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回想列車が参ります、ご注意ください
むかつく。虫唾が走る。
目の前のこいつに嫌悪感しか浮かばない。
さっさと殺傷して滅したい。全てを砂塵に帰したい。
「あっは~!
うっわぁ~、躊躇ないですぅ~! すごいです、すっごいですぅ~!
あと二人で達成でっすよぉ??」
「うっせ。
さっさと次を出せよ、クソ野郎」
あと二人。
あと二人殺せば終わるのか、これは。
いや、そんな甘かないはずだ。こいつはクソ野郎なのだから。
自殺する気などは無かった。
ただそれは儀式のような疑似体験。自傷することで自身の罪を洗い流したかった。
ただそれだけのはずだった。
死にたいわけじゃない。
でも自傷し、滲む赤い血に、疑似的な贖罪と恍惚感を求めていた。
それによって得られるものが、結果的に嫌悪感だとしても。
ただ俺は救いが欲しかっただけだ。
結果的にそれが自殺認定されてしまったとしても。
それは事故だ。
俺は死にたいわけじゃない。