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7.『案件2』貴族との対面、お嬢様の真の狙いとは?

この作品はカクヨム先行で公開している作品です。

カクヨムのページはこちらです。

https://kakuyomu.jp/works/822139839209446983

手紙を送ってから数日後、ギルフォード卿からの返信が届いた。


『面会のご要望について、了承しました、今週中であれば直接お会いできます、我が館へのご来訪をお待ちしております』


リナは面会が叶ったことを伝えるため、ロゼリアが宿泊していた宿へ向かった。

そして入口で伝言を依頼し、準備が出来たらタリスマンへ来るよう伝えた。


タリスマンに戻ったリナは、アイリィに数日出かけることを伝えてあった。

位の高い人物に会うため、普段着とは異なる正式な魔導師の衣装を身にまとうための手伝いを行いながら、必要な荷物を確認するために問いかけてくる。


「師匠、何か持っていきますか?」


「向こうの領地まで馬車でほぼ一日だからな、移動だけで二日、経由地で一泊しても緊急用の携行食を数日分で充分だ」


「杖はどうします?」


「もっていくよ、不測の事態に備えて本気装備にしておかないとな」


準備を続けて終わった頃、しばらくしてロゼリアの使用人ドルカスがやってきた。

ロゼリアお嬢様の準備が整ったのであろう。

静かにリナへと目的を告げ一緒に来てもらうよう促す。


「お迎えに参りました」


「わかった、今行くよ」


準備を終えたリナは、表に停めてある馬車へと歩き出す。

そして店にいるアイリィに対して留守番をお願いした。


「じゃあ、数日間お店の事よろしくな、何か依頼があったら待って貰おうように言っておいてくれ」


「わかりました、言ってらっしゃい」


短く告げた彼女は重厚な馬車の扉を開いた。

中で座っていたお嬢様に挨拶を返し中に乗り込み対面へと座る。


「お嬢様、数日間の旅の間よろしくな」


「ええ、こちらもよろしく」


使用人が扉を閉め車輪が石畳を軋ませる音とともに、馬車は都市の石畳を滑るように走り出し、パーセイム領へと進路を取った。

長い馬車での旅路を進め途中の領地で宿泊して、数日後に目的のパーセイム領に到着した。


領主の館の位置を確認して二人を乗せた馬車は、街なかの石畳を走り、やがて巨大な門柱と扉を備えた屋敷の前に静かに停車した。

邸宅を囲む高い石壁と、金属製で豪華な装飾が施された門扉は、この街に住む主の

権威を無言で物語っていた。


二人は馬車から降り立ち、屋敷を守るべく無表情な騎士の門番が現れた人物に視線を向けた。そして門番は短く、無愛想に尋ねた。


「なんだあなた達は、用件はなんだ?」


リナは身だしなみを整え、眼前の騎士に優雅かつ毅然とした態度で応じた。


「ギルフォード卿と面会の約束をいただいております。私はマエストロ、アルテロ・グレイダイクの一番弟子、リナリア・フローリアスと申します。伯爵様へお取次いただければ幸いです」


門番は礼儀正しく振る舞う少女の声と名前を聞き一瞬、驚いた。

しかし短く少女に対して留まるように命令する。


「しばし待たれよ」


そして直ぐに屋敷の中に入り、中へ伝言を伝えた。

中へと迎え入れられる前にリナがこれからの事をロゼリアに確認する。


「じゃあ、これから伯爵にお会いするけど準備はいいかな」


「よろしくてよ」


「それではまずその足に忍ばせてる短刀を置くんだ」


「…え?」


「言っとくが私の目はごまかせんぞ、殺る気満々じゃないかよ、何が会うだけだ」


「…こ、これは護衛用よ!外し忘れたのよ」


「まあ、そういう事にしといてやろう」


ロゼリアはスカートを静かにたくし上げる。

スラリとした美しい左足にベルトで結んでいた短刀を外し地面へと落とした。

リナはその武器を拾い上げ馬車の中に投げ入れで武器を持っていた証拠を隠した。

そしてしばらくすると、騎士が戻り二人を呼びかける。


「どうぞ、こちらに」


同行された騎士に連れられ扉をくぐり抜けると、一人の老年の男性が現れた。

恐らくこの人物は、伯爵家を切り盛りする執事であろう。

濃紺で仕立ての良いフロックコートに身を包み、背筋を真っ直ぐに伸ばして直立して歓迎の挨拶を交わす。


「ようこそ、リナリア様。わたくし、当家の執事を務めます、ウォーレンと申します、伯爵様の部屋までご案内いたします」


ウォーレンが先導し、邸の正面玄関から奥の通路へと向かう。

通路を抜けると庭師によって綺麗に整えられた広大な庭園を通り抜け更に奥にある屋敷へと向かう。


「どうぞ、こちらへ」


屋敷の中に入ると綺麗な絨毯が敷かれた床、天井まで届く柱と大きな階段、その横には揃えて並べられた甲冑、質素だが豪華さを感じ取れる。


執事は迷いのない足取りで、大きめの階段を登り長い廊下を進んでいく。

リナリアとロゼリアは、廊下の壁を飾る数々の絵画を横目に見ながら、静かにその後を追った。


そして、廊下の奥より手前にある大きめの扉の前でウォーレンは静かに足を止めた。


「こちらでございます、中で伯爵様がお待ちしております」


リナリアは、ノックをして静かに扉を開ける。

扉の隙間から、温かい暖炉の光と、室内に漂う香木の微かな香りが流れ出す。


「それでは、私は失礼いたします」


執事はそう伝え、別の部屋へと歩き出す。

恐らく茶の準備を行うために調理場へ向かうのだろうと推測した。

二人はゆっくりとその応接室へと足を踏み入れたでした。


部屋の奥に立ち外を眺めていた人物がこちらへ振り返り、二人の姿に視線を送る。

紳士らしいロマンスグレーと呼べる灰色で綺麗に整えられた短髪、鋭い目の中に優しさを感じる茶色い目と、スラリとした鼻立ちに威厳を表すためのアゴ髭、全身は歴戦の戦いを潜り抜けきたような細身ながら、ガッシリとした体格で背も高い、伯爵らしい風格を備えた人物だと一目でわかる。


