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8話 家族

 なんとか追手から逃げのびたファルは自分の家族の元へとレイラ連れて行く。

 目覚めたレイラは、ファルの家族と交流をし、自分が見ている世界が絶対ではないと知る。

 

「ここ、どこ……」


 ゆっくりと目を開けて、呆然とした様相でレイラは声を上げた。


 見た事もない場所だ。

 据えた匂いが鼻を突き、横目には僅かばかり残った土壁が剥がれ落ちているのが見える。

 又、木造の天井には蜘蛛が巣を張り、朽ち果てた一部には月光を透かす雲が覗いている。

 それなりに広い家屋だったかもしれないここは、レイラの常識では考えられないほど朽ちていた。


「あ、起きた」


 まだ幼い少女の顔が急に眼前に現れる。

「きゃっ」とレイラは驚いて肩を竦め、縮こまった。


 誰かが掛けてくれていた襤褸雑巾の様な毛布を手繰り寄せ、レイラは慌てて半身を起こす。

 先程声を掛けてきた少女はしゃがんでおり、ちょうどレイラと目線が合う形になった。


 見た事ない顔だ。最初は使用人の子弟かと思ったが、屋敷の人間ならこんな薄汚れた服装を許したりはしないはずだ。

 短めの赤毛に睨む様な榛色の瞳がレイラの視線と交差し、すぐにふい、と逸らされる。


「みんな、この子起きちゃったよー。ファル兄呼んできて」


「わかったよデイジー、僕呼んでくる」


「あんがと、ロニー」


 レイラは慌てて落ち着くための深呼吸をしようとして、辺りの埃っぽさに咳込んだ。

 それでもなんとか抜け落ちそうな床を尻もちをついたまま後ずさり、倒壊しそうな壁際まで下がる。


 自分を取り囲んでいる五人の少年少女が怖かったのだ。

 だって自分はさっきも今ままで経験した事がないほどの、恐怖を感じる体験をしたばかりなのだから。

「あ……」とそこで何故自分がこんな場所で眠っていたかを思い出した。


 何が起きて、誰の手を取り、どうなったかを。


「ファル……」


 呟きが聞こえたのか、一番年長のレイラより背が高そうに見える少年が傍に来て、レイラと目線を合わせるためにしゃがみ込んだ。


「お前誰なんだ、ファルとどういう関係だ?」


「え、あ、あの……」


 カイルは決して粗暴にレイラと接しようとした訳ではないのだが、レイラは目に見て分るほど怯え始めた。

 何しろ余り同年代との関わりはないし、先日舞踏会でも辛辣な物言いをされたばかりなのだ。

 初めてファルに話し掛けた時の勇気など、こんな状況では発揮しようもなかった。


 言葉に詰まり少年の問いから逃げる様に、助けを求めて視線を彷徨わせた。

 だが、先程のデイジーという少女は腕組みをし睨んでいるし、傍にいる小柄な栗毛の少年は関わりたくない様に体を反対に向けている。

 もう一人の可愛らしい長髪の少女はというと、大きな群青色の瞳を不安そうに揺らし、レイラとカイルの両者を行き来してる。

 そして最後。まだ一人で靴紐も結ばしてくれなさそうな幼女がその子の傍で隠れるようにレイラを見ていた。


「皆、あんまり怯えさせるなよな」


 そこにファルが月明かりに影を落として、先ほどロニーと呼ばれた少年と共にやって来る。

 その姿を見て、レイラは安堵のためか脱力して崩れ落ちそうになるのを防ぐ必要があった。

 無事で良かったと、他の少年少女がいなかったら駆け寄っていただろう。


「怯えさせてねえよ。ただ質問してただけだっての」


 カイルがぶつくさ言ってレイラの傍から離れていく代わりに、ファルがレイラの前に立った。

 レイラはゆっくりと呼吸を落ち着かせて、頼りない壁を支えに立ち上がる。


「目が覚めて良かったぜ。なにせ傷だらけだったみたいだし、どっか頭でもぶつけちまったかと思ったよ。ま、お前も怪我の治りは早くて助かった」


 レイラは自分の腕や足に巻かれた布に気が付いた。

 恐らく洗われてはいるのだろうが、綺麗とは言い難い包帯の下に痛みはない。

