18.『案件4』巨兵の討伐、そして現れた人物
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突如と出現した巨兵に激戦となるリナとアイリ。
数々の魔法を繰り出すが効果が乏しく倒す方法を模索する二人は相手の攻撃を交わしながら何か手段がないか考えていた。
「し…師匠どうしましょう!?」
「雷撃、炎、氷も効かないとなるとあとは、風と土魔法くらいだが…恐らく全属性対策されてるだろうな、しかも魔法効果も打ち消してくるという…かなりジリ貧だな」
リナは魔法が聞きにくいという事前情報で苦戦するだろうという事はある程度解っていた、はっきりいって魔法使いにとっては天敵といえる存在だ。
彼女の悪い予感は見事に的中したのだ。
「さーて、何やって止めるか考えないとな、アイリィ風魔法と土魔法で攻撃して足止め試してくれ」
「わ、わかりました…止まるかどうか解りませんがやってみます」
「石牢の墓標!(フェッタード・グレイブ)」
アイリィの掛け声とともに巨兵の四方から石の壁が現れ牢獄のように対象を封じ込めた。だが相手は石の壁を物ともせず、いとも簡単に壁を破壊して破片を周辺に飛び散らせる。
飛んできた石片を魔法で防御しながらアイリィは更に攻撃を続ける。
「風刃の螺旋!(ゲイル・ブレイド・スパイラル)」
風魔法の攻撃はゴーレム周辺に竜巻を発生させ風の刃で本体を切り刻む魔法だ。
だが風の刃は本体を傷つけること無く全て自身の装甲で防いでいるようだ。
リナは巨兵の行動や魔法に対する抵抗能力を見て相手が隠し持っている能力について考えて自身へと問いかける。
(さっきのアビサル・フレアでも思ったが巨兵は魔法の力を弱体化させる仕組みが備わっている事だ、恐らく体内のどこかでマナの力か魔法の効力を弱めているからだ)
「魔法を弱体化させる力、外装甲が物理攻撃に対しても圧倒的な防御力を持っている、これは並の冒険者パーティじゃ勝てないわけだ…」
ただ、リナは1点だけ疑問点があった、それは巨兵の行動だ。
相手の行動からして単純にこの場所からの排除行動だけで殺意が感じられない点を考察してみた。
(巨兵にこれだけの強さがあれば、冒険者パーティも含め死者が沢山出ていてもおかしくはない、だけど今のところ怪我を負っている人達はいるが死人は出ていない、相手の移動速度や攻撃の遅さからも余裕で交わせるし、明確な殺意はないように見えるこの場所への侵入妨害だけに徹しているように見える)
「という事はこの奥にある何かを防衛しているだけか…?一体何があるんだ」
奥を見てみると一部のレンガに色が違う部分が僅かに存在していた。
大きさから扉か門をカモフラージュしたような入口のようだ。
リナは、自身に風魔法を使いその扉のような場所に飛んでみた。
すると今までアイリィと対峙していた巨兵が突然今までとは比較にならない位の物凄い速度でダッシュしてリナに向かってきた。
「なにっ!?」
突進してきたと同時に巨兵は自身の右腕で殴って来た、だがリナは間一髪で攻撃を交わし様子を伺う。攻撃が終わった巨兵は扉と思われる場所の前でそのまま立ちはだかり侵入を防いでいるようだ。
「なるほど、この扉を絶対に通さないように作られているのか…いったい何があるんだこの奥に?」
アイリィが近くに飛んできて巨兵の動きについて尋ねてきた。
「師匠どうしました!?なんか突然そちらに向かいましたけど…」
「どうやらこの奥に部屋か何かあって、コイツはそこを守る門番のようだ」
「宝でもあるんでしょうか?」
「わからん、だけど元々の目的は討伐依頼だったがここに来なければ巨兵が動かないんだったらなんか放置でもいい気がしてきた」