そして自身の名前を力強く伝えた。


「ようこそ、私はこの当地の領主、ギルフォード・パーセイムだ」


ロゼリアは相手の顔を見て確信した、小さい頃に母を氷剣魔法で殺害した本人。

年齢を重ねてはいるが間違いなく幼少期に見た面影を称えている。


眼の前に現れた母の仇を確信したロゼリアは、相手と会話で真実を問いただす目的を忘れ、敵討ちを成就させるため、突如として右手の袖を捲りあがる。

そこに隠し持っていた、小型の魔法杖を取り出し、眼前の人物へ構え大声で叫ぶ。


「お母様の仇!お覚悟!!」


ロゼリアは、杖を構え魔法を撃とうとした、だがしかし魔法は出てこなかった。

何度も構えて錬成と発射を行おうとするが何も出てこなかった。


「なんで!なんで何も出ないの!」


リナはこうなる事をある程度予見していた、そのため伯爵が現れた際に彼の前に見えないよう防御結界魔法を貼り、加えて魔法が発動出来ないように周辺のマナを操り、魔法阻害の陣を使って二重の安全対策を既に展開済みだった。


リナは必死に魔法を撃とうとするロゼリアの元に向かい左手に構えた杖を奪って地面に放り投げた。

この為の準備周到にしてきたロゼリアに対してやれやれと言った感じで言い放つ。


「このために無詠唱魔法まで習得してたのか…あきれたお嬢様だ」


そして彼女を睨みつけ低い声で恫喝した。


「だけどお前…言ったよな覚悟しなと…」


リナが自身の杖を地面へ叩くと、ロゼリアが履いているスカートが風で下から吹き上げるようにふわりと捲り上がる。

そして両腕も布と共にスカートの先で腕ごと簀巻きにされてしまう。

混乱したロゼリアが突然の出来事に同様を隠せず大きく叫ぶ。


「えっ、なにこれ!?真っ黒で前が見えない!!」


あろう事かロゼリアお嬢様の綺麗な下半身があらわになる。

白のガーターベルトに赤と金が刺繍された純白の下着はうら若き乙女の象徴を見せる

そしてリナはしゃがみ込み、丸出しになった下半身と下着を見て嬉々としてその状況を語り始めた。


「おー、さすがお嬢様、綺麗な体と豪華な下着を身に付けてますなあ、純白の下着にガーターベルトで清楚感がとても溢れてますねえ」


「えっ…えっ…?」


困惑してるロゼリアを横目に、伯爵の方向を向き現在の状況を更に面白おかしくするように問いかける。


「伯爵も見てみないかい?うら若き乙女の下着と肢体だ、さすがお嬢様だ、豪勢な

下着と綺麗な体してるよ」


しかし、伯爵は既に視線を反らし外を向いていた。

そして遠慮するようにリナへと若干照れながら答えを返す。


「い、いや…私は妻もいるし遠慮しておくよ」


その状況を聞いてロゼリアは理解した。

下半身の涼しさと先程の内容から自身のスカートを捲し上げられて、下半身が眼の前に晒されているという事実を、その状況に必死に抵抗するため大きく叫ぶ。


「いや!助けて!外してください!」


しかし冷静にリナはロゼリアに伝える。


「約束したろう、不埒な真似したら死ぬほど恥ずかしい目にあわせると、大人しく話を聞く気になったか?約束しろ何もせず話を聞くと」


「……」


ロゼリアはそれでも無言を貫いた、敵討ちをやりたい一心なのが垣間見える。


「まだ抵抗するのか…それじゃあこの大事な下着も取っちゃおうかな~?」


「えっ…」


ロゼリアは絶句する、初対面の男性の前で下着姿を見せるだけでなく自身の大事な

部分まで見せようとする性の悪い魔法使いの行動に。


そしてリナは眼の前の下着の左右に手をかける、全くの予想外の出来事に対して成すすべもなくロゼリアは降参するしかなかった。


「それだけはやめて!お願い、やめてください!何もしないと約束しますからぁ!」


観念したのかロゼリアはもう敵討ちの行動を取らないと約束した。

その声からは姿は見えないがもう半泣き状態だというのがよく解る。


「絶対だぞ、もし約束を破ったらこれ以上の辱めを味合わせるからな…?」


リナはロゼリアの拘束を解き大人しく椅子に座らせた。

お嬢様は半泣きで顔を真っ赤にして下をみて俯いている

先程の下着暴露がよっぽど応えたのだろう、何もせず大人しく座っていた。


「伯爵、連れの人物が失礼しました」


「い、いや…大丈夫だ、何も起きてはいないしな」


「それにしても伯爵はお固い人物なんですね、さすが名君と言われるだけある」


「妻にバレたら、何言われるかわからないからな…」


「さて、それでは順番に追ってお話します、まずはご紹介から」


「私はマエストロ・アルテロの一番弟子、リナリア・フローリアスです、リナとお呼びください」


「そして隣りにいる女性、この方は西の大商人の一人娘、ロゼリア・グレイスバーグお嬢様です」


二人の紹介を聞き、伯爵は静かに名前を確認した。


「ロゼリア…君がそうか」


伯爵はロゼリアの事を知っているような口ぶりである。

そして何かを考え過去の出来事を二人へと語り始めようとした。


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