表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/18

かくごを決めて

 とうとう来ちゃった。朝が来ちゃったよ。もっとどきどきして寝れんとかあるかと思ったけど余裕だったわ。10時に寝て6時半に起きると言う規則正しさ。普段の自分に見習わせたい。せっかく早く起きただもんで、と思って普段は何もしとらん髪の毛(ちなみにボブ)を少しいじることにした。あんまり凝った髪型にするのも気合入れすぎみたいで恥ずかしいもんで、一束だけ三つ編みにしてオレンジのヘアゴムで縛った。この髪型に落ち着くまでもだもだもだもだしてたらいつもより時間ぎりぎりになって、息を切らして教室に入る羽目になったけども。早く目が覚めたときの方が遅刻しそうになるってあるよね!!


「おはよー」


 未だ整わない息を深呼吸でどうにかしようとしとる私に槙哉くんが声をかける。


「なになにー、ぎりぎりじゃん。寝坊でもした?」

「槙哉くん、おはよー!んーいつもより早く起きたんだけどね、準備に時間かかっちゃって」

「さすがだなーオトちゃん」

「あっばかにしとるねその顔は」


 説明すると笑顔になった槙哉くんの背中を軽く叩く。なんか、冴子もたまにこういう顔するなぁ。冴子のはもっと意地悪な成分が入っとるけどね。優しい眼差しというかなんというか、年下を見るようなそんな感じの雰囲気を感じる。うまく説明できんけども。


「しとらんってー。三つ編み似あっとるにー」

「へへー、ありがとー」


 すぐに気づいてくれる当たりさすが槙哉くんだなぁ。モテるはずだわ。似あっとるって言われたのは素直に嬉しかったもんで、お礼を言って席に着く。すぐにチャイムが鳴って前を向いた私は、そんな私と槙哉くんの様子を津田くんがじっと見とったことに全く気付いとらんかった。




 昼放課、すっかり慣れた四人組でご飯を食べる。いつも通りのはずなのに、私ひとりだけ妙に緊張しとる。だって、だって放課後告白するって決めた人が目の前におるだに?緊張せん方が無理だわ!そんなことを考えながら津田くんの方を見ると、無表情におかずを口に運んどる。特に緊張した感じとかはなくて、もしかして告白するって気づかれとらん?とか思っとったら不意に津田くんが顔をあげて、目が合った。思わずぱっと顔を反らして冴子に話しかける。


「ねーねー冴子さー…」


 この時も、津田くんが私の方を見とったなんて、全然気づかんかった。






 とうとう放課後。来ちゃったよ。うう、来ちゃったよ(二回目)授業が終わって、みんなが帰り支度をしとる中、急いで教室を出た私は約束通りいつもお弁当を食べとる椅子に座って津田くんを待っとる。冴子からはSIGNで「結果、報告に来りんよ」とメッセージがあった。これはつまり待っててくれるってことだね!優しい!「ありがとう大好き!!」って送ったら「きもい」って返ってきたけどね。優しいんだよ、うん。

 他のことを考えることで緊張を紛らわそうとしとったら、足音が聞こえた。振り向くとやっぱり津田くんで、さっきまでもドキドキしまくっとったはずの心臓が更に速くなるのがわかる。


「こんなに速く動けたの私の心臓…」

「…どうかしたのか?」

「え?あ、ううん、なんでもない!」


 胸を抑える私に、少し心配そうな声色で尋ねる津田くん。心配ないと手を振ると、そうかと頷いた。ああ優しい。


「あのね、昨日もSIGNで言っただけど、津田くんに話があってね」

「…うん」


 俯きそうになるのをこらえて津田くんの感情の読めない瞳を見つめる。ちゃんと伝えたい、自分の気持ちを伝えたい。初めての告白だからじゃないに。津田くんのことが好きだもんで。津田くんに私の気持ちを、どれだけ好きなのかを分かってもらいたいもんで、頑張る。


「私ね…もうとっくに気づいとるかもしれんけど、津田くんのことが、好き、です…」


 頑張るって言ったけど、でもやっぱドキドキがすごくて、尻つぼみになる言葉とともに視線も下がる。津田くんのお腹あたりを見ながら、言葉を待つ。ちょっと間があって、津田くんが口を開いた。


「……全然気づいとらんかった。…ありがとう」


 その声に少しの困惑のようなものを感じて、本当に気づいとらんかったんだと驚く。私結構わかりやすい自信あったのに。津田くんって鈍いのかや。ていうか、私の「とっくに気づいとるかもしれんけど」にちゃんと答えてくれるあたり、律儀だなぁ。いや違う、そんなこと考えとる場合じゃないわ。これで終わっちゃったら意味ないじゃん。


「それで、よかったら、私と付き合って欲しいです…!」


 今度こそ最後まで目を逸らさんかった。でも、それは良くなかったかもしれん。津田くんの瞳が明らかに揺れて、気まずげに逸らされるのを見てしまった。いつも、表情を崩さず、でも真剣に相手の目を見て話す津田くんに目を逸らさせてしまったことと、気まずげな表情。そのふたつで、答えはもう十分だった。



「ごめん…古島さんとは、付き合えん」


 

ほんっとうに久しぶりの更新です…あれ、もうすぐ一年経つんじゃないか…?

前回の投稿の日をみてぞっとしました。時間が経つのってはやいですね…

もうむしろ今さら更新するのかって感じですけど、初めての恋愛ものなので、どうにか完結はさせたいのです。これからはもう少し高い頻度で進めていけると思います。たぶん。


あと、久しぶりすぎて今まで投稿した話をざっと見返していたのですが、とんでもないミスに気づきまして…。主人公の名前が古島こじま音芽おとめというのですが、なんと最初以外「古島」が「弧島」になってたんです。もうどんなミスだよっていうか、なんで今まで気づかなかったんだよっていう…。自分でもびっくりしました。(一応全部訂正したつもりです)


えーと、そんなこんなでほぼ一年ごしの投稿になってしまったわけですが、こんなところまで読んでくださって本当にありがとうございます!もし、よろしければ、最後までお付き合いお願いします…!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