あーくんの1日36話「名もなき黒猫」
よかったら読んでみてね
「やあ、リカ」
僕はマンガを借りるためにリカの家に来た。
「やあ、あーくん。約束通り貸すね。はい、どうぞ」
リカが貸してくれたのは3冊の人気マンガだった。
これ読みたかったんだよな。早く帰って読も。
「マンガありがとう。今度来たとき返すね。じゃあね」
僕が帰ろうとしたときだった。
「待って」
数分後、僕はリカの部屋に座っていた。
リカに寂しいから一緒にいようと言われたからだ。
近くには黒猫が眠っていた。
名前は何故か付けていないらしい。
「ねえ、何して遊ぶの?」
「それはねー、もちろんねー……」
「うん」
「えっとねー、えっとねー、えっとねー……」
リカの記憶の引き出しがなかなか開かないようだ。
「早く言ってよ」
「どれだけ息を止められるか勝負」
しーん。
沈黙が僕たちの周りを駆け抜けた。
「それはやめよう」
「はーい」
「ふふっ。ふふふふっ」
リカが急に笑い出した。
「どうしたの?」
「いや、思い出し笑い」
「なるほどね」
すると、リカが急に立った。
「私、歌います」
え?
「胸の中にあるもーのぉー♪ いつか見えなくなるもーのぉー♪」
ど下手だった。音痴すぎた。ズコーってなった。
名もなき黒猫はその歌声にびっくりして部屋から去って行った。
「ねえ、猫逃げちゃったじゃん。せっかく気持ちよさそうに寝てたのにかわいそうだよ」
「ごめん。そんなつもりはなかったんだ。ごめんね」
「私、あの子を呼び寄せてみせる」
そんなことできんのか?できたらすごいぞ。
「できるの?そんなこと」
「うん」
リカは押し入れの方に歩を進めた。
取り出したのはバイオリンだった。
え?リカ、バイオリン弾けんの?
〜♪
弾いた曲は知らない曲だった。だけど、心地よいメロディーだなって思った。
すごいなリカ。バイオリンも弾けるのか。
さあ、黒猫は戻ってくるのか?
……。
ニャーン❤️
戻ってきたー!
今日はテンションがあがった1日であった。
読んでくれてありがとう