければならない。

 たぶん、その誰かが、俺だ。


「……」


 曹長は少し迷っているようだった。

 俺を残すということが俺を死なせることだと思っているらしい。


「曹長」


 俺は手を振る。


「大丈夫です。また会えます」


「……そうか」


 曹長は敬礼などしなかった。

 死地に残ることは尊敬に値する行為ではないからだ。

 だが無事に戻ることができたら、きっと敬礼で迎えてくれるのだろう。


 タラップが畳まれ、船が離れていく。


 群青は困ったように笑っていた。

 色々と言いたいことはあるのだろう。

 だがそれを語り尽くす必要は無い。男と男の間に多くの言葉は要らない。


「!」


 タラップの傍に立つ優姫が泣きそうな顔をしているのが見えた。

 もしかすると残りたいのかも知れない。

 だが残られるわけには行かない。

 ああいう人がいないと、海上要塞の人達はダメになる。

 こっちは二人で十分――


 優姫が海に落ちた。






「何やってるんですか……」


 海から引き上げられた優姫は申し訳なさそうに笑っていた。

 凹凸のくっきりした肢体からボタボタと海水が流れ落ちる。


「いやぁ、感極まってたら、つい……」


 ざぶんとプールから揚がるようにして優姫が陸地に這い上がる。

 船の方を見ると、白い浮き輪を抱えた群青と曹長が船尾で手を振っていた。

 優姫はぶんぶんと子供のように手を振る。


 付いて来て良かったんですか、と問いそうになった。

 問うまでもないことだった。この人はたぶんこういう人なのだろう。


「で、これからどうするの。もう夜になっちゃいそうだけど」


 紫苑が不貞腐れたように呟く。

 優姫が来たことが気に入らないのだろう。


「とりあえず拠点作ろうか。そこを中心に動こう」


「あ、優姫さんも一緒に来るつもりだったんですか。ソウデスカ」


「え、えぇ~? この流れで別行動取るつもりだったの紫苑ちゃん。……」


 小さな風が吹き、無音が訪れた。

 音を発するものがいない世界だ。俺たちの会話がふと途切れただけで世界は静寂に包まれる。


「静かだな」


「だね」


 手で庇を作り、真っ白な世界を見渡す。

 動くものはいない。


「三人だけだと寂しいね」


「……私は別に二人でも三人でもいいけど」


 そうなのかも知れない。

 二人か三人の方が色々と円滑に生きていけるのかも知れない。

 だがそれは虫の世界だ。人の世界じゃない。

 それにこの土地は人間をあと少し住まわせてもまだ十分に余っている。


「早く仲間を増やさないとな」


 その最初のメンバーがあの二人というのは少々重たいが、仕方ない。

 色男ハンサムの人生は苦難に満ちているものだ。



 俺は両手で髪を梳いた。

 鏡が無いのは残念だが、たぶん、それなりの色男ハンサムに見えているはずだ。

 見えていないのなら、また目指せばいい。

 独りよがりではない、本物の色男ハンサムに。



 斜陽に照らされた、燃えるような世界に一歩を踏み出す。

 瓦礫に積もった蝋が、雪解けのようにばさりと落ちる音がした。





 <了>


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