プロローグ
ここは、私立蓮鳴学園。
僕、桐崎優人はこの学校で平凡な日々を送るはずだった。
でも駄目だった。やっぱり駄目だった。
「ゆーとくん!一緒にお弁当食べましょう♪」
「別に優人と食べたいわけではないのだからな!勘違いするなよ!!」
「優人君!!ボクでよかったら一緒にお弁当食べない?」
「え?なになに?皆でお弁当パーティするの?入れて入れて!!」
どうして、僕の周りは「女の子だらけなんだ・・・。」
【人の心】それは見えるものではない。
だが、僕には見える。
なぜ見えるのか。そんなの僕が知りたい。
だが、これが見えるようになったのは中2の夏。そのとき初めて付き合っていた彼女への誕生日プレゼントをえらんでいるときだった。
急に視界が真っ暗になり、誰かの声が聞こえてきた。
「今、あなたは楽しい?」
僕は戸惑ったが、悪い人ではなさそうなので返事をした。
「はい。楽しいです。」
「そう。じゃあ、もしその楽しい日々が崩れ去ってしまったらどうする?」
「悲しいです。」
「そうだよね。じゃあ今こっちで悲しんでいる人がいたらどうする?」
僕は少し悩んだがこう答えた。
「・・・助けたいです。」
「君ならそう言ってくれると思ったよ。じゃあ、頑張ってね。応援してるから。」
そう言って、優しい声の人は正体を明かす事無く去っていった。
それ以降、僕は人の心が具現化、つまり形になって見えるようになった。