職場ミスった?
主人公のユミが配属された部署には、上司が一人とその補佐が一人しかいなかった。
着任して間もなく、彼女は前任者が鬱で退職していたことを耳にする。どうやら、この部署には何か問題があるらしい。
最初は「原因は厳しい上司にあるのだろう」と思っていた。確かにその上司は仕事に妥協せず、指導も厳しかった。だが問題はそれだけではない。
何より彼は――教えるのが絶望的に下手くそだった。
説明は要点が飛び、指示は曖昧。新人である彼女にとっては理解するのに必死で、何度も頭を抱えた。
それでも「期待を裏切りたくない」と必死に食らいつき、時間外に残って資料を読み返したり、失敗を繰り返しながら仕事を覚えていった。彼女の努力は並大抵ではなかった。
そんな中で、部署を越えて親切に教えてくれる先輩の存在は心強かった。優しく声をかけ、わからないところを補ってくれる彼に、次第に彼女は頼るようになっていった。
――だが、その先輩こそが本当の問題の源だった。
表では穏やかな笑顔を見せながら、裏では新人に狙いを定め、弱みにつけ込む卑劣な人間。前任者が辞めていった理由も、すべてそこにあった。
そして彼女もまた、その魔の手に捕らえられそうになった瞬間――。
「やめろ!」
鋭い声とともに駆けつけたのは、誤解していたあの厳しい上司だった。
彼に守られた時、初めて彼女は気づく。
――不器用で言葉足らずでも、本当に真剣に仕事と向き合っているのは誰だったのかを。
しかし事件のあと、さらに上の上司が現れ、「お前の指導不足がこうした事態を招いたのだ」と彼を責め、異動を命じてしまう。
新たに着任した上司は、業務を丁寧に教え、働きやすい環境づくりにも心を配る人物だった。
少しずつ部署は変わり、ヒロインも安心して努力できる場所へと変わっていく。
――過酷な日々を乗り越え、彼女はようやく笑顔で働ける未来を手に入れた。