鉛
冷えた手帳の裏に落ちてた
言いかけた言葉を
まだ拾えずにいた
僕たち
何になりたかったんだろう
先のみえない帰路を
また選んでしまう
遠ざかるの背の粒
焦げついた魚の匂い
「優しさ」ってやつは
誰の肩にも寄りかかる
一人分の明日が
遅れて流れ出す
藍に沈む坂道
名残惜しそうに擦れた声
応えきれずにいたら
擦り切れた
ここにいたいと思ったのに
冷えた手帳の裏に落ちてた灰色の鉛
言いかけた言葉を折ったそれは
僕たちに
問うていたんだろう
先のみえない帰路を
また選んでしまうと