 着ている服もずたぼろで見る影もなく、あちこちに黒ずんだ血の跡はあるが、確かに怪我はなかった。


「何さ、勝手に治ったみたいに言っちゃって、私が手当したんだからね」


「あ、ありがとう……そのデイジー、さん」


 腕組みを解いたデイジーにレイラは感謝を込めて頭を軽く下げる。

 最後に口ごもったのは同年代の少女の敬称の付け方に困ったからだ。

 貴族相手ならば家名に様を付けておけば問題ないと習ったが、この場ではどう考えても相応しくはないだろう。


「デイジーでいい。あたし、そういう畏まったのなんてわかんないからさ」


 デイジーはにかっと快活な笑みを浮かべたが、睨むような目元はあまり変わらなかった。

 どうやら視力も弱く、元々きつめの目であった為、レイラを睨んでいる訳ではなかったのだ。


 それからファルが全員の名前を順に紹介してくれ、レイラの名前はすでに全員が知っていたが、改めてレイラも名乗った。


「もしかしてここの皆ってファルが言ってた家族の人達?」


「あ、ああ。そうだよ」


 ファルは恥ずかし気に首の後ろに手をやる。


「へえ、皆聞いた? ファルがあたしらの事、家族だってさ」


「へえ、そうとも。俺たちゃ家族さ、家族」


 デイジーが茶化す様に言い、それにカイルが悪乗りして続く。

 その場にいる全員が思い思いの表情を浮かべ、包帯に隠されていないファルの口元が失言とばかり、唇を嚙んでいるのを見た。


「かぞくってなあに?」


「ええと……なんて言えばいいのかな」


 その中一人だけ不思議そうにノエルが首を傾け、シフォンが悩むように顎に手を当てて言葉に詰まる。

 相手はその言葉を構成する本当の意味を理解する前に売られた子供だ。

 だから、正直に話し少女が持っていないものを自覚させる事はシフォンには憚られた。


「いっつも一緒にいる奴らの事さ」


「そう、それよ!」


 ニコラが軽く息を吐いて答え、シフォンがそれに乗っかった。

 困った時、知恵袋となって皆を助けるのはいつもニコラの役目だ。


「じゃあ、ノエルのかぞくはみんなのことなんだね」


 にこにこと笑顔を浮かべるノエルを見て、その場にいる全員がその時同じ感情に至った。

 シフォンはノエルの手を優しく握り、頭をゆっくりと撫でてやる。


「まさかファルが俺達の事をそんな風に言ってるなんてな。俺は感動したぜ、ファル」


「だから言いたくなかったんだよ。レイラが聞いてくるから……」


 カイルが背中をばんばん叩いてくるが無視して、ファルは嘆息した。

 あまり皆の前でこういった話題を出すことはない。

 何時どこで誰かがいなくなってしまうか分からない状況は変わらないし、昔持っていたものを嫌でも思い出させる事柄だからだ。


 ――だけど、こうして茶化しながらでも話せている辺り、皆確かに共通した想いを抱いていると考えたい。


 レイラはファルの右肩からその光景を覗き、微笑んでいた。

 ああ、ちゃんとファルにも自分の様に笑いあえる家族がいるのだと。


「ふふっ」


 ほとんど聞こえない笑い声だったはずだが、耳ざといファルは聞きつけこちらに顔を向けた。

 家族に背中を向けるようにしてファルは手を伸ばし、レイラは額を小突かれうずくまる羽目になった。



 それからレイラは自分が気絶している間の事の顛末を教えてもらった。

 あの場所、そしてあの場にいた全員がどうなったか分からない事。

 目を覚まさないレイラの怪我の状態を確かめるため、仕方なく家族の元にと運んだ事。


「そう……ファル、ちゃんと守ってくれたんだ」


 ありがとう、とレイラはファルに感謝を告げると共に、ハインケルの手を取らなかった事を申し訳なく思っていた。

 いくらファルをあの目線で見たからといって、王宮に出入り出来るだけの人物を拒絶した事は後々問題になるかなと考えたのだ。

 今まで気にしてはいなかったが舞踏会や昨夜の父の件から、レイラは自分の立ち振る舞いを自省しなければと思い始めていた。


「で、これからどうするんだ。お前の目が覚めるのが遅いから夜になっちまったぞ」


