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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

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家族で焼肉

作者: 虫松
掲載日:2026/04/20

私は家族で焼肉をするのが好きだ。

家族で一つになれるから。


ジュー。


肉が焼ける音。

油が弾ける。

甘い匂い。焦げた匂い。鉄の匂い。


「父ちゃん、もう食べていい!?」


「だめだ、まだ赤い。ちゃんと火を通せ」


「あなた、煙すごいわ。窓開けるわね」


ガラガラ――


挿絵(By みてみん)


でも煙は逃げない。

むしろ増えていく。


部屋の中で、ぐるぐると回っている。


白い。

白い。

白い。

見えない。

網の上が見えない。


家族の顔も見えない。

でも焼ける音はする。


ジュー。ジュー。ジュー。


「父ちゃん、これ何の肉?」


「さあな、さっきまで動いてた気がするが」


笑い声。

誰の声だ?

手探りで肉をつかむ。


やわらかい。

まだ温かい。


かじる。


ぶち。

弾ける。

中から何かが飛び出す。


ぬるい。

舌に絡みつく。


「うまいなあ」


「ほんとねえ」


「父ちゃん、これ…僕の指に似てるね」


「似てるな」


俺が笑う。

息子が笑う。

女房が笑う。


煙の中で、手が一本落ちている。


誰のものだ?

拾って、網に乗せる。


ジュー。


これは、息子。

これは、女房。

これは、俺。


区別がつかない。

もういい。

全部同じだ。


骨が爆ぜる音。

脂がはじける音。

声が焼ける音。


「いただきます」


同時に言ったはずなのに、

誰も口を動かしていない。


じゃあ誰が言った?

網の上で、

目玉が弾けた。


パチン。


「家族焼肉サイコーだなあ」


口の中で誰かが笑う。

胃の中で誰かが泣く。

腸が絡み合って、

家族が一本の長い肉になる。


噛む。

飲む。

混ざる。


もう誰が誰でもいい。

俺たち家族はひとつだ。

最初からそうだった。


だから焼肉は好きなんだ。

最後まで、ちゃんと、どんどん

家族焼いて

家族で全部、食べきろう。


ホラー小説【家族で焼肉】


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