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9章~目覚め‐前編‐~
―どこだ、此処は?
いつの間にか寝ていたのだろうか。上半身を起こして目を擦る、と。
「…なんだ、コレは」
目の前に馬鹿でかい扉が浮いていた。大きさとしては縦に8メートル、横に4メートルくらいか?
しかも、扉しかない。どこかの秘密道具よろしく、開けた先はどこにでもつながっているのだろうか。
それに、此処はどこだ?
俺はいつも通りアイツらとくだらない雑談をして、いつも通りアイツと家に帰ろうとして―
「―トラックに轢かれた?」
俺は、死んだのか?
なら此処は、死後の世界?
大量の疑問符が頭の中で浮かんでは積もってゆく。
「いや、考えるだけ無意味だな。とりあえずは誰かを探さなければ…」
と言っても、目の前に大きな扉があるだけ、辺りは白、白、白。地平線の向こう側まで白で埋まっている。まぁ地平線すら見えないんだが。
「開けれる、か?」
何もせず立ち止まっているよりは行動した方がいいと考えた俺は、恐る恐る扉を押そうとした。 扉に触れた瞬間、重い音を響かせ、それは開いた。
その先にいたヤツは。