何かが足りん!
この小説は方言(三河弁)で書かれています
意味が分からないところなどありましたら気軽にご質問ください
呼び出された通り校舎裏で一人の女子生徒が待っていると、ざっざっと砂利を踏む音がした。彼女が振り返ると、緊張で強張った顔をした男子生徒は立ち止まり、ゆっくりと口を開く。
「俺、お前のこと好きなんだ」
「ねぇねぇ、冴子ってさぁ」
15分程前からファッション誌に没頭している友人に声をかけると
「んー…?」
と気のない返事が返ってきた。
「好きな人おる?」
「おらんけど…いきなりなに?」
不意にこちらに向けられた視線に思わず目を伏せる。
「いや……うん、ね」
モジモジと指を動かしていたらキモいと言われた。
「だから、その……さっき、告られたじゃんね…」
「まじか」
パタンと雑誌を閉じて身を乗り出してくる。
「うん…」
「で、なんでそんな浮かない顔してんの?告白されるの夢だっただら?」
高校生になっても恥ずかしげもなく語っていた夢を指摘されて、今までの自分が急に恥ずかしくなる。
「うう……確かにそうだけどさぁ…何か違ったんだって!何がとは言えんけど…分かるら!?」
「全く分からん」
「うわーん冴子の薄情者ー‼」
泣き真似をして机に突っ伏すと、コトッと軽い音がした。目だけ上げて見てみると目の前に起き上がり小法師が置かれていた。
「これからはこの子が話聞いてくれるら」
「ごめんなさい冴子様、嘘です冗談です戯言です」
「はいはい、分かったって。何があったか話してみりん」
呆れ顔で、でもいつも話を聞いてくれる冴子。あなたが神か。
「そこはありがとうでしょうが」
「心を読まれた!エスパーか!?」
「話さんならアタシ帰るに?」
「ごめんなさい話します」
土下座する勢いで謝った。いやしないけど。
【方言のだいたいの意味】
「~だら?」→「~でしょ?」
「~してみりん」→「~してみなさい」
「~するに」→「~するよ」
読んで頂いてありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
自分の地方の方言で何か書きたいなーと思って書き始めたのがこの話です
まだどうなるか全然分かりませんが、頑張りたいと思います