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がんばろう私。

 あれから、意外にもジェットコースターが気に入ったらしい津田くんの申し出で2、3度別の種類に乗り、ちょうどいい時間なのでお昼ご飯を食べることになった。



「いやー楽しいけどたくさん乗るとさすがに疲れるねー」

「ほんとだねー」


 各自お昼ご飯を注文して席に着く。槙哉くんと津田くんはそれぞれハンバーガーとポテトのセット。冴子と私は単品で買ってナゲットを半分こすることにした。食べながら午後はどうするか話し合う。


「お土産は最後に買うとして…ジェットコースターはいっぱい乗ったもんでとりあえず別のやつかなぁ」

「そうだねー、冴子ちゃんとユキは何かないー?」

「特にはないな」


 興味がないというよりは純粋になんでもいいという態度の津田くん。それはつまり「(何に乗っても楽しいもんで特別乗りたいものは)特にないな」ってことでいいんだよね。だよね?完全に私の願望だけども。いやでもなんか学校で見るときより絶対楽しそうだし当たっとる気がする…。そんな念を込めてじっと津田くんの方を見とったら目が合ってしまった。目をそらすのも不自然かと思ってぎこちなく笑ってみる。と、津田くんに目をそらされた。それはもう分かりやすくふいっと。ええー…地味に傷つくんですけど…。


「冴子ちゃんはー?」


 槙哉くんのセリフで本題を思い出す。


「あ、そうだったごめん。なんかある?」


 ふたりで尋ねると、何やら難しい顔をしている冴子。眉間に軽く皺が寄っとる。そんなに真剣に悩む話だったかやぁ。待っていると、ゆっくりと開かれた唇から普段より少し張りのない声が漏れだした。


「………き…」

「き?」

「……きもちわるい…」


 そう言ったかと思うとパタンと顔を机に伏せてしまった。


「えっ冴子、ちょ、具合悪かったの?」

「まじで!?全然気付かんかっただけど、冴子ちゃん大丈夫ー?」


 全然気づいとらんかった…。冴子が少し酔いやすいことは知っとったのに、つい楽しんじゃった。自分の体調とか周りに心配されたがらんことも知っとったのに…。


「冴子ごめん…」

「言っとくけどオトは悪くないでね。気持ち悪くなったのご飯食べた後だし」

「でもさぁ…」

「大丈夫だって、ちょっと休んどればすぐ良くなるで」


 謝る私に苦笑して答える冴子。見るからに落ち込んどる私を慰めるためか頭を持ち上げて手を振ってみせた。あまり納得はいってないが冴子がここで引くとは思えないので、それなら午後の予定を変える必要がある。言いかけたところで遮られたけど。


「うーん…じゃあとりあえず午後はちょっと休憩してから…」

「オトたちは回ってこりん」

「え?」


 えっ?どういうことなの。冴子以外の顔も見たけどふたりとも驚いとる。


「いやいやいや、なんで?待っとるよ」

「そうだにー。遠慮せんでよー」

「ゆっくり休んだ方がいい」

「遠慮とかしとらんって」


 口々に止めるけど冴子の態度は変わらん。でも顔色がよくないことは確かだし、このまま置いてくなんてことが出来るはずもないことは、誰より冴子が分かっとるはずだ。槙哉くんだって本当に心配そうな顔しとるし、津田くんも分かりにくいけど表情が不安げだ。てか何より誰より私が不安で心配だから!!こんな状態で置いてくとか無理だから!!


「本当いいから。オトと津田で回ってこりん」

「無理だってばぁ…」


 ぐりぐりと頭を撫でられるがけど、そんなことできるわけ…ん?


「冴子、ふたりってそれおかしくない?」

「おかしくないわよ。槙哉くんは残ってくれるらしいから」

「「え」」


 重なる私と槙哉くんの声。不自然なくらいにっこり笑って槙哉くんの腕を掴んでいる冴子。冴子の方から(攻撃以外で)槙哉くんに触るのも、”槙哉くん”と呼ぶのも普段ならありえないことだ。私もちろん槙哉くんもびっくりしとる。津田くんも声こそあげてないけど目がちょっと大きくなっとる。だけどいち早く事態を飲み込んだらしい槙哉くんが口を開いた。腕の上に置かれた冴子の手に自分の手を重ねながら。


「そうだねー。冴子ちゃんのことは俺に任せて行ってこりーん。せっかく来たんだしさ」

「だからってそんなっ…」


 私がまた食い下がろうとしたら、冴子に耳元で囁かれる。


「ふたりっきりにしてあげるって言っとるの」

「え…もしかして冴子…」

「ゆっくり話しんよ」


 口の端をあげてにやっとした後、すぐに元気のない表情に戻る。わ、わざとかー!!今までも全部嘘なの!?とんだ演技派じゃんか!いや演技派なのは知っとったけど、てか何うちと津田くんをふたりっきりにするためだけにここまでやっちゃうの!?すごすぎないですか冴子さん!

 騙されとったことに怒るとかそんなのすっ飛ばして感心してしまった。そんで冴子の体調不良が私のためについた嘘だと分かったからにはぐだぐだ言ってられんくなった。さっきから黙って成り行きを見守っとる津田くんに声をかける。


「じゃ、じゃあ、お言葉に甘えて回ろっか」


 ふおお意識しすぎてどもってしまった。津田くん変に思ったかもしれん。


「二葉さんはいいのか…?」


 幸い私の態度は怪しまれんかったけど、いきなり冴子を置いてくと言い出したことは不思議に思ったらしい。当たり前だよね。しかし!ここは多少無理にでも連れださねば冴子の努力が無駄になってしまうのだ。がんばれ私。


「あのね、冴子自分のせいでみんなが楽しめんのとか嫌がるもんで、私たちが残ると逆に気つかっちゃうとおもうじゃんね」

「……なるほど」


 軽く腰を浮かせて、自分より少し上にある頭に近づいて小声でもっともらしいことを言ってみると、少しの間の後頷いてくれた。そしてそのまま鞄を持って席を立つ。


「そういうことなら回ってくる。弧島さん行こう」

「あ、うん!じゃあ冴子、元気になったら連絡してね。槙哉くん冴子よろしくね!」

「はいはい」

「任せて任せてー。いってらっしゃーい」


 私も慌てて席を立ちながらふたりに手を振って荷物を持った。津田くんも軽く手を振りながら私を待ってくれている。勝手に照れくさい気持ちになりながらもふたりで歩き出した。

多分今までに無く更新が遅かったような…。

あれです、あの、受験がやっと終わりました(免罪符)

あと、ずっと無くしたと思っていたキャラ設定の紙が発見されて嬉しいです←

冴子が二葉っていう名字であることがここにきて初めて明かされて、私もびっくりです。なぜ今まで出なかったのかと…

遊園地編は次でおわるかと思います。本当は今回終わるかと思っていたんですが笑


ではでは、読んでくださってありがとうございました!!これからも自分なりに頑張って行こうと思うので、お暇な時間などに読んでやってくださいm(_ _)m

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