お気に入りのお店
久しぶりの新作です。
目指せ! スランプ脱出‼
はい......勢い書いてしまいました(汗)
カラン、コロン。
レトロで懐かしい音のするドアを開け、店内に入った。
ここは『maria』という駅前にある、こじんまりとした喫茶店。
私にとって、小さい頃からの楽しい思い出がたくさん詰まっているお気に入りのお店である。
ここには、いつも明るく迎えてくれる優しい沙月さんがいる。
「こんにちは〜沙月さん」
「いらっしゃいな。舞花ちゃん」
沙月さんは、私のお母さんと仲良しなんだ。
小さい頃から、遊んでもらったりしてるの。
「おっ! 今日も来てくれたのかい? 舞花ちゃんは」
そして、沙月さんの隣で料理をしている旦那さんであり、ここのお店のマスターの貴之さん。
お似合いの二人だ。
私もいつか、この二人のように幸せになりたい。この二人の笑顔は、心地よくて何度も来たくなるんだもん。
「貴之さん。こんにちは〜」
「よく来たね〜。いつもの席でいいかい?」
「はい。ありがとうございます!」
私も笑顔で返事を返した。
このお店には、ほぼ毎日来たいけれど、学生である私にはそんなお金はない。
それでも週4は来てるかな?
バイトしたお金の使う所は、主に『maria』
今はちょうど、ランチタイムの時間。
このお店も混んでくる時間。
それでも、まだ空席はちらほらと残ってる。
本来だったら、美味しいご飯を食べて楽しいはずの昼食なのに、なのに!
ただし、あいつさえ来なければだが......。
カラン、コロン。
「あらっ、いらっしゃい」
「こんにちは、沙月さん」
げっ! この声は......あいつだ。
うわっ‼ なんで、今日も来るんだよ。私のいる時間に。
「いつもので」
「はーい♪」
沙月さんが、私のいる席に視線が向けられているが気にしない、気にしない。
私は、知らないぞ......大好きなナポリタンを食べるんだ‼
私は、黙々とフォークをすすませてた。
貴之さんは、そんな私に苦笑しつつ、ミルクティーを出してくれたけど、ククッと笑っていた。
笑うなよぉーー‼
「ありがとうございます」
「いや、大変だね〜。舞花ちゃんは」
「はい......」
曖昧に返事をした。
「あっ! こっちに夏樹くんが来たから、俺は退散するとしようか」
「待って下さいよー貴之さん!」
ストッーープ‼
あぁあーー! 行くなーー! 待ってくれ貴之さん!
私をこいつと二人にしないでー!
目には少しだけ涙を浮かべて、心の中で叫んでいた。
貴之さんは、私の声を無視して、そそくさと去って行ってしまった。
カタン。
うっ......来た。
私の前の席に当然のごとく座り、ランチセットを待っているのは相馬夏樹。
私の男友達にして、クラスメイト。
「こんにちは、舞花ちゃん」
と屈託のない笑みを向けてきた。
沙月さんがこいつにコーヒーを差しだす。
「夏くん、どうぞ」
「ありがとうございます」
「二人ともごゆっくり〜」
沙月さん! 目で訴えたがダメだ。
ニコニコして沙月さんは、『頑張って』と口パクで言っていた。
その言葉を読み取った私は、がっくりと肩を落とした。
ひどっ!
読んで下さり、ありがとうございますm(_ _)m