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13.『案件3』獣人族の先輩が実践した問題解決策とは?

この作品はカクヨム先行で公開している作品です。

カクヨムのページはこちらです。

https://kakuyomu.jp/works/822139839209446983

トラザ村に回復魔法が使える獣人族がいると話を聞いたリナとブライアは馬車で向かっていた。


ほぼ一本道の土の道を進んでいたところで、揺れが緩やかになり、馬車が停車する。

目的地の近くに止まり、御者が二人に声をかける。


「お嬢さんたち、トラザ村の入口近くに着いたよ、この先の細い道を行ったらトラザ村があるよ、村までなら歩いて十分もかからないよ」


到着をしらされた二人は馬車を降りて体を伸ばして、そして御者に礼をして明日の予定を確認した。


「御者さん、ご苦労さん。帰りもこの道かい?」


「ああ、明日の朝にはまた来るよ」


「わかった、明日の朝ここにまた来てもらえるかい?」


「わかったよ、また明日な」


リナは、御者とのやり取りを済ませると、ブライアに視線を送った。


「さあ、ブライア行こうか」


「はい」


降りた所は鬱蒼(うっそう)とした森の入り口にわずかに開けた道だった。

二人はトラザ村へと歩き出し、細い道を十分程歩いたところで村が見えてきた


村は多くの人が歩いている、どうやらこの集落は恐らく百人から二百近くの人口がいる比較的大きい集落のようだ。リナは近くで洗濯をしていた老婆に声をかける。


「すまない、ちょっと聞きたいんだが、この村で魔法が使える獣人族がいると聞いたんだが知らないかい?」


「なんだいアンタ達?余所者に話せることはないよ」


老婆は問いかけに対して余りにも素っ気ない回答をしてきた。

リナは相手の態度を見て推測した、普段なら問いかけに対して自分に関係ないなら、答えてもおかしくはない、ただ知っているが知らないふりをしている様に感じる。


恐らく知らない人間には獣人族の事を話さないようにしているのだろう。

そんな人物がいることを村で隠しているのだ、獣人族の扱いは低いことが多いがこの態度からは村で存在を守っているのだろう。

これはこちらの事情を説明したほうが情報が聞き出せそうだと思い再度問いかけた。


「まあ、聞いてくれ、こちらの獣人族の娘がその人にある相談をしたくて会いたいんだ、教えてくれないか?」


ブライアにフードを外すよう促すと、自身のフードを捲り顔を見せる。

老婆は、相手が獣人族だと言うのに気付き、目的について質問をしてくる。


「珍しい出で立ちをしているねえ、奇異の目で会いに来たわけではないんだね?」


「もちろん、その人への相談だけだ、他意はない」


老婆は納得したように、指を差して目的の場所をしめしてきた。


「この道を真っ直ぐ行くと、少し離れたところに一軒家がある、そこに『ベロニカ』って獣人族の娘がいるよ」


「ありがとう、教えてくれて」


「ありがとうございます!」


「あいよ」


老婆は忙しそうに洗濯した物を紐に吊るし、そっけなく作業の続きに入っている。

二人で揃って案内された道を徒歩で進み、それらしい一軒家の前まで歩いてきた。

家の玄関前まで来るとリナが木製の扉を手でノックして中の人に呼びかけて見た。


「ベロニカさんいるかい?ちょっと獣人族の娘のことで相談があって来たんだ」


しばらくの沈黙が続いた後、中から返事の声がして来た


「いいよ、入んな」


扉を開けて部屋に入ると一人の大人びた女性が椅子に座っていた。

薄い紫色で腰ほどまである長髪に綺麗にカットされている前髪、頭に獣人族の証である獣の耳で存在感を際立たせている。


彼女の顔つきは目つきは鋭く若干キツそうな感じを醸し出している、だが対象的に口元は優しい弧を描いて見せる微笑みは、誰もを包み込むような温かさと穏やかで、親しみやすさを感じさせた。


彼女の出で立ちは、比較的布面積が少ない服に包まれている。

しなやかな身体は、出るべきところは豊かさを表し、引き締まるべきところは驚くほどに繊細な曲線を描き出している。

その体つきは、成熟した女性だけが持つ、奥ゆかしい色香を帯びていた。


ベロニカは入ってきた二人のうちブライアを見て僅かに驚き、そして薄っすらと笑みを浮かべながら相手に声をかける。


「あんた…へえ、アタシみたいなモノ好きが他にも居たとは驚きだよ」


ベロニカはブライアの様子を見て若干嬉しそうな様子を見せた。

相手に目的を告げるため、リナが口火を切った。


「はじめまして突然の来訪で申し訳ない、貴方の名前は『べロニカ』と伺った、私はリナリア・フローリアスだ、リナと呼んでくれていい、そうしてもう一人は獣人族のヒーラーでブライアだ、よろしく」


「ああ、よろしく、ワタシがベロニカだよ、ところで何の用でここに来たんだい?」


リナはまず、ゲイルから聞いた話が本当なのか相手に確かめる事にした。


「突然だが聞きたいことがあってね、貴方は獣人族だが回復魔法が使えるというのは本当か?」


ベロニカは全く動揺せず、静かに話の出どころを伺う。


「どこからその話を聞いた?」


「この街に滞在したことがあるドワーフが目撃したんだ、貴方が転んだ子供の怪我を魔法で治療してたと、その人は気にしてはいなかったが思い出して話してくれた」


「そうか、見られてたのか…そりゃ言い逃れ出来そうにないね」


「安心してほしい、別にあなたに何かしたいとかそういうことではない、こちらのブライアが抱えてる問題の解決方法を知らないか聞きたいだけだ、出で立ちから見てわかると思うがこの子も回復魔法がつかえるんだ」


