アオイソラのカナタ
「好きです!
付き合って下さい……。」
シンとした空気の中、僕は叫んだ
クラスのみんなの視線が集まる
なぜなら今は授業中にも関わらず
僕は席から遠く離れた
このクラスの高嶺の花と称される
1人の女子に告白したのだから
その子の名前は 内田有紀さん
内田さんは チラと僕の方に振り向いて
一言
「時と場所を選んで」
僕は すぐさま自分がした事を理解し
「す、すみません!」
そのあと僕は机に突っ伏し午前中の授業を寝て過ごした。
キーンコーンカーンコーン
お昼のチャイムだ。
僕が人生で 幸せを感じるのは
ゲームをしている時とご飯を食べる時と寝る時
なのに今日は幸せな気持ちになれない
なぜなら言わなくてもわかるだろう……。
「まぁまぁ よく言ったじゃんユータのくせに」
そう言いながら背中をポンポンと叩くのは
小学校からの幼馴染みであり親友の篤
「でも、あの子の言い分もわかるよ
だって授業開始早々いきなり告白されんだからさ」
「わかってるよ
どうしても振られるのがわかってたから
言いたくなって言っちゃったんだよ。」
泣きそうになり学食のテーブルに突っ伏す
「よしよし
まだふられてないんだから
今日の放課後もっかいいってみよーよ ね?」
そう優しく僕に語りかけてくれるのは
こちらも小学校からの幼馴染みであり親友の健
「そうだけど……」(僕)
「良いから当たってこいよ。もっかい な?」(篤)
「わかったよ」(僕)
本日最後の授業が終わると僕はすぐさま内田有紀さんの席に向かった
「あの内田さん」
「なんですか?」
「今日の4時に教室にいてもらえる?」
「構いませんよ」
「本当!? ありがとう!
それじゃ 放課後」
「はい」
気付けば放課後
続々と下校していく中
僕と内田さんは席に座ったままである
篤と健には先に帰ってもらった
頭の中で告白の言葉を選んでいると
先生に声を掛けられた
「優太くん教室の鍵 よろしくね」
「あ、はい!」
急に声を掛けられたので声が裏返ってしまった。
内田さんの方をみると聞こえなかったのか気にしていないようだ
よし、と心の中で覚悟を決めて
内田さんの席に近づく
「あ、あの…内田さん。」
我ながら情けない
もっと度胸がほしいなと心でおもう
「なんでしょう」
「今日…授業中にあんなことをみんなの前で
言ってしまい……すみませんでした」
僕は深々と頭を下げる
「いえ 気にしていませんから」
「そっか…よかった。
あ、それで内田さんに話したいことがもう一つあるんだ。
その……僕と付き合って下さい。」
長い沈黙が続く
苦しい
でも ここで振られても仕方ない
僕はかっこよくも無ければ
頭もいいわけではない
ただこの思いを伝えたかっただけだ
どんな結果になろうと後悔はない
「よろしくお願いします」
ですよね。ん?え?
「いま、なんて……。」
顔を上げて内田さんを見ると
内田さんの瞳が僕のことを真っ直ぐ見つめて
「よろしくお願いします」
「こちらこそ……よろしくお願いします」
僕は戸惑いを隠せなかった。
その日僕がどう帰ったのかよく覚えてない