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16.『案件4』魔晶石採掘場の討伐依頼 (リナとアイリィの冒険)

この作品はカクヨム先行で公開している作品です。

カクヨムのページはこちらです。

https://kakuyomu.jp/works/822139839209446983

暗闇に包まれた東方の洞窟のダンジョン深部、リナとアイリィは二人で揃って冒険に来ていた。


このダンジョンは、冷たく湿った坑道の先に続く新しく発見された迷宮だった。

周囲の壁には、まだ未採掘の魔晶石ましょうせきがまばらに点在しており僅かな光を放っている。


どこまでも続く暗闇の中、リナが先導しながら杖の先に取り付けた光のランタンで周囲を確認しながらも動じずに普通の歩幅で揺るぎなく歩いていた。


そんな中、リナの背中の後ろにピッタリとくっついて、アイリィが闇の中に潜むであろうあらゆる影に怯えながら体を僅かに震わせ常に周囲を警戒しながら歩いている。

そんな中突如として現れた羽ばたき音と鳴き声に悲鳴を上げる。


「きゃああああっ!」


「し、師匠!!今の、な、何か、動きました!この音…キーキーって…泣いてます!」


アイリィが持つ杖は、恐怖のせいか杖に付けられたランタンが細く震え、光が不安定に点滅している。

リナは、その姿を見て深くため息をついた。


「アイリィ、ただのコウモリだろ…。お前は魔法も強さも半端ないのにやたら怖がりだよなあ…」


「だ、だって師匠…暗いし何がいるかわからないの怖いんですよ…」


更に進み光が届いた先、通路の天井近くに巨大なコウモリの群れがぶら下がっていた。その姿が明るみに出た瞬間、コウモリたちは一斉に翼を広げ、甲高い鳴き声を上げて飛び立った。


「きゃああああああっ!!」


アイリィはまたも大きな悲鳴を上げ、反射的に両目を閉じ、リナの背中にがっしりとしがみついた。リナは背中に当たる二つのマシュマロのような大きな膨らみを感じ取りつい本音が漏れる。