リナが撤退の言葉を放った瞬間、二人が入ってきた入口が突如として扉みたいなレンガが落ちてきて閉じられる。
「おいおい…」
「し…師匠!閉じ込められました!」
「なんかタイミング良すぎだろ、これ誰か二人の行動を監視してる奴いないか?」
「どういう事ですか?」
「そこの扉っぽい場所に近づいたら巨兵が突然向かって来たり、脱出の話をしていたら退路塞がれるとか明らかに人為的な意思が感じられる、つまり誰かこの戦いを見てるか聞いている可能性があるって事だ」
リナのは周囲を見回したが覗き窓のようなものはない、音を拾うような穴も見つからない。今までの行動からの可能性を感じ取りリナはそれが誰かを推測した。
「もしかして…、コイツ自身か!」
恐らくだがゴーレム自身が見て聞いているのを誰かが監視しているのだ。
聞いたこともない技術だがそうに違いないと彼女は確信した。
「だけど、中に生体反応はない、遠隔操作でこいつを動かしているのか」
リナは自分の魔法知識をフルに活用して魔法妨害、視覚封じ、音響封じ3つを同時にやらなければならないと考えていた。しかも単体精霊系魔法では効果はない、最低でも魔法を複合させた合成魔法で行くしか無いと考えた彼女は杖を構えて魔法の能力を更に解放する。
「魔力解放レベル2!魔力磁気砂嵐!」
リナたちは魔力制限 (マナレベルリミット)により使える魔法を制御している。
マエストロクラスの魔法は大量の人を殺せるほどの強力な魔法が存在するため、自分たちの強力な魔法が暴発しないように己が体にリミットを課してるのだ。
彼女たちが合言葉と共に発動する魔力解放は、更に高いレベルの魔法を使うための制限解除である。
レベル2 魔法は複数の魔法を合成し単体精霊魔法より更に強力な魔法を作り上げる。
数々の魔法を自分の体に刻んでいるリナは『アルカディア・マグナ・センド』を使い、魔力と砂鉄に雷魔法を合成した魔法を完全に遮断妨害出来る力を放つ。
魔法を受けた巨兵は魔力の弱体化効果が弱くなり動きが止まりかけている。
最後の動きを止めるため、アイリィへと命令をする。
「アイリィ!魔力解放レベル2!風と業火の輪舞曲だ!」
「はっ…はい!魔力解放レベル2!」
アイリィの周辺に更なる魔力が集中し解放される。
その姿を持ってリナは魔法放つように命令を出す。
「巨兵の関節を狙え!」
「サルトゥス・フラマ・ガレア!!」
アイリィが放った魔法は巨兵の関節部分で強力な炎の輪が膝関節のところで高速回転を始めた。今まで魔法の力が弱まっていたが、リナが放つアルカディア・マグナ・センドの魔法妨害効果により魔法弱体の能力が弱まって関節を徐々に切断していく。
「倒れて!お願い!」
アイリィの魔法により足の関節が切断されヒザ下が落とされた。
巨兵はその場に体から倒れて動けなくなりその動作を停めた。
「やっと止まったか…」
「これで討伐完了でしょうか…?」
「いや、コイツには人為的な力を感じた…原因を探る必要があるだろう、そうじゃないとまた修復して動かされる可能性がある」
静寂を取り戻した空間で二人は佇んでいた、そんな中で先程巨兵が防御していた扉と思しき場所が石が擦れる音を響かせながらゆっくりと開いた。
暗闇の奥から先程の戦闘による勝者に対する称賛と思える拍手が突然響き渡る。
そして暗闇から一人の人物がゆっくりと現れて二人に話しかけてきた。
「まさかボクが作った魔導ゴーレムが倒されるとは思っても見なかったよ」
奥から現れた人物は人間でもエルフでもドワーフでもない。
上に尖った耳からわかる、その人物は魔族と呼ばれる種族だった。




