第3話:過去の過ち
「今日は、ユキの命日だよ。」
ケイは悲しそうな声で呟いた。そして、ケイは戸惑っているであろう菜穂に気を使いつつあるお願いをした。
「なーこ。なーこになら僕の過去を全て話せる気がするんだ…。話しても良いかな?」
「うん…。」
菜穂は電話の向こうにいる、悲しい表情のケイを想像しながらうなずいた。
「ありがとう。」
「ユキが、僕の彼女が事故で死んだって話は前にしたよね?僕はね、大切なユキを死に追いやったんだ。」
「どぉいうこと?」
「うん。本当は事故じゃなかった。僕が…僕がユキを殺したんだ!」
「えっ!!!」
*10年前*
「圭太…。私もぉあの家にいたくないの。」
「そっか。ユキはどぉしたい?」
「私は圭太と一緒にいたい!ただそれだけ。」
その時、まだガキだった僕はユキの気持ちを止めることが出来なかった…。
「分かった!僕と一緒に町を出よう!二人で幸せに暮らそう!」
僕とユキは次の日の夜街を出るために僕のバイクで走り出した。外は雪が降っていて、視界が悪かった。もし、街を出る日を一日でも伸ばしていたらこんなことにはなっていなかったかもしれない。でも、その時あの事故は起きたんだ…。
目の前に眩い光が差し込んできた。その光が車のライトだと気付いた僕は、慌ててハンドルを切ったんだ。本当は反対車線の車のライトが雪に反射して映っただけなのに。
キキイッ〜〜!!ドン!
「ユキ!!!!!!!!」
なぜ、僕はハンドルを切ったのか…。今になってもこの過ちが僕を責め立てる。
「一瞬の出来事だったんだ。僕は怖くなった。バイクの後ろに乗っていたはずのユキが、一瞬にして消えた。」
「消えた?」
「そう。ハンドルを切った瞬間スリップした僕のバイクから、ユキは投げ出されたんだよ。そして、あの光の中に包まれた。」
「車に…。でも、それならやっぱり事故だよ!ケイは悪くない!」
「ありがと。けどね、僕があの時ハンドルを切らなければユキは死なずにすんだんだ。いや、二人で街を出ようなんて言わなければユキは…。」
「ケイ…。」
「ごめんね、なーこ。君にこんな話をして…。どぉしても話したかったんだ。ずっと僕だけの胸に留めていたのにな。」
「ケイ。きっと、ユキさんはケイのこと恨んでないよ?ユキさんはケイのこと心配してると思う。もしかしたら、ユキさが私とケイを出逢わせてくれたのかもしれない!」
「うん。きっとそうだね。ユキが僕達を出逢わせてくれたんだ。だから、なーこのことは僕が守る!ユキを守りきれなかった分まで僕が!」
「ありがと!私もケイの心が軽くなるようにそばにいるから!」