「柔らかい…そして大きい、うらやましいくらいのボリュームといい感触だな!」


「な、何いってんるですか!し…師匠!もう帰りましょうよ!」


リナは立ち止まり、アイリィに向き直った。

そして何故こうなったのかもう一度確認のために依頼について語った。


「いや、この依頼受けるの乗り気じゃなかったのにアイリィが受けようって言ったんじゃないか、受けた以上責任持ってやるべきだろ」


そう、この依頼はアイリィが乗り気で受けようと言って渋々とリナが受諾した討伐依頼だった。


――回想


時は数日前、日が落ちかけた夕刻頃、静かなタリスマンに鐘の音と共に、一人の青年が扉を開けて入ってきた。


現れたのは商業都市国騎士団のレオニス・ヴァルハルト騎士団長であった。

赤髪の短髪でオールバック、短めの髪にベビーフェイスで優しい感じのルックスと、若干24歳で騎士団長へと抜擢された彼は皆からの親しみやすさもあって人気の騎士様だ。


白銀に磨き上げられたプレートアーマーには、カルドラフ商業都市国家の紋章を誇らしげに掲げ、一般騎士とは一線を画す威厳を備えている。

レオニスはまるで馴染みの店に毎度来店するように、アイリィへと尋ねた。


「店長はいるかい?」


「いらっしゃいませレオさん、店長ですね、少々お待ちください」


アイリィは奥の部屋にいるリナを呼び出しに行く。

奥で調べ物をしていたリナは、騎士団長に呼び出されてると言われ準備をして緩やかに表へと現れた。


「ようレオ、今日は何用だ?」


自分を呼ぶ際の呼称について左手で頭を掻きながら眼の前にいる騎士団長は少し恥ずかしそうに相手に返す。


「いや、リナさん一応騎士団長としての立場があるからレオ呼びはやめてくれよ…」


「私にしたら小さい頃のレオ坊やから変わってないからな、で、なんだ?」


親しみを込めた呼び方には、幼少期にレオが弱虫と言われていた少年時代、騎士の息子として生まれたが気が弱く剣士としての適性があまり感じられないと皆から噂されていた。


その姿を見かねてリナが剣士として大成出来るようビシバシと鍛え上げたからだ。

お陰で現在の彼は他の騎士たちより抜きん出て圧倒的な戦闘力を持っている。

恐らく周辺国家では一位二位を争うくらいの強さと噂されている。

おかげで彼は武術の師と姉のような立場のリナに対して頭が上がらない存在だ。


だが仕事の面では非常に真面目なため、この様な時は規律を持って接してくる。

レオは真剣な表情と若干低い声で事の次第を告げた。


「実はな、カルドラフが『魔晶石』の採掘場として利用している東方の洞窟の奥地に新たなダンジョンが発見されて、そこから非常に厄介な『魔物』が湧き出したんだ」


『魔晶石』は魔法の力を増幅させたり、様々な魔道具の材料として取引されるため、商業都市国家にとっては供給が止まると商売上がったりになるため死活問題だ。


この世界の『魔物』とは、魔法の影響を受けて変異した動物、人の手によって改造されたり自然界には存在しない化け物を総称して『魔物』と呼ぶ。


そんな話を聞いてリナはこれから起こる会話から何が起こるか予想し話を聞き流そうとした。


「なんだかあんまり聞きたくない話だな…それで」


レオは更にその怪物に対して詳細に伝えてきた。


「その魔物は物理防御が非常に高く、何人かの冒険者が挑んだが尽く返り討ちにあってる、更に奴は外角が特殊な装甲に覆われていてあらゆる魔法が効かないとかで、現状手が付けられなく皆が困ってるんだ」


リナは慎重にそしてレオに対してその目的を推測して確認してみた。


「まさか討伐しろとか言わないよな?魔法が効かないんだよな、それならギルドに依頼してくれよ」


レオは頷きその通りだと言わんばかりに続けて言葉を重ねる。


「その通りだよ、もちろんギルドにも依頼したが、誰も成功していない。

このまま放置すれば、魔晶石の採掘が止まり魔法店も含め様々な商売に影響がでる。

ただ、騎士団は国家防衛の任務があり長期の出動は出来ない、だからこそ、この国で一番力を持ってる貴方に依頼しに来たんだ」


リナはレオの言葉を遮るように言葉を区切った。


「えー!いやだ!!その魔物ってなんか凄い嫌な予感がするんだよ」


レオは長い付き合いでリナのことをよく理解している。

こんな時にはどんな条件を提示すれば拒否されないかある程度予測していたように、巨額な報酬を提示して、リナを引き留めようとする。


「報酬は金貨二百枚だ、かなり破格だ、他の冒険者が討伐したらゼロだ、どうだ?」


報酬金額を聞いて、何故かノリノリでアイリィが依頼を受けようとする。


「店長、みんな困ってるみたいですし受けましょうよ!」


普段は大人しいアイリィが報酬の金額を聞いて、こんな顔を見せるとは以外だった、ちょっと商売っ気に染めすぎたかと思いボツりと呟く。


「アイリィ、お前私に似てきたよな…」


レオは、討伐依頼に関しての受諾意思を確認してきた、こういう時に限って彼は結構せっかちに物事を決めたがるフシがある。


「で、どうする?受けるか、受けるなら今すぐ回答をくれ」


リナは考えた。


(先日の依頼で魔晶石の不足が言われてたのはこの事だったのか、魔晶石の不足はこちらの商売にも影響してくるし、新商品の開発にも必要だからなあ、特に以前アイリィに内緒で作った専用武器でかなり資金を使ったから大きい報酬は確かに欲しいとこだけど…どうするか)


アイリィとレオの板挟みにあったリナは渋々と依頼を承諾した。


「わかった引き受けるよ…」


レオはその言葉を聞き、納得して礼を述べた。


「すまない、感謝する」


そしてレオは店の外に出るべく扉をあけ帰ろうとしながら去り際に伝える。


「完了したら報告しに来てくれ、リナさんなら失敗はないと思うから」


片手をあげレオはそのまま騎士としての役目に戻るべく王城へ戻っていった。

扉で見送った後にアイリィがダンジョン討伐に向けての準備について伺ってくる。


「じゃあ、準備しますね、何が必要ですか店長?」


リナが一人でダンジョンに向かうと思って準備するものを聞いてくる。

だが無常にもこれからの予定について宣言する。


「アイリィ、なに言ってるんだお前も一緒に行くんだよ」


「えええっ!?」


こうして、王国の緊急事態と、破格の報酬に惹かれた二人の魔法使いは、東方の洞窟の『ディープダンジョン』へと挑むことを決めたのであった。

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