「それで問題とはなんだい?」


「とりあえず順を追っていく、貴方は回復魔法を使う時に体に負荷はかからないのか?痛みとかそういうのはないのか?」


ベロニカはリナの会話を聞いて、目的が何であるか概ね察したようだった。


「ああ、問題というのが大体わかったよ…魔法使うと体が痛むって事か?」


「解決法を知っているのか!?」


「解決方法はある、ただちょっとブライアと話をさせてくれ」


ベロニカはブライアの目を見据え、これまでの事を問いかけてきた。


「ブライアはなぜ回復魔法が使えるようになったんだい?」


ブライアはこれまでの経緯を話した、人さらいにあって助けられたこと、二人で冒険に出てバットが大怪我をして誰も回復してくれなく、通りがかりの魔法使いに回復魔法を教えてもらって助けた事含め全てを語った。


ベロニカはその話を聞いて、若干驚き混じりに自身の経緯も同じようだと教えた。


「驚いた…ほとんどアタシと殆ど同じじゃない、魔法使いの人に回復魔法教えてもらったってとこまで」


二人の会話を聞いてリナは理解した、師匠はベロニカという前例を既に作っていたのだ、だからブライアにも回復魔法が使えると思い魔法契約を使ったのか。

外れたパズルのピースがハマるようでリナは嬉しさを感じていた。


「で、問題解決の方法だったね…その前に確認だ」


「はい」


「アンタ、そのバットっての好きなのか?」


ブライアは突然の質問に顔を下に向けしばらく打ち明けるか考えた。

そして頬を赤く染めながら静かに答えた。


「はい、好きです…でも相手は人族なので気持ちは伝えていません」


相手の気持ちを聞き納得したように薄笑いを浮かべる。

そしてベロニカは答えを出した。


「じゃあ、問題解決の方法を教えてやる」


「お願いします!教えて下さい!」


「ブライア、お前そのバットとヤれ」


「…へ?」


突然のベロニカの言葉に部屋の中が重い沈黙で包まれる。


ブライアは混乱していた


(ヤれって何?殺すって事?でも何かニュアンスが違うようなもっと嬉々とした雰囲気を感じる)


念の為意味についてもう一度確認した。


「ヤれって…あのどういう事ですが?」


理解してない相手の言葉を聞きベロニカは更に直接的な物言いをしてきた。


「わかんねえのかよ、そいつと交尾しろ、子作りしろってことだよ」


「ええええええええええええ!!」


静かな部屋にブライアの大きな叫び声が反響して周囲にまで聞こえるようだった。

顔を真っ赤にして激しく動揺している、何を聞けばいいのかわからずにただ混乱していた。


「私はそれで治ったんだよ、今のダンナとやりまくってな、知らないうちに痛みがなくなってた、まあ最初は痛かったがな別の意味で」


ブライアは恥ずかしいのか気持ちの整理がつかないのか無言になってしまった。


「………」


べロニカはリナの方を向き痛みが減った理由について尋ねてみた。


「そこのリナさんなら理由解るんじゃないか?」


リナは腕を組み理由について考えた、推測ではあるがベロニカの話から想定される獣人族に起こり得る体内変化について自身の考えを述べてみた。


「なるほど、獣人族は筋肉密度が高い…だけど性の経験で体が変化して子供が出来た時に出産しやすいように全身の筋肉密度が下がるってとこか…それで痛みがなくなると」


ベロニカはリナの解説を納得したように肯定した。


「おお、さすがだね…その通りだよ、ワタシも経験してから体型が徐々に大人っぽく変化して体が柔らかくなったんだよ、ブライアはまだ子供体型だから多分未経験だと思ってな」


ブライアは悩んでいた。


(この話をバットに伝えるということは自身の想いも伝えなければいけない、でも振られたりしたら立ち直れなくなりそうで怖い、更にあんな事を願いでる必要もある。

今後の関係にも変化してパーティが解散する危機に陥る可能性もあるかもしれない。)


彼女の様々な思いが交錯して決断できない、だがそんな時にベロニカは自身の事を語りだす。


「ブライア悩んでるようだから一つイイことを教えてやる」


「…なんでしょうか?」


「ワタシのダンナは人間族だ、どうだこれで少しは楽になったか?」


「そうなんですか!?」


「愛があれば種族の垣根なんて取っ払える、ちゃんと子供も出来たし今は幸せだよ」


大きく笑いながらベロニカはブライアに勇気づけようとしていた。

これが彼女らしい激励の流儀なんだろう。


「ブライア、あとは最終兵器を教えてやる、ちょっと来な」


ブライアはベロニカのそばに近寄る、こっそり頭の上で耳打ちしている。

何かを聞いて一瞬でブライアの顔が沸騰するように真っ赤に染まった。

だが気持ちは固まったようだ。


「…わかりました、頑張ってみます」


ブライアの決意を聞き、ベロニカは相手のお尻を叩き激励した。


「よし!じゃあ行って来い!そしてヤッてこい!」


だが馬車来るの明日朝で約束した、だから今日は宿を探す必要がある。

この村の宿についてベロニカに相談してみた。


「今日は宿を探さないといけないんだがどこか知ってるか?」


「なんだったら家に泊まるか?二人くらいなら泊められるぞ、子どもたちにも合わせたいしちょうどいい」


「わかった、知り合ったのも何かの縁だしご厚意に甘えさせてもらうよ」


二人はその日ベロニカの家に泊まり、帰ってきたダンナさんと馴れ初めや子供たちと遊んだりして家族とともに色々な話を楽しく翌日まで過ごしていった。

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