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なにかが変わる?

 なんだかんだ恋心を自覚できただけで、とくに進展もなく終わった週末。自分の気持ちも分かってすっきり晴れやかな気持ちで登校しています。悩みがなくなるっていいやぁ。

 教室に入って思わず視線を向けた津田くんの席には鞄だけがあって本人の姿はない。いつものように朝練かやと思って特に深く考えずに自分の席に向うと、私の席の近くで喋っとった槙哉くんと津田くんが順に挨拶してくれる。


「おはよー」

「…おはよう」

「おはようー」


 リュックを机の横に掛け、首筋に少し浮いた汗をタオルで拭う。と、そこで違和感。


「えぇ!?なんで津田くん!?」

「オトちゃんおっせー!」


 普段なら朝練に行っとるはずの津田くんがおることにびっくりして思いっきり振り返ってしまった。ひーお腹痛いとか言って笑っとる槙哉くんは置いといて、まじまじと津田くんを見つめる。本物だよね?


「え、あ、あれ、津田くん朝練は?」

「顧問が用事あるらしくて来れんもんでなしになった」

「あ…なるほど、です」


 正直まだちょっと状況を理解しきれとらん。そもそもなんで槙哉くんと津田くんがここで喋っとるのか。二人とも席反対側なのに。ちなみに、津田くんの席は一番廊下側の後ろから二番目で、槙哉くんはその斜め後ろ。反対に私は一番窓際の一番前の席。嬉しいことに冴子は私の後ろ。そんな二人がなんでわざわざ私の席の近くで話しとったのか気になって、まだちょっと笑っとる槙哉くんの肩を叩く。


「おーい聞いとる?槙哉くんーなんか用事?」

「あーそうそうちょっとオトちゃんに話があってさー」


 いやーそれにしても笑ったわー、とくすくす笑う槙哉くんは絶対笑い上戸だと思う。さっきから黙っとる津田くんの方を何気なく見るとすごい鋭い目をしとった。えっ睨んどる?睨んどるよね?理由が分からんくてどうしたらいいのか分からんくて、焦る。どうしようどうしよう、私のせい?なんかしちゃったっけ。いやでもまだ会ってからおはようしか言っとらんし。むしろおはようだけで機嫌損ねるとかそれはそれで才能かもしれん。いやでもそんな嫌われスキルいらんしなぁ。


「おーいオトちゃーん」


 槙哉くんに顔の前で携帯を振られてくだらん思考が途切れた。


「あっごめん、なんだった?」

「いいよー。突然なんだけどさー、今度の日曜日ひま?」


 なんだか楽しそうな顔の槙哉くんを見てわくわくしながら尋ねる。


「暇だよー!なになに、何かあるの?」

「ふふーん。まあま、詳しくはユキからー」

「は、なんで俺なん…」

「ゆーきー?」

「……分かった」


 驚いて目を見開いたあと、諦めたようにため息を吐いた津田くんにおろおろする。


「津田くん…?」


 大丈夫かやーって思って恐る恐る聞いたら、何かを決心したようにきりっとした顔をして口を開く。


「あのさ…遊園地の券貰っただけど、みんなで行かん?」

「え…」

「え、行きたくなか…」

「めっちゃ行きたい!」


 遊園地とか!遊園地とか!なにそれテンションあがる。びっくりしすぎて一瞬固まっちゃったわ。昔から遊園地が大好きだったけど、お父さんの仕事が結構忙しいもんでなのかあんまり連れてってもらったことがない。そのせいか今でも遊園地って聞くだけで胸が踊る。


「オト、朝からうるさい」


 いつの間にか登校してきとった冴子に頭をはたかれてやっと自分が大きな声を出しとったことに気づいた。津田くんを見れば、相当びっくりしたのか少し口を開けたまま固まっとる。槙哉くんはオトちゃんさいこーとか言ってまた笑っとるけど。いくら朝早くて人が少ないとは言えこれは恥ずかしい。ちょっと離れた席におる子にもオト元気すぎ、と笑われた。


「どはずい…」

「自業自得だら」

「うー…返す言葉もございません。津田くんもごめんね、びっくりしたらー」


 なんか言いかけとったのも遮っちゃったし。と恥ずかしさで顔を両手で覆いながら謝ったけど、津田くんはぎこちなく頷くだけだった。あー引かれたかやぁ…高校生にもなって遊園地くらいで喜びすぎ?うざい?好きだと自覚したからか、前にも増して津田くんにどう思われとるのか気になる。


「あー…ユキはびっくりしとるだけだで気せんでいいにー」

「そうよ、こんな奴ほっときん」


 そんな私の不安を素早く察知した槙哉くんと冴子がフォローしてくれる。うん、と頷けば頭を撫でてくれる冴子。優しすぎて逆に怖い、嬉しいけど。今日は機嫌いいのかや。ていうか冴子、津田くんの扱い雑になっとらん?


「まあそういうわけでさー、四人で行こーよ遊園地」

「…もしかしなくても私も数に入っとる?」

「当たり前じゃーん。日曜日、空いとるら?」

「空いとる空いとる。スッカスカ」

「なんでオトが答えとるの」

「えへ」


 笑ってごまかす作戦は逆効果だったようで、撫でてくれとったそのままの手で頭を思いっきり掴まれた。


「いたっ痛い、いだだだだ冴子さん痛いっす」

「え?もっとやって欲しい?」


 うわぁ悪魔の微笑み。


「ごめんって!でも一緒に行きたいだもん!」

「子供か」

「まあまあ、オトちゃんもこう言っとるし。冴子ちゃんも行こ行こー」

「…ちっ」

「舌打ち!?」


 槙哉くんが冴子の顔を覗き込むと舌打ちと同時に頭を掴む力が緩んだ。


「……無料タダなんでしょうね」

「あ、ああ」

「やったー!」

「いえーい」


 津田くんの言葉に頷いた冴子を見て槙哉くんとハイタッチ。ここで素直に行くと言わない所が冴子らしい。さすがツンデレとか言ったら最強のツンに襲われそうだもんで言わんけどやっぱりツンデレ!さすが!


「じゃあ時間とかは後で決めよー。あとでグループ作っとくね、SINGで」

「はーい、誘ってくれてありがとね」

「いやいやー、オトちゃんくらい喜んでくれると誘ったかいがあるよー。なぁ、ユキ」

「…そうだな」


 そう言って槙哉くんの言葉に頷いとる顔は、あんまり楽しそうに見えんくて。はしゃぎすぎてうざかったかや、とか津田くん本当はそんなに乗り気じゃないのかもしれんとか考えとったせいか、気づいたらじゃあって言って席に戻ろうとする津田くんの制服の袖を引っ張っとった。


「ーっ!……どうした?」

「いや、あの、津田くんホントは遊園地行きたくなかったりするのかなーなんて、思いまして」

「……」


 短く息を飲んだ後、少し詰まったような緊張しとるような声で聞いてくれた津田くんを見て掴んどった手を離すと、津田くんは飲んだ息を吐き出す様に小さく息をついた。


「行きたくなかったら誘ってない。……いや、楽しみにしとる」



 ふっとほどける様な笑顔に、今度は私が息を飲む番だった。




多分オトはこの後で「津田くんもっと笑ったほうがいいのになぁ」とか「でもそれだと今以上にモテちゃってこまるなぁ」とかもだもだするんだと思います


今回は珍しくいっぱい見直したり細かく修正したりしました

推敲ってこいことかなぁとか調子乗った自己満足に浸りました笑

次は四人で遊園地編になると思います!

遊園地行きたいです。私が。


ではでは、読んでくださってありがとうございました!

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