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5章~¨魔力(エーテル)¨前編~
「スケアクロウ、後ろ!」
激痛に顔をしかめながら俺は叫んだ。近づいてきた白い魔精が大きな棍棒を持ち上げ、振り下ろしてきたからだ。
『―――』
スケアクロウが何か呟いた。その瞬間、白い魔精はピタリと動きを止めた。さながら、大理石でできた石像の様に。
『順序が変わってしまったけど。お兄さんに渡したいものがあるんだ』
ピクリとも動かない魔精を見向きもせずに俺に話しかける。
『―――――』
またスケアクロウは何か呟く。先ほどと同じく何と言っているかは判らない。地獄語とかあるんか?
次第に俺とスケアクロウの間に小さなブラックホールみたいな黒い渦が現れた。驚く俺を尻目に何かを呟く声を強くする。
段々と小さなブラックホールの中から眩い光が溢れてくる。次の瞬間、黒い渦は光輝く球体に変わった。
『―これは¨魔力¨。君の身体にこれを埋め込むことで、君は魔精を殺す力を手にする』