「帰りたい。きっとお父様も心配しているし、探してくれているはずだわ」


 レイラは昨日の父の様子は意識の外にやり、いつもの優しい父を思い浮かべる。

 きっと家に帰ればあの怪しげな風体の者達は追ってこれないし、家族が守ってくれるはずだ。

 何やら連中は自分の事について気になる事を話していた気がするが、レイラは家に戻れば無条件に安全だと思い込むようにしていた。


「なら決まりだな。皆、俺ちょっとレイラを家に送ってくるわ」


 柏手を一回鳴らしたファルは軽い口調で全員に告げた。


「はぁ。今から!? あちこちに衛兵がうようよしてんだぞ」


「それなら余計に好都合だな。安心しろよ、俺にはいつもの道だ」


 カイルの当惑は正しい。普段は飲んだくれファル達を棒で殴って追い払う衛兵が誰かを探すかのように貧民街まで迫ってきているのだ。

 朝はあれだけの騒ぎがあったというのに全く姿が見えなかったくせに、今は嘘のように仕事をしている。

 そしてあの騒ぎの後という事は、間違いなくレイラを探しているに違いない。


「じゃあ、俺もって、じゃなくて。何でお前が送ってく必要があるんだよ。面倒ごとを背負う必要はないはずだろ」


 カイルの責める様な視線はファルに向いている。だがその矛先が誰に向いているのは一目瞭然だ。


「……じゃあ、ロナンに突き出せっていうのか。まさか告げ口するつもりか」


「そこまで言ってないだろ。ただ……」


 レイラの不安気な表情が目に入ったのか、カイルは口ごもり視線を逸らす。


「……ここ最近、俺の稼ぎが良かったろ。何してたと思う?」


「え、さあ」


 急な質問にカイルが戸惑う。


「あ、そうか。パトロンってレイラさんの事だったんだね」


 ニコラが変わりに正解を言い当てた。

 得心が行ったように頷くニコラに、デイジーがどういう意味さ、と疑問を投げかける。


「俺がこいつに歌を教える代わりに授業代を貰ってたんだよ。お前ら良い思いしただろ」


 組織の抗争がひどくなる時には、命の危険からおちおちそこらの廃屋では寝ていられない時がある。

 ここ数か月そんな時は、稼いでいた金であばら屋とはいえロナンの館で休ませてもらえたし、食料などお目こぼしをいくらかしてもらえたのだ。

 それはレイラの授業代がなければ叶わなかった。


「それは感謝してる。俺なら絶対あんなに……まともな方法じゃ稼げなかったし」


「うん、美味しい物たくさん食べれたよね」


 カイルの言葉に触発され記憶が蘇ったのか、ロニーが涎が垂れそうな表情になっている。

 きっとロナンが客に出した甘物を分けてもらった時の事を思い出したのだろう。

 体の弱いロニーに薬とばかり分け与えてやったから、よく記憶に残っているはずだ。


「でもそれはお前の成果だろ、歌を教えたならお相子じゃねえか」


「いや、それがな」


 ファルはちらとレイラを一瞥した。


「教えたにも関わらずコイツが未だに音痴で。あれだけ授業代貰っときながらあの有様じゃ申し訳なくてさ。だから助けてやろうかなと思って」


「音痴っ! あの有様!? どういう事よ、ファル!」


 レイラはファルの言い様にカチンときた。それはここしばらくの練習で大分上達したと思い込んでいたレイラの自尊心を傷つけたからでもある。


 はいはい、とレイラを宥めながらファルはこれは言い訳に過ぎないなと感じていた。


 本当はレイラに、なんなら他の誰でもいい。

 見知った誰かが暴力を振るわれ、傷ついてしまうのが許せないのだ。


 でもそれは欺瞞に満ちている事はわかっている。


 ちょっと脇に目をやれば家族の他にも子供はたくさんいて、そいつらは見るも悲惨な結末を迎える事もある。家族を守りたいと思っていても、相変わらず奴隷の身分であり、本当に守ってやれるかもわからない。


 それでも知り合いになった少女を、その人となり知ったレイラを安全かもわからぬそこらの衛兵に預けて、はいさよならという事は、ファルの根幹をなすものが許さなかったのだ。


「カイルは皆を連れて、そうだな……誰にも見つからない様にいつもの穴倉に行っててくれ。レイラを送り届けたら、俺も向かうよ」


「こんな時にお前を一人だけで行かせられるか!」


「俺だからいいんだよ。ほら、こんな有様だ。見つかってもいくらでも言い訳出来るだろ」


 ファルは新調した杖を軽く揺らし、それから布で覆われた頭を叩いた。


 自分の能力なら、誰にも見つからずにこの都市を一周出来るとファルは自負している。

 でも、時に視えている事を悟られたくない家族と一緒にいる時に衛兵に絡まれるときもあった。

 その時はファルが盲人である事を疑われた衛兵に包帯をはぎ取られたが、逆に衛兵が見るのも嫌だとばかり後ずさりする結果になった。

 今回、もし見つかったとしても他の奴らなら折檻からもしれないが、最悪ファルは慈悲で助けてもらえる可能性が高い。


「なあ、ファル。お前……なんでそうなんだ!」


「何がだよ」


「目が見えないはずなのに……自分なら大丈夫と思ってんのか!?」


 カイルは自分の内なる感情を制御出来ない様に叫んでいた。

 こんな緊急事態にまるで散歩にでも行くかの様に能天気にしているファルが気に食わなかったのだ。


 カイルはファルの事を年の近い弟、もしくは相棒の様に思っている。

 そしてファルの様に面と向かって家族とは言えない仲間を引っ張っていくのは自分だと考えていた。

 何せ自分が一番年長で背も高く、何かあった時に皆を守ってやれるからだと。


 でも何かが起きて、いざという時皆を導くのはいつもファルなのだ。

 暴力ではなく、ちょっとした機転や言葉でカイルでさえ鮮やかだと思う方法で危険を回避した事もある。

 そして皆それが当然と思っているのだ。


 数年前、まだ自分に兄や姉の様な存在がいた頃、豚の死骸の様な有様で裏路地に捨てられていたファルを見つけた時、こんな風になるとは誰も想像出来なかったに違いない。

 皆、ファルならなんとかしてくれると当然の様に思える何かがファルにあるのだとカイルは感じている。


 それがファルにあって、自分にはない。


 その苛立ちが年月を重ねるたびに大きくなっていき、最近では抑える事が難しくなってきているのがカイルは自覚していた。


「じゃあ、勝手にしろ。帰ってこなくても探しにいかねえからな!」


 カイルは怒鳴るとずかずかと、土壁を更に崩壊させ、土煙を上げて部屋から出て行った。


「なんなんだあいつ……」


 ファルはというと、最近あいつ怒る事が多いなと思いながらも、すぐに気分を切り替え始めていた。

 そこにとことことノエルが小走りで駆けてくる。


「けんかはだめーよ。ファル兄。……ちゃんとカイル兄と仲直りできる?」


 不安そうに見つめてくるノエルにファルは、いやいやと首を振る。


「いや、喧嘩も何も、あいつが勝手に怒って……」


「ごめんなさいね。貴方、……ノエル」


 ファルの言葉を遮り、レイラがノエルの前に出て謝っていた。


「私のせいなの。ファルが私を助けてくれようとしてるから。カイルさんはファルの事が心配で怒ってるのよ。だからごめんね」


 先程から申し訳なさそうな表情を浮かべていたレイラは、自然と言葉が出ていた。

 ノエルはうーん、と悩まし気な声を上げていて、その姿はレイラに幼かった弟の姿を思い出させていた。

 思えばこんな風に素直で純粋な時もあったのだ。その時、自分はどう対応していただろうか。


「いいよ。ノエルは許してあげる。カイル兄はわからないけど」


「うん、ありがとう」


 ノエルが小さな手を伸ばしてきた。

 爪と指は土で薄汚れ、幼子の手にしては筋張り痩せているその手をレイラは取り握手をした。

 綺麗で病的なまでに清浄さを好む両親に育てられてきたレイラだが、真逆の状況にその反動のせいか、何故か全く忌避感を抱く事はなかった。


「カイル兄はしんぱいしょーだから。わたし、ファル兄はいっつも必ず帰ってきてくれるってわかってるからから心配なんてしてないよ」


「ありがとな。ノエル。カイルには後で仲直りしとくよ。ごつんと一発でいつも終わりだ」


「ほーっときなよ。カイルの事なんか。あの年頃の男子にはよくある事さ」


 机の名残の木の板に頬杖を突きながらデイジーが言う。


「何を分かった様に言ってるのよデイジー。月の日もまだな癖に」


「なにそれ」


 偶に達観した振りで諭してくるデイジーにシフォンが腰に手を当て見下ろしている。


「どういう意味さ。ねえ!」


 がばっと頭を上げ吠えているデイジーを無視してシフォンはファルの所まで来る。


「じゃあ、いってらっしゃい。早く帰って来てくれないと、私、問題児二人の面倒を見るの嫌だからね」


 そのシフォンの物言いは自分が二人をいつも導いてやっていると自覚があるものだ。


 微かに笑みを浮かべてファルは、崩れかけの部屋のカイルが出た方向とは反対側から出る。

 背後ではシフォンとノエルがいってらっしゃいと手を振っており、さらにその後ろではデイジーがニコラの背中を揺さぶり、ロニーが困った表情を浮かべて見ている。


「だからどういう意味よ。教えなさい!!」


「いや、それは……その、だって」


 我慢の限界が来たデイジーに背中に飛び付かれ、ニコラは顔を赤くしている。


 その場にいる全員にレイラは頭を下げて、ファルの後を追った。


 ファル達が別荘と呼んでいる荒屋を二人は出た。

 そしてファルが手に持った杖を飾りとばかり扱っている事にはレイラは気に留めず、その代わりただ目の前の光景に言葉を失っていた。


 成程、別荘という言い方はある意味当たっているかもしれない。

 元々、ここら一体は誰かが所有している邸宅が並ぶ場所だったのだろう。

 それが火事か何かで倒壊した後、修繕される事なく、放置されているのだ。

 その残骸がレイラの見渡す限り広がっている。


「何やってんだ。見つかる前に早く行こう」


 よもやファルにとって当たり前のように見慣れた光景にレイラが目を奪われていると梅雨知らずファルはレイラの手を引いた。


「う、うん」


 自分が住んでいる王都にこれほど廃墟が広がっているその意味に気が付かない程、レイラは幼くはない。

 だが、ファルに急かされ、普段使っていない思考は出口に行き当たる前に霧散していった